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2012/12/27

脱力深化

こちらでハリス・アレクシーウの新譜情報を知り、エル・スールよりゲットしました!
haris

'92年の国際デビュー盤『祈りをこめて』以降、リリースの度に欠かさず購入してきたハリスのCD、本作より先に出た今年リリースのガラーニとの共演ライヴ盤は、初めて見送ったのでした。一部試聴してなんとなく(ヴォーカルのスキルが下がったな)と。ケルト系のレビューでお馴染みの松山さんはTwitterで絶賛していたけれど。

続く本作はスタジオ録音で、試聴した1曲目が良かったし、やはり彼女の新しい歌声を聴いてみたく。今月発売『I TRIPLA』。英名では『Dribble』。"したたり"という意味かと思う。近年他界したマノリス・ラソーリスの全編作詞によるトリビュート・アルバムだそう。

ギリシャ人のアルバムは日本の歌謡曲(かつての?)にも通じるような、カラフルながらも予定調和的な安心感がある。ほぼ全曲マイナー・キー、メジャーは12曲目と1曲目のサビ部分くらい。
ハリスはマイナー・キーが良く似合う。それにしても3年前の前作以降、ダウナーな歌い回しが立ってきた。以前にも気だるい感じの歌いっぷりなどはあったが、更にダウナーなのだ。

具体的にいえば、ピッチ(音程)が下がっている。元々、そういう表現の向きがあって、それが彼女独特の陰影を生んでいたが、まるで投げ上げたボールの自然な跳ね返りに任せるかのような節回しで、ふつうの歌手がピッチやリズムを念頭に置いて歌い込むスタイルとは対極にあるかのようだ。彼女はフレージングをとても大切にしていて、いかにも庶民歌で叩き上げてきたベテランの円熟の境地は、さらに脱力して深化してる。格上の上をいく女性歌手。
数回聴いた時点で、季節柄もあって風景と心象風景が重なるように、イメージが強くなってゆく。

初めてハリスを聴く人には、自分は昔のアルバムを薦めるだろう。ギリシャの人が、彼女に対して思い入れが強い時期は、『祈りをこめて』直前の「Fevgo」を歌ってたあたりじゃないかな。旧ミノス時代の今ほど洗練されていないアレンジだが、その頃のライヴは目の醒めるようなイキの良さ。
今でも今年のライヴ盤のほうは買うべきか迷っているが、ライヴになると生撮り動画で聴いた彼女のキーは残響で増幅されるためか半音近く下がっているように聴こえて、やや取っつきにくい印象。スタジオ盤のほうが緊密で聴き易いかも、と。

↓公式サイトのEnterより本作1曲目が試聴できます
http://www.alexiou.gr/

コメント

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Re: タイトルなし

Astral さま

こんばんは! コメントありがとうございます。

> お!早いですね。
エルスールのサイトにカバー写真がアップされたタイミングで、即オーダーしました。
後で見たら、品切れのダラーラス新作も再入荷されていて、そちらは見送りに。

>> >まるで投げ上げたボールの自然な跳ね返りに任せるかのような節回しで、ふつうの歌手がピッチやリズムを念頭に置いて歌い込むスタイルとは対極にあるかのようだ。

> 言われてみれば確かに技術的にはシンプルな方に向かっているのかもしれません。
ここまで力を抜いて歌える人はなかなか居ないと思います。かっこいいですね。
ギリシャは上手い歌手が多いですが、この境地はなかなか真似出来ないんじゃないかと。

> これからの季節にあう作品ですよね。聴きながら生身のハリスが迫ってくるようで圧倒され、胸締め付けられています。思い入れのある作品になりそうです。

ハリスの歌って、映画を観ているようですね。特に新作は映像的な感じがします。物語性が強く、それでいて聴いていて疲れません。今年のマイ・ベストはもう締めちゃったから、一年後に選出しますよ!

お!早いですね。

>まるで投げ上げたボールの自然な跳ね返りに任せるかのような節回しで、ふつうの歌手がピッチやリズムを念頭に置いて歌い込むスタイルとは対極にあるかのようだ。

うまい表現ですね。自身で歌う人ならではの視点だと思います。
言われてみれば確かに技術的にはシンプルな方に向かっているのかもしれません。

>季節柄もあって風景と心象風景が重なるように、イメージが強くなってゆく。

これからの季節にあう作品ですよね。聴きながら生身のハリスが迫ってくるようで圧倒され、胸締め付けられています。思い入れのある作品になりそうです。