TVを通した虚実の対話

kaochan170713
FUJIFILM X-Pro2 XF56mmF1.2 R 2017.07

『やすらぎの郷』は、大抵見逃し用のオンデマンド・サイトで視聴する。これほどマメに日本のドラマを観るのは、倉本作品に愛着を持っていたからで、この番組が終わったらまた海外ドラマしか観ないんじゃないかな。
海外ドラマ贔屓なのは、一種の外人コンプレックスからなのかなぁ、と思ったりもするが、欧米って若い人も演技が巧いんだよね。日本はなんだか事務所推しのイメージが強くて。セリフ覚える以外は鏡ばかり覗き込んでご自分にウットリしてそうな。
『やすらぎの郷』の中で、ニューヨーク帰りの冨士眞奈美が「日本の役者は勉強不熱心、デ・ニーロやホフマンはスターになってもレッスンを受けてる」と言うセリフがあり、頷いてしまった。

音楽もきっとそうで、最近、断片的にかつてバンドで関わった友達の商売について触れたが、何が引っ掛かるかって、ライヴをやるのは本人の勝手だが、誰にも師事せず、我流でギター・ヴォーカルやってるアマが、初心者相手に金取って教えているのがどうも許せないのだ。その技量で? その知識で? 学びの第一歩って肝心じゃないか?と。

先週の『やすらぎ』は主題歌担当のみゆきの既存の代表曲「時代」「ファイト!」も劇中挿入され、まさに"みゆき推し"だった。過去の倉本作品でも彼女の既発曲が効果的に使われる場面があったから、今回は特に(先生、やりたいようにやってるな)という感だった。
しかし、他人のツイートなどによれば、"葬式場面で「ファイト!」は合わない"などという意見もちらほら見かけた。

この場面、裏方スタッフ夫婦の合同葬で、夫婦の愛唱歌だった「時代」の他、「ファイト!」は、とあるドラマ制作に起用されたのが夫婦の知るきっかけだったという設定だから、80歳代でみゆきの曲を知ってるわけなのだ。この「ファイト!」が、あえて葬儀の場において合唱シーンになったのは、恐らく夫婦のうち妻が先立つシーンにおいて、夫が師弟スタッフを集めて瞬くプラネタリウムの装置で見送るという、一般の老夫婦にはあり得ないドリーミーな着想と同様で、「ファイト!」もまた、この業界人のための応援歌だったのだ。だから視聴者が似合わないイメージを持つのもある意味、無理はない。この夫婦と、取り巻く人々にしか解らない空気というものを描いているのだから。

「ファイト!」の詞は作者であるみゆき本人の具体的な解釈提示はなかったように記憶しているが、オールナイトニッポンのDJを務める彼女に寄せられた葉書に基づいたフィクションであるというのが通説だ。いわば放送業界という特殊な舞台装置を通して、視聴者に通底する普遍性への訴えを、倉本先生はこの歌の背景を理解した上で、意図的に起用したのでは無いかと思うのだ。

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Author: シャケ/YASUHISA
男性 昭和40年代生まれ

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