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2016/01/14

Winkin' Blinkin' and Nod(2)

(カーリー・サイモン著『Boys in the Trees: A Memoir』第2部9章つづき)

カーリーがサラ・ローレンス大学時代に交際したハーヴァード大生のニックについて、ニック・デルバンコとフルネームで著述されているので、Wikipediaで調べたところニコラス・デルバンコ(Nicholas Delbanco)として作家になっておいででした。カーリーは10代の初恋から、付き合う相手は世に出た人ばかりだったんですね。しかも少女時代にジェイムスにも偶然出会っているという。

simonsisters「私は、有名になるかもしれないわ!!」。大学寮で宗教詩をフォーク・ソングにした歌を披露し、女学生達を狂喜させたカーリーは、ニックに興奮の手紙を宛てた。
週末はサラ・ローレンス大から、カーリーは3時間半かけてケンブリッジのハーヴァード大にいるニックに会いに行き、ハーヴァード大学寮のルールを破って、愛し合った。二人でロマンティックな詩を引用しながら。滞在中、彼女がハーヴァードのカークランド・ハウスでオデッタの「Bald Headed Woman」を歌った時、もはやオデッタの真似では無く、歌声は自身のサウンドになっていた。それは偶発的に起こったものだった。以降、サラ・ローレンスとケンブリッジを行き来しつつ、郊外のオーディションを沢山受けるようになり、"話すことの恐怖"から解放感を得られるようになった。

1963年夏、姉ルーシーと"サイモン・シスターズ"結成。彼女たちはヒッチハイクでケープ・コッドを目指す計画を立てた。ウディ・ガスリーの小娘版のように歌で成功することを夢見て。母親のカクテル・パーティで歌う以上の本気で臨みたかったのだ。母親はこの計画に反対したが、彼女たちは安物のギターケースを引き摺りながら巡業の旅を続行。旅先の下宿屋や安モーテルに泊まっては、穢い狭い共同部屋と隣接するレストランの騒音に疲弊しながらも、そこには若さゆえの音楽苦行の喜びがあった。

彼女たちは、プロヴィンスタウンでのオーディション情報を聞きつけ、迷うことなく受けた。クラブのオーナーは「早速今夜9時に出てくれないか」。良いチャンスだったが、不安があった。(どれだけデュエットできるかしら? どれだけコードを知ってる? どれだけレパートリーがある?)。しかし、彼女たちは練習するのではなく、寒いビーチで泳ぐことにした。そこで『オズの魔法使い』の臆病なライオン役を演じたバート・ラーになり切って、"C-C-COURAGE(度胸だ)!"と叫び、気合いを入れ自らを鼓舞した。カーリーはルーシーの前で、凍った海水を強く踏み付けた。ルーシーは笑いながら拍手で歓迎、速攻ダッシュで砂浜に上がり身震いしながらタオルをあてがった。

初めてまともな聴衆を前にしてのギグ会場は、8歩幅ほどのベニヤ合板でしつらえた間に合わせの低い舞台。目前にタトゥーにデニムを穿いた男女が集まっていた。後で聞くところによると、そこはゲイ&レズビアン・バーだった。二人は客の吠え声で、やんやともてなされながら、ジョーン・バエズの曲を歌い始めた。ルーシーがMCと、上声部を担当、カーリーが下声部。クリアーとハスキーの二つの声は理想的にブレンドされ、発音の癖も同じだった。持ち歌の「Winkin', Blinkin' and Nod」の他、ハリー・ベラフォンテの「Day-O」では満場一致で歓ばれた。
そうしてピート・シーガー、アラン・アーキン、ウディ・ガスリー、ジュディ・コリンズなど手掛けたマネージャー、ハロルド・レヴェンサルに出会い、デビュー・レコードがリリース、好評を博すこととなる。

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