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2013/05/10

ディテールを見つめる定点

米TVドラマ、'07年スタートした『マッドメン』のシーズン1~2を遅ればせながらレンタル鑑賞しました。
mad

大手広告代理店を舞台に、当時の政治・文化・風俗を交えながら男女の欲望や、中流家庭の葛藤など描く。
映画『シングルマン』と同様、'62年が背景で、同じデザイン・チームによる、この『マッドメン』を、まとめて観ようと。

おそらく当時の物品、内装など忠実に再現している筈で、当時を生きたアメリカ人なら懐かしさに声を上げたことだろう。僕も、'58年映画『めまい』で、主人公が高所恐怖症を矯正するために使った、黄色の脚立椅子が、このドラマでも出てきて、妙に嬉しくなった。今も売ってますね。

▼Cosco Chair with Step Stool
chair
このドラマ、変わっている。通常のドラマならあっさり飛ばしてしまいそうなシーンを丹念に描く。例えば、会社のエレベーターが故障し、高層階まで歩くシーンなど、映画では考えられない尺。後に、これが重役の心臓発作に繋がるのだが、伏線にしては生々しいほど人物を観察する。
他には主役一家が、ピクニックをして、帰りに全くゴミを拾わず散らかしたまま引きあげるシーンが、長めに映される。当時の環境配慮への意識の低さを物語る。

企業内描写がメインだが、男尊女卑著しくセクハラ、浮気だらけ。人種・セクシュアリティ差別の会話も当然として淡々と。こんな当時の企業に勤めたくないものだ、と辟易するが、非の打ちどころのないキャラクターが一人も出てこず、些末な出来事で虚栄心が見え隠れするところが意外性あって面白い。時代考証に裏打ちされた定点観測が、作品をたくましくしている。

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