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2018/12/30

ミス・フィッシャーのサントラ

port181229
Panasonic DMC-G8 LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2 2018.02

毎日記事拝見しているある自営業者のブロガーさんは、賀状廃止するので、年頭挨拶はこのブログ参照してくれ、と。それでいいと思う。手書きに拘る人などは続けて悪くないと思うが。今年で終わりにします、と一筆添える年配もいるとか。
賀状に対する不快感は、以前に記した通り、過去職場からの無自覚な近況自慢。"この賀状があなたの元へ届くころには私はパリです"とか、何年もメール会話すらやってないのに、なぜ律儀にそのような報せをよこすのか。知りたいとこちらは思っておりませんのに。ふだんイヤミな感じの人ほど、自分に楽しい出来事は、皆も共感してくれると思っているフシがある。
こちらが現在も未だ同じ処に居住しているか単に探られているような気もするだけに、是非とも個人情報は破棄してほしいもの。



ネトフリのラインナップから、かねてから気になってた豪ドラマ『ミス・フィッシャーの殺人ミステリー』のシーズン1を視聴。第一次世界大戦後のメルボルンを舞台に、良家の女主人が探偵を自称し軽快なテンポで殺人事件を推理展開する。
1920年代のファッションが楽しく、ボブカットの主役を演じるエッシー・デイビスが華やかで巧い。その他の刑事役等のレギュラー、準レギュラー陣も魅力がある。
最初の数話で、女主人が次々助けた人を豪邸に引き取って住まわせるので、単発エピソードだからといってヒロインは安請け合いしすぎだと突っ込んでいたが、後々も、救った被害者達は律儀に再登場し活躍してくれる。ほとんどシェルターのような共同生活ぶりに豪胆で慈悲深いキャラクターが窺える。

このドラマのオープニング・クレジットからワクワク。ヴィンテージなアフター・ビートのジャズが、こぼれたインクが滲むクレジットと流される。
本作のための新録と旧音源からの選曲で構成されているようだが、狂騒の文化が偲ばれるようで、BGMとしても楽しめる。

2018/12/28

OK OK OK

nanko181226
Panasonic DC-G9 LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2 2018.12

曇天が続くので、なかなか撮影に出掛ける機会がない。曇りの日のほうが淡い感じの表現が出来て好きな人もいるらしいが、ぼくは陰影のメリハリが付かないと撮りづらいんだよね。特に風景は。
この日、晴れ間が覗いたので夕景をND400フィルターを使って久々の長秒撮影に臨んだが、再生確認すると斑点みたいな汚れが一杯出てしまった。レンズを拭き取ったが、きれいに写らない。センサーのほうだろうか。通常撮影では気づかなかった。



音楽誌ラティーナでお馴染みの中原氏のブログにてブラジル音楽2018年ベストアルバムの記事を拝見し、リストの作品をランダムに聴いていた。
このジルベルト・ジルの新作『OK OK OK』は、既に以前に一聴していた筈だったが、スルーしてしまっていた。カエターノのヴォーカルより唾液分の少ない嗄れた声質に慣れなくて、この人のアルバムは若い時分のほうが良いと決めつけたきりだったのだ。

中原氏のリストにある新旧アーティストを交互に試聴するうち、ベスト1に選ばれたこのベテランの余裕にやっと気づけた。若いアーティストも優秀だが、ジルのサウンドは流石にキャパが大きいと。キャリアを誇るメインには、自ずとこれまた優れたミュージシャンが付いてくるということなんだね。
強引にいってしまえば、ジル版リヴロのようなサウンドの鮮烈さ。曲もわかりやすい。近年のカエターノのスタジオ作が『セー』の路線続きだったため、疎遠になっていただけに、自分の欲求不満をジルが解消してくれた感じ。
ジルに関しては、そのカエターノとの近年のデュオ・ライヴも高く評価しているつもりだったが、ようやくスタジオ録音作でお気に入りが出来た。
2018/12/26

生き残る脇役達

airin181226
Panasonic DC-G9 LEICA DG SUMMILUX 25mm F1.4 2018.12

同じ男優の出演作を続けて観る気になったのは、コリン・ファース以来かな。メキシコ人俳優、デミアン・ビチル主演メキシコ映画『7:19』(2016)をネトフリにて鑑賞。以下、ネタバレあり。

画像のみ
demian181225

本作でビチルの出演作の視聴は4本目。かっちょいい雄姿を本作でも観れると期待。メキシコシティを襲った大地震の物語。
序盤は、大きなビルのエントランスでの出勤者達の挨拶や会話が交わされ、瞬く間に地震。
低予算なのだろう、フレームが崩れ落ちる破片を映し出し、以降、終盤までずっと瓦礫に閉じ込められた主人公(ビチル)と、ビルの老管理人の会話を中心に展開。

ビチルの決まったスーツ姿が一転、いきなり瓦礫に足を挟まれ粉塵でおしろいお化けみたいになってガッカリ。そもそももっと派手なパニック脱出劇をこちらが予想してしまったために、市街地のロケを全く映さない地味な作りにギャップを感じ落胆してしまった。
映像はビチルと管理人以外に、壁越しに聴こえる3人の声。計5名の出演者のみ。この声だけのキャストのセリフが混線して、誰の声だかも判らない。顔と声と名前が一致しないまま、早々に映らなくなってしまったから彼らに思い入れが出来ない。
しかし、それこそ現場状況の混乱を伝えるものであり、えんえん続く閉塞感と尺の長さにうんざりしたところへ、余震。さらに体と天井の隙間が狭くなる。これはサプライズ。やられた。

やり取りの中からビチルがこのビルの所有者かつ悪徳弁護士であることが解り、ビルの手抜き工事を容認したことを管理人に罵られるなど、密室劇の様相を呈してくる。
喉が渇き、小水を自ら飲み干したコップを老人から受け取るビチル。ビチルは"ちゃんと拭いたか?"など悪態つきながら、自らも放尿するが・・・飲むのを躊躇い、捨ててしまった・・・・血尿だったからだ。
ようやく光差すラストシーン。救助ボランティアの顔が覗き、一言放ったセリフが"もう死んでる"。室内は映し出されず声だけが聴こえる。助かったのは壁越しの顔の見えない彼らのほうだったのだ。
2018/12/24

ガーファンクルのバラード集

kao181223
Panasonic DMC-G8 LEICA DG SUMMILUX 25mm F1.4 2017.11

大貫さんがタワレコのサイトに寄稿された、秋にオススメのアルバムのリストの中から、アート・ガーファンクル『Some Enchanted Evening』(2007)を聴きました。
タワレコ当該ページ⇒ https://tower.jp/article/feature_item/2018/11/12/0002



ガーファンクルのコンサートを聴いたのは1990年代だったかな、大阪サンケイホールでのソロ・コンサート。もちろん自分より年配層の観客が詰めかけていた。
しかし、この日、「明日に架ける橋」のハイトーンが出ず、ヴォイスの衰えを実感して帰ってきた記憶が尾を引いて、以降、彼のソロ・アルバムを試聴する気にならなかった。

今回の大貫さんの記事を読んで久々に聴く気になった彼の本盤、やはりS&G時代の若々しさは望めないものの、本質的な美しさは変わらず、むしろ味わいを増した充実の聴感だ。
プロデュースがリチャード・ペリー! 聴き心地が、同時期にプロデュースしたカーリー・サイモン『ムーンライト・セレナーデ』とそっくりですね。ガーファンクルのほうは、更に控えめなアレンジとサウンドで、完璧にバックアップされています。一聴したところ淡白なようで、これはかなりゴージャスです。
選曲がまた何とも良い曲ばかり。現在のところこの10年前のアルバムがディスコグラフィの最新となるようです。
2018/12/22

ジョニー・マティスのクリスマス

namba181221
Panasonic DC-G9 M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO 2018.12

せっかく買ったタブレットを、Deezerのためだけに使うのも勿体無いので、エクセルで今まで集めてきたレンズのリストを作ってみた。
一体何本所有しているか把握していなかったが、今日現在で24本もあった。まぁ、これくらい持ってるユーザーは多いとは思うが、ほとんど中古とはいえ数年でこの数だから。
ちょうどパナのフルサイズ発売予定のニュースが入ってきたタイミングで、いったんマイクロフォーサーズとAPS-Cのレンズ収集は打ち止めることができる。フジのレンズはもう少し焦点距離を伸ばしたいけど、ほんと、高くてね。
作成リストのデータには、各レンズのフィルター径も入力。サイズが同じレンズから、フォギーフィルターやらNDフィルターなど順次買い足すつもり。



偶然聴いてみたジョニー・マティス。『The Best Christmas Songs』(2017)はデジタル専用アイテムのようです。
今の感覚で聴くと、少々こってりして聴こえる向きもあるが、やっぱりこの時代はどちらを向いてもうまい歌手ばかりなんだな。力強くも繊細で、歌い手の度量の大きさがリラクゼーションを与えてくれる。

先日、シンフォニー・オーケストラ・サウンドを追加し新装リイシューされたカーペンターズの新作は、クリスマス・シーズンを狙ったものだと思うが、手持ちの盤と聴き比べると、カレンのヴォーカルもだいぶ質を上げていますね。メドレーが多くて、Deezerではギャップレス再生対応していないので、ストレスが溜まるから、いっそ買っちゃおうか悩み中。
2018/12/20

A BETTER LIFE

sakai181219
Panasonic DMC-G8 M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 2017.05

映画『ブエノスアイレスの殺人』でのメキシコ人俳優デミアン・ビチルの演技が良かったので、少し調べてみたところ、米アカデミー賞にノミネートされたほどの実力者なんですね。そりゃ確かに、妻子持ちの中年刑事が美青年に熱を上げる役柄は、相当の演技者でなくては務まらないわ。その『ブエノスアイレスの…』の女性監督は、かの名作『ブロークバック・マウンテン』に影響されたというのも頷ける。

ビチルが主演しアカデミー・ノミネートされたという米映画『明日を継ぐために』(2011)をAmazonビデオにて鑑賞。メキシコ人移民のある父子の物語。



これはまた、切ない作品。"切ない"という言葉は感想文では原則として遣わないようにしているのだが。なんとも身につまされる物語。
不法滞在についての知識が無くても一応鑑賞できるが、米国移住後に生まれた子は米国籍に当たるという点は、ラストシーンにおいて知っておくべきだろう。

父子の関係性を軸に、メキシコ人移民の暮らし、治安状況などおのずと描かれる。彼らへの感情は、猥雑な街の壁などに書かれた"メキシコ人を殺すには弾が足りない"という落書きだけでも伝わる。

父子がちょっとしたロードムービーを演じるきっかけとなった、トラック泥棒のエピソードが辛い。妹に借りた金で、なんとか中古トラック購入し、庭師の自営業を切り盛りし始めた矢先、雇った初老の男に一切を持ち逃げされてしまう。警察には通報できない。
転居先を辿り、父子の執念(むしろ息子のほうが気が強い)で捕まえた、トラック泥棒、彼もまた不法滞在者で、故郷に送金した電信控えが、殴ったポケットからこぼれ落ちて。なおも怒り続ける息子を制す、父親の人間性がここでよく表される。

父だけが送還されるラストシーン。息子に、貧乏を嫌がり逃げて行った母親のこと、父親として満足にしてやれなかった悔みを涙ながらに謝るのが辛い。製作当時より、現政権においてはさらに過酷さを増していると思うと、この作品の存在は大きいのではないか。
2018/12/18

ブエノスアイレスの殺人

asa
Panasonic DC-G9 LUMIX G MACRO 30mm F2.8 2018.10

もう10年か20年以上前に目にしただろうか、記憶が曖昧ながら思い出すには、寂聴さんが担当していた雑誌の人生相談。妻と息子のいる、ある中年男性からの手紙には、ゲイポルノ・ビデオをレンタルしたところ、偶然自分の息子が出演しているのを見てしまった、自分の性的指向を息子も受け継いだのだろうか?、妻とこの件を話し合うべきだろうか?、といったものだったかと。
寂聴さんの回答は、奥さんには一切言ってはならない、という内容だったと思う。当時、それが適切な回答なのか釈然としなかったのを憶えている。
父親と息子の側は既に、その件で認識共有していたシチュエイションだったのか、詳細は忘れてしまったが、寂聴さんの回答は、まるで家庭において、あるいは異性間において同性愛を扱うこと自体がタブーであるかのような戒めのニュアンスだったように思う。
少なくとも、子供がアダルト出演した事について、金銭的な悩みを抱えているかなど、両親の間で話し合うべき事項があった筈なのだが。
今日、寂聴さんが同様の相談を受けた際、再び同じ回答をされるのだろうか?と。



ネトフリからアルゼンチン映画『ブエノスアイレスの殺人』を視聴。主演はデミアン・ビチル。これ、あまり視聴人気がなさそうだが、興味深い作品だった。
ある富豪がSMプレイに興じた末、何者かに殺されてしまう。ベテラン警部は、容疑のあるゲイ男性シンガーを、若手警察官を囮に捜査していく。・・・

クライムサスペンスとしては、むしろお粗末といってもいいくらい雑で、飛躍した展開なのだが、'80年代ディスコ・ミュージックをフィーチャーしながらのラテンのりの感覚に、観ているうちに許せてしまうようになる。
特筆すべきは、ビチル演じる妻子持ちの警部が、美青年の若手警官に思いがけず魅せられていく心理が、疑義と並行して意外に巧く表現されていた。この作品、警察署内を舞台に、いわゆるフォビアの要素が全く描かれないのも特徴だ。
囮のその警官とゲイ容疑者とのプレイを、落ち着かない様子でモニター盗撮する警部。上司として、手をかけられまいか捜査上の不安と、男性同士の交わりへの興奮が、ダブルで描かれる。これがビチルの抑えた演技力もあって巧いのだ。
娼婦のように派手な同僚女性刑事と衝動的にカーセックスしながらも、警部の心に既に青年がいるのが具体的に描かれていないのにプロセスによって理解できる。

ラストシーン近くの情熱的なキスは名シーンかと。それ以前に、メインストリートでの多数の馬が脱走するシーンは見応えあった。あの場面で、警部は、容疑を向けた若警官を俄かにボンネットに押さえつけ、自身のベルトを緩めたもんねぇ。あれは鮮烈。直後に召集パトカーのライトアップで、警部の欲情はかろうじて堰き止められたという。
デミアン・ビチルについては、北欧ドラマのリメイク『ブリッジ〜国境に潜む闇』で初見し、他でゲイ役を観てみたいと思ってただけに個人的にも当たり作となった。うだつのあがらなそうで惹き付ける、繊細な刑事役が似合う。
2018/12/16

惜しいエイリアニスト

port181215
Panasonic DC-G9 LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0 2018.11

ネトフリ・オリジナルドラマより『エイリアニスト』のシーズン1を視聴。20世紀前のニューヨーク暗黒街で少年男娼を狙う猟奇殺人犯を、精神病研究者(エイリアニスト)とその仲間が追う。主演はダニエル・ブリュール、ルーク・エヴァンス、ダコタ・ファニング。
以下、ネタバレあり。



最終10話まで犯人の全貌を隠してうまく引っ張ったほうだと思うが、同じ筋書きでもう少し脚本に工夫の余地があった気もする。
ムード自体は自分好みで馬車交通や女性の人権、貧困など視覚的にざっと再現、役者達のシリアスな演技もいい。男娼役の少年俳優たちの演技が巧くて驚く。中には古株のような中年女の仕草まで演じていた。

破綻を感じた点は、主人公学者ラズローと旧知の仲である警視総監ルーズベルトのやり取りの中で、資産家の息子シルバー・スマイルが怪しいという路線を、ラズローがいったん否定していたにも関わらず、ルーズベルトの認識が曖昧で、悪徳警察官が尚もシルバー・スマイルを追跡する状況に、視聴者は首を傾げるのではないかと。
そのシルバー・スマイルを容疑者路線として、銀歯の個性的なキャラクターを与えながらも、活かしきれなかったのは個人的に残念。もちろん入れ込みかけたキャラクターが敢え無くこと切れるのも意外性があるが、話を引っ張るだけの釣りに過ぎなかった見え見えの捨てエピのようで不満が残る。

物語が中盤に差し掛かりルーズベルトが少年の遺体の検視立ちあいで、初めて惨殺方法に言及し、ここで急展開を見せるのも何だかな。この後もラズローの相棒ムーアの過去事件の言及から関連性を見出すなど、現場に赴きながらも捜査仲間のふとした発言で恣意的に展開される。捜査陣が即席立ち上げであったゆえの凡ミス、例えば真犯人が囮捜査に姿を現したにも関わらず、会話に気が逸れている間に逃してしまうなど、こういうシーンはもどかしくも楽しいが。

ラズローとムーアのタッグは見栄えする俳優のキャスティングで悪くない。ただムーアとサラの恋の行方にはあんまり関心ないかな。事件毎にシーズン展開するパターンのようだね。
2018/12/15

ハーブ・アルパート・プレゼンツ

koyo181214
FUJIFILM X-Pro2 XF56mmF1.2 R 2017.12

Deezerから3ヶ月利用100円のキャンペーン・メールが届いたので、再加入。ただし、このアカウントではネットワーク・プレーヤーを介せないので、PC用ミニ・スピーカーでのリスニングになってしまう。安さに釣られた。



こちらは配信のみのアイテムでしょうか。親しんでいないアーティストだと、もはやコンピなのかオリジナルなのかさえ区別付かない。『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil '66』。
Deezerのオススメのラテンを適当に流していると、このグループの「ワン・ノート・サンバ」に耳がとまった。セルジオ・メンデスについては、ぼくは単独名義のほうが渋くて好きで、ブラジル'66との名義の作品は、イージー・リスニングぽくて、あまり魅かれなかったが、こうして他のアーティストと混ぜるとやはりアレンジの実力が光る。
ハーブ・アルパートはA&M創始者でもあるトランペッター。オールナイト・ニッポンのオープニング曲、ご存じですよね?
2018/12/13

粋な贈りもの

toilet181212
Panasonic DC-G9 LEICA DG SUMMILUX 25mm F1.4 2018.12

『ハウス・オブ・カード』でシーズンもののドラマ視聴に疲れたので、米映画作品をネトフリのラインナップから鑑賞。『謝罪の贈りもの』(2015)。監督ジョーイ・クーン、主演ジョナサン・ゴードン他。
いわゆるゲイの三角関係か。といっても"気になるあいつ"だった幼馴染同士の友情関係の間柄に、出会った年上のピアニストが割り込んできて、主人公の心が揺れ動き…というシリアスな愛憎劇に至らない、エキセントリックだが淡いタッチ。

低予算っぽいが若い俳優陣の演技は堅い。物語にさほど深みは感じられず、年上のピアニストの役回りも典型的だが、NYに住む男女の幼馴染のグループのジェンダー混合の暮らしぶりが、当たり前のように扱われてて新鮮だ。既に映画の中に限られたシーンでも無いのだなと、しかしニューヨーカーだからこの自然体なのかなとも感じたり。美大学生役の主役俳優のあどけない笑顔が憎めない。
主人公の母親の理解良さ、駆け落ち寸前の状況での息子へのアドバイスなど、この作品では同性愛自体はネックになっていない。

主人公の長年の片思い相手の幼馴染の境遇が、周辺人物の絆を深めるプロットになっている点が安直にも感じられるが、ラストに素敵なオチが用意され、主人公がどちらを恋人に選ぶか想像の余地を残しつつ爽快な印象が付けられる。
2018/12/12

甦るカレン

pond181211
Panasonic DC-G9 M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO 2018.12

『カーペンターズ・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団』という新譜アイテムを目にして、シンフォニックにアレンジしたインスト作品かな?と思ってたら、なんと当時の音源にオーケストラ・サウンドを追加したものだった。



ストリーミングでリスニングしたところ、誇張もなく自然なバッキングだ。リチャード自身によるリアレンジだそう。
彼らのアルバムは、ぼくは『シングルス1969~1973』だけ持っていて、それ以外も知られた曲が多く、急いて入手することもなく過ごしてきた。
オリジナル音源で、元々ストリングスが入ってた部分は、今回まるまる差し替えしてるんでしょうね。もちろん差し替え部分のみ、ピカピカの新録音なので、カレンのヴォーカル・パートに対して聴感にギャップが生じがちなところだが、あくまで控えめだから問題ない感じ。
エンディングもトラックによっては劇的に変化しているようだ。暇があれば聴き比べに興じるのもいい。個人的に「マスカレード」がよくなった印象。
2018/12/10

主役不在のファイナル

dotonbori181209
Panasonic DC-G9 M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO 2018.12

やっと冬らしい締まった季節感に。寒さは苦手な筈だが、今年の秋のぬるさには、紅葉の見頃も分からぬままだった。

うちの賃貸マンションは水のトラブルが多い。朝方、ミシミシと音が洗面所から断続的に聞こえ始め、スプリンクラーや天井の際から、雫が俄かに降り始めた。
えーっ、と慌てて上階住人にどうなってるか状況を確かめに訪ねても、足音はするのに出てくれない。至急管理人に人員手配してもらい、結果、上階の洗面台の排水管の亀裂が原因と。
電気の配線まで水浸しなので、うちの洗面所は全面改装となった。むかし壁紙にイソジン溢した痕が、この機会に綺麗になりそう。
日程相談中の雑談では、なんでも修理の一環であるにも関わらず、プライバシーを理由に入室を断る女性住人もいるらしい。理解できる部分もあるが、建具屋を呼ばないで全部自分で処置するのは無理だろうに。



ネトフリに再加入。ケヴィン・スペイシーが例の件で降板となった『ハウス・オブ・カード』のファイナル・シーズンを視聴。
既にシーズン5の出来に不満があったが、スペイシー不在でどう帳尻合わせするか、関心はあった。せっかくここまで視聴してきたしね。

全何話か把握していなかったので唐突なラストだった。シュールな終わり方。やはり食い足りない。
本シーズン冒頭から、既に大統領死去しており、死の真相を謎めかせ、こともなげにクレア主役に女の戦いにすり替える脚本の手腕に感心はするが、既に現実の政治のほうがエグいだけに、クレアが小物のアバズレに映る。
なんというか、終始内輪揉めの展開で、民衆との構図が見えてこない。実際、制作予算を落としたのでは? ダグはキーパーソン的な扱いだったが、フランクへの思慕が、過去シーンのフラッシュバックも無く描かれるのには、やや無理を感じた。ネトフリの記念すべき第一弾ドラマがこのような終局を迎えたのは残念。
2018/12/08

シンフォニックのEP

light181217
Panasonic DC-G9 LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0 2018.11

先日購入の大貫さんの『カイエ』映像版、気に入ってリピート中。添付インタビューのやり取りにある通り、観てて恥ずかしくなるようなアーティストのPVが多い中、年月の経過に耐える作品だ。
通しで映像を視聴する時間が無い時も、流しながらふと見やるとTVモニターが、まるで小窓から見るパリがいつでも其処にあるような雰囲気。寄り添うような映像だ。



ポニキャニから2016年に発売されながら、購入見送りだった大貫さんの『TAEKO ONUKI meets AKIRA SENJU~Symphonic Concert 2016』が、SpotifyにEP盤扱いでラインナップされたので試聴。ライヴDVDのほうは持ってるけど、このスタジオ録音盤は当時、曲数が6曲と中途半端で、しかもうち2曲が千住氏によるインスト、価格設定も高かったのでスルーしていたのだ。

アレンジそのものは先にライヴ音源で聴けたので、スタジオ録音もあらためて良いな、とは思う。このアイテム、なぜフル・アルバム制作しなかったのだろう? 当初からこの内容予定だったのか。
ポップス・シンガーのフル・オーケストラのアルバムは難しいとは思った。ライヴ音源ではあまり感じなかった、スタジオ録音での、オケとヴォーカルの呼吸合わせが大変そう。声楽とダイナミズムの差があるからだろう。「Voyage」など間が持たない瞬間をたびたび感じた。ワルツ系の曲は違和感ないが。
ドラムスなどリズム隊を取り入れたほうが良かったかもしれない。

ジャンルは異なるが知りうる範囲では、ケルト系米在住アーティストの、コーニー・ドーヴァーが地元のチェンバー・オーケストラと組んだクリスマス・アルバムの失敗が頭を過ぎった。声量バランスがオケと違いすぎて、ミックスに限界が見受けられたのだ。大貫さんの、ライヴ音源のほうが自然に聴こえるのは、ホール音響とのミックスがスタジオより深く共鳴しているからではないか。
2018/12/05

再リイシュー「カイエ」

wood
FUJIFILM X-Pro2 Carl Zeiss Touit 1.8/32 X-mount 2018.11

写真もクオリティのみならず、質感というものを求めるならフィルムにも手を出すべきなのだろうけど、そこまでは経済的に無理。盛り上がりの一途をみせるフルサイズもよくよく検討してからにしなくては。
SNSで知り合ったアマの、高級カメラにグレードアップした写真を拝見する機会があるが、ボディを変えても撮り方が同じだねぇ、と感じたりもする。道具を持つほど表現の幅が広がる、とも限らないような。



大貫さんの誕生日に合わせてリイシューされた過去のアイテムの中から、映像作品『カイエ』を入手。再リイシューにして初鑑賞。
このリイシューは今年、マスタリング・エンジニアで知られるバーニー・グランドマンによる一連のラインナップの一環で唯一扱われたDVD。
なぜこれを選んだかというと、いずれもアナログ盤オンリーで、価格が高いから、という一言に尽きる。その中で唯一、このDVDが2000円ちょっとで買える。
特に『カイエ』については、アナログ盤と比較して映像版のほうがお得に感じた。収録内容が微妙に異なるようで、その点でも、彼女のシンフォニック・コンサートで初めて知った「幻惑」が、映像版のみ収録されていることも、個人的な購入ポイントとなったのだ。
実際のところ、インスト中心の作品とあって歌入り曲がどれだけあるのか不明だったが、「幻惑」「夏色の服」は、オリジナル・アルバムからの抜粋のようだ。
この2曲は最近の再録音でとても好きになった曲。しかし、当時の打ち込みの音には、昔も今も閉口する。タムタムの"ピュンッ"混じりの音色が変だ。

映像の作風は、驚くほど淡々としていて、何となくぼんやり見つめていると、音楽のエンディングには帳尻が合わせられていて、意外な幕引きが用意されているトラックもある。ほぼ全編モノクロで温黒調寄りの懐かしいトーン。本人出演は敢えて控えめに、しかし2曲分まるまるハンドマイクで歌う若い彼女をじっくり観られる。心象に沿うように、作為を込めないながらも意外性も感じられ、リピートする甲斐がある。

2018/12/03

2018年リスニング ベスト・アルバム10枚

sea181202
Panasonic DC-G9 LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0 2018.11

今年のマイ・ベスト・アルバム選出は、全てサブスクリプションによるリスニングから。近作と旧作にそれぞれ分けました。懐古趣味丸出しといわれればそれまでですが、今年はDeezer元年ということで、CD同等の音源が聴き放題となり、選択肢が一気に増え、結果的に年代が拡散したようです。単に古い作品を知らなすぎなのですが。

■近作(1999年~)
(1)Erin Bode/The Little Garden(2008)
今年初めて知ったミソネタ出身の彼女、ジャズの素地があるが、優れたアコースティック・バンドをバックにフォーキーなヴォーカルは、個人的に聴いてきたケルト系ともリンクする感覚。ポール・サイモンの影響にも納得。

(2)大貫妙子/attraction [アトラクシオン](1999, 2016リマスター)
これは東芝EMIからの初出盤が既に廃盤になった時期に中古屋で買い求め、随分前から聴いてはいたのだが、リマスタにより、テクノポップ曲の音抜けが向上した結果、俄然リピートするようになった。サウンドも楽曲も秀逸で海外にも誇れる。どなたかのブログで本作中の楽曲を"品の良い不良性"と評されていたが、まさしく。

(3)Quercus[June Tabor]/Nightfall(2017)
英国ベテランのトラッド・シンガーが、盟友ピアノ伴奏者ヒュー・ウォーレン、サックス奏者イアン・バラミーと組んだジャズ・レーベルからの第2弾。深淵に佇むような凛としたパフォーマンスにただただ聴き入る。

(4)The Four Freshemen/The Four Freshmen & LIVE Trombones(2010)
老舗男性ハーモニー・グループの2009年ライヴ録音。最近録音で5人のトロンボーン奏を加えたアレンジに魅力を感じた。もちろんオリジナル・メンバーは残存せず。本盤のメンバーは、Brian Eichenberger (lead vocals), Curtis Calderon (V2), Vince Johnson (V3), Bob Ferreira (bass vocals)。今月、東京で連続公演があるんですね。

(5)Karrin Allyson/From Paris To Rio(1999)
ブラジル音楽を探す途上で、偶然聴いたジャズ・シンガーの彼女。本盤は異色の趣向かもしれないが、歌謡的な要素が気に入った。アコーディオンのフィーチャーも私的にツボ。

(次点)Jaimee Paul with Mason Embry Trio/Too Marvelous, Andreas Vollenweider/Hymn: A Musical Christmas Card

■旧作(~1970年代)
(1)The Four Freshemen/The Four Freshmen and Five Guitars(1959)
これは爽快なサウンド。初期オリジナル・メンバーでは最高作といってもいいのでは。クレジットでは総勢9名のギタリストが参加。どういうアレンジ配分なのだろう、とてもマジックを感じる。

(2)Bing Crosby/New Tricks(1957, 2017新装リイシュー)
最も息の長い歌手の一人であるビング・クロスビーのデッカ盤のリイシューは重複無しのボーナストラック満載で、トリオのバッキングが絶妙に彼を引き立てる。クリスマス・アルバムより広く知られるべき。

(3)The Hi-Lo's/Back Again(1979)
一時、女性との混合コーラスを経て、男性4人のカムバックとなった1950年代からの人気ハーモニー・グループ。西海岸のテイストを携えて華麗に昇華。このビッグ・バンドとのタッグで以降も制作してほしかった。

(4)Os Cariocas/A Bossa Dos Cariocas(1962)
ボッサ・ノーヴァの言わずと知れた名盤を遅まきながら。いきいきと洗練されたハーモニーは、フォー・フレッシュメンと双璧をなすのでは。彼らがボッサ・ノーヴァに取り組む以前の、古い音源もラテン絵巻さながらの絢爛さで興味深い。

(5)Sylvia Telles/Briskness(2014デジタル・コンピレーション)
これはデジタル・オンリーのコンピレーション・アイテムのようです。1960年代らしい何とも懐かしい歌い口を感じた。ボッサ・ノーヴァ歌手だが、張り上げ方はイーディー・ゴーメなどを彷彿とさせる。現代でもこのような歌い方をする人はいるだろうか。

(次点)Mel Tormé/At the Crescendo, Anita O'day/Songs By Anita O'Day
2018/12/02

遺伝と縮図

nanko181202
Panasonic DC-G9 LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0 2018.11

1日のレイトショーで映画『ヘレディタリー/ 継承』を鑑賞。映画館での鑑賞は今年2回目か。以下、ネタバレ無し。

エンディングの曲がジュディ・コリンズが歌うジョニ・ミッチェル作「青春の光と影」なんだけど、何故この選曲なのか。監督の個人的な部分が投影されているのだろうか。
いわゆるオカルトですね。この時代にしては意外なほどクラシカルな作りで、『ローズマリーの赤ちゃん』あたりを思い出す。ラストはこれで終わり?と拍子抜けだったけど、全編において緊張感がゆるむこと無かった。サウンドがいい。ガブリエル・バーンを久々に見た。だいぶ老けたけど渋い。
鑑賞後に引き摺る、あの家族関係の脆さ、嘘臭さ。オカルトの体裁ながら、コミュニケーションの障害が隠しテーマだったかもしれない。