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2014/07/18

粛清の習い

えっ、これで終わり…?と茫然自失。2時間20分。ミヒャエル・ハネケ監督作2009年『白いリボン』をレンタル鑑賞。
この映画を観て、なんとなく大江健三郎の小説『芽むしり仔撃ち』を思い出した。その物語内容はまたしても忘却の彼方なのだが…。

white

真相が明かされないドキュメンタリー・フィルムを見ているかのようだった。そういえばどのドキュメンタリーにおいても、事実の証明に則したかのように最後には必ずまとめが用意されているものだ。第三者によって後に語られる真実は、常にある手法にのっとって語られるものなのだ。

これは、日常と市井のそこここに潜む人間の負の連鎖をミクロ的に見つめた作品なのだろうか。
歴史と計算が苦手なので、他の方のレビューを拾い読みして、この映画に登場する子供達が、後にナチズムを支持する中心的世代となるという指摘に驚く。但し、劇中においてそれを示唆説明してはいない(監督本人のインタビューでも明言されていないようだ)。第一次世界大戦前夜というシチュエーションが控えめな役者のセリフによって表現されるまでである。

この作品では村の教師がその生き証人としてナレーション役を兼ね、若かりし頃の自らもフィルムに登場する。彼自身は他村の出身で、語り部としては、公平で客観的な立ち位置を取っているように見えるが、穏健な性格でも、当時は嫁をゲットすることばかり考えている利己的な趣味人のようでもある(教職の地位は低く、未練は無かったようだし)。

村の各事件の中で唯一、犯人が明かされているのがキャベツ畑を荒らした成人男子であることからも、村の子供達の視点に重きを置いた映画であることは間違いなさそうだ。
自ら手を染めていながら、何処か傍観者でいる子供ならではの感覚。鑑賞しながら自分にも、その感覚が蘇ってきたようだった。自分の倫理観に無自覚だった頃(果たして大人はどうか?)。この作品に描かれる対立構造は、そういう視線から描かれているのではないか。それがどこまでマクロ化すれば、人々は気づくのだろうと。現象を生み出すきっかけとは?

コメント

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Re: No title

こんばんは。

> 少々難しい映画でした。様々な事件がなんの脈絡もなく起こっているように思えて、最後の方では、私なりに、【サスペンス的社会心理学】と見なすことにしました。

悩ましい作品でしたよね。自分は2度観ました。
テーマの一つに「教育の悪」があるようです。当時の宗教教育が及ぼす影響は日本人の感覚からは計り知れないものがあるのかもしれません。
私はナレーション役の教師はある意味問題ありと見ました。学校教育が機能していないんですよね。

> 犯人は分らずじまいでDVDを返してしまいました。

どうやら牧師一家の長女と長男が主犯格のようです。テロリズムについての考察は困難ですが、
カルト集団の起こりが家族に等しい小単位から始まると想定すれば、
社会に反発する同じ考えの者が家族に2人以上いれば、ある力の増大化に傾きやすいのかな、と。

No title

少々難しい映画でした。様々な事件がなんの脈絡もなく起こっているように思えて、最後の方では、私なりに、【サスペンス的社会心理学】と見なすことにしました。

犯人は分らずじまいでDVDを返してしまいました。
いい映画を紹介頂きました。