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2016/01/23

Come Upstairs

(カーリー・サイモン著『Boys in the Trees: A Memoir』第2部9章つづき)

サラ・ローレンス在学中の、サイモン・シスターズの活動始動と、ニック・デルバンコとの恋愛生活が綴られる。
(本書は、当時の文化・風俗に関する記述が興味深く、本筋とは別に参考資料としてリンク集を後日記事にまとめようと思う。)

delbancoカーリーは、姉ルーシーと、ルーシーの友人チャーリー・クローズと、ヴィレッジ・フォーク・シーンでのブレイクを目指して、曲や衣装、ハーモニーについてコンセプトを話し合った。そして敏腕マネージャー、ハロルド・レヴェンサルに引き合わされる。ハロルドはルーシーの作曲スキルを高く買い、「Winkin', Blinkin' and Nod」を代表曲にしようとした。以降、姉妹はマンハッタンのブリーカー・ストリートのナイトクラブやコーヒーハウスなど、様々なフォーク・ミュージックの現場のオーディションを受けさせられた。ことは迅速に進められ、カーリーは自分が大学生であり、ニックのガールフレンドであることも忘れるほどだった。
残りの夏を、カーリーはケンブリッジでニックと過ごした。ニックは彼女のショウビズ界入りに仰天し、カーリーがよからぬ誘惑に晒され、かの『サンセット大通り』のヒロインの末路を辿るのを怖れた。カーリーは業界に入っても、私は変わらないわとニックに誓った。

サイモン・シスターズは、クラブ"ビッター・エンド"や"ガスライト"に新進気鋭の出演者として、エヴァリー・ブラザーズのような美しいメジャーセブンスのハーモニーを聴かせた。ステージには学友や母親、親戚なども聴きに来て、堂々たる存在感を賛美された。ジュディ・コリンズ、ランディ・ニューマンらと並んで、いよいよ姉妹の才能が開花しようとしていた。当時、コメディアン活動中で、漫談で出演していたウディ・アレンには、コメディ批評を求められ、批評メモを実際に手渡しアレンがそれを読む頃には、彼女たちは大真面目に歌い始めていた。

レコーディングした「Winkin', Blinkin' and Nod」は、一部地域から火が付き、トップ20に昇りつめ、姉妹は学業を続けながら、東海岸のクラブから大学キャンパスのツアーを敢行。そして一週間弱でファースト・アルバムが完成。彼女たち自身による美しいハーモニーと伴奏以外には、ベース奏者が一人加わっただけで、わずか5000ドル以下の予算で作られた。
カーリーは、レコード発売が待ち切れなかったと述懐する。レヴェンサルのオフィスで好評を聞きつけた姉妹は、有名レコード店をはしごし、自分達のレコードを見つけては飛び上がって抱き合った。そして試聴ブースで自分達の音楽をヘッドフォンで聴いては、また興奮して叫び合った。その喜びが従来のステージ中のMCに対する恐れと入れ替わっていった。
ある夜のショー、憧れのオデッタが観に来てくれた時、カーリーはステージ終了後、気絶してしまった。

一方、恋人ニックは大学卒業後、奨学金を得てヨーロッパに滞在中。カーリーの母は、父との想い出のスタンフォードの家を売り払ってしまった。カーリーは無性にニックが恋しく、大学を休学してニックに会いに行った。フランス田舎で、お湯の出ない風呂に悩まされながら、同棲生活を送った二人が次第に倦怠を迎える中、原因不明の震えを理由にカーリーだけ帰国することになる。母親の勧めで精神分析医にかかりながら、後にニューヨークでニックと再会し、レストランで想い出のフランス地産ワインを飲み語らった。その帰り道、二人は自然に別れた。
その夜、カーリーは再び身震いに目を醒ます。原因は地産ワインのアレルギーだったのだ。

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