FC2ブログ
2018/04/04

ルームの"内と外"

dusk180404
Panasonic DMC-G8 LUMIX G VARIO 7-14mm F4.0 2017.09

こちらも遅まきながらネトフリ・ラインナップからの鑑賞。アカデミー賞で話題となった『ルーム』。以下、ネタバレありだが、粗筋は知られていると思うので支障無いのでは。



母と息子の内面にスポットを当てたのがよかった。ともするとクライムサスペンスの方向性で取り上げられがちな題材だが、7年間監禁された母と、誘拐レイプ犯によってその期間に出産した息子との、監禁中とその救出後の心理の動きに一貫して的を絞った。レイプ犯の逮捕後の動静は一切描かれなかった。

対になるテーマを多く孕む。ルームの内と外を物語の機構に、心の内と外、大人と子供、親と子、強者と弱者、自分と他者。
重要なシーンの一つが、救出後の母親へのインタビューで"なぜ、子供だけでも早く逃がそうとしなかったか"と問われる箇所だ。この時の彼女の表情は、家族と共に黙り込む様子しかスクリーンに描かれない。そして直後の自殺未遂。
彼女の感情はいかなるものだったか。息子を愛し、守ってきたつもりが、母親としての最善を尽くさなかったことへの自責の念が、後になって押し寄せたのだろうか?
私が、もし監禁されていなかったら、レイプ犯の息子を愛せただろうか? 私はひどく退屈で鬱屈した辛さに耐えるための相手が只欲しかった?
救出されたにも関わらず、解放感のない落ち着かない日々。隔てた年月は残酷で母親の両親は既に離婚。息子は時折"ルームに帰りたい"とまで言い出す。
しかし子供の想像力と成長ぶりは絶大だ。母親が息子を豊かに育てられなければ、ラストのように息子自ら過去に区切りを付けるなど足跡を辿れなかったことだろう。

コメント

非公開コメント