19歳のローラ(2)

ちょうど誕生日に届くようにと、前日にCD注文してみたところ、今回に限って二日がかりの一日遅れで着いてしまった。ま、先に内容は聴いて知っていましたが。

firstsongs

nyroヴァーヴのデビュー盤をCBS移籍後に新装リイシューしたローラ・ニーロ『ファースト・ソングス』。Apple Musicで試聴してから、パッケージ購入に至った第一号です。本CDのほうは日本独自リマスター盤となるので厳密には音源は異なるはず。CBSリイシュー当時の初回盤には、ローラ本人の希望によりバラの香りが付けられたそうです。

ピーター・ポール&マリーのプロデューサーで知られるミルトン・オークンが、プロデュース。アレンジはハーブ・バーンスタイン。このデビュー・アルバム制作にあたり、ローラはプロデューサーと衝突したらしいのだが、具体的な理由は解説に記されていない。
アレンジが装飾過多であったと言えるかもしれない。だが、当時の王道とも言うべき分かりやすさがあり、サウンドのポピュラリティとローラ元来の感性が合わせて堪能出来る、ともいえると思う。
ローラのヴォーカルは巧さを超えて、自由。ヴォーカルのダイナミズムに対して、バックトラックが平坦で弱いのが惜しいが、何より楽曲の豊かさが、もろもろの不満を上回ってしまう。アルバムが流れている間、全く別の時空間で満たされます。

期間限定公開

何か、たまにはブログでイベント的な事が出来ないものか、と。そこで思いついたのが、過去音源の持ち出し。
2010年にダウンロード発売された小生の楽曲の、期間限定公開(3日間予定)です。

【大地を行く】
作詞・作曲/Yasuhisa
http://sakemoge.seesaa.net/article/127943171.html

◎使用楽器・機材
ピアノ ヤマハ/ELECTRONIC PIANO P-80
マイク SHURE/BETA58A
録音ソフト ローランド/MUSIC CREATOR 2
マスタリングソフト IK MULTIMEDIA/T-RackS

アメリカ、ボルチモアにあるというマルチメディア会社からコンピレーションCD参加の誘いを受け、この曲が2度目の参加でした。メール上の勧誘だったので戸惑いましたが、ディストリビューターとしては問題無さそうでした。
が、現在は配信終了しており(そんな通知もらったか?)、当時の購入者しか聴けない状態が続いています。
ただ、元々本曲はデモとして当初ブログ公開しており、それに後から値段を付けたもので、本格的なレコーディング・スタジオ使用でもない音源に、心残りもありました。
理想としては、生ストリングスを使いたかった。ギターも友人に頼めば良かった。
宅録音手順は、後から音を重ねることを前提に、クリック(メトロノーム)に合わせて、まずピアノ伴奏を弾き通す。何につけ取り掛かり始めると難しさを痛感するもので、シンプルな3拍子のアルペジオは意外に困難で、正確かつノリを保つのに神経を使いました。

daichi

19歳のローラ

久しぶりにローラ・ニーロ(1947-1997)の『ザ・ルームズ・ディザイア』を聴いた。これはローラの死後に発売された2枚組ライヴ盤で、1993年と1994年の録音が各ディスクに収録されているのだが、ピアノ弾き語りにコーラス・グループという渋い編成が、とてもかっこよくて、スタジオ盤よりも好きだった。

スタジオ盤では、『ゴナ・テイク・ア・ミラクル』(1971)だけ持っているが、名盤と知りつつ音割れの目立つ音質のためか、あまりリピートしていない。
彼女はてっきりCBSからキャリアをスタートさせたと思っていたが、あるレビューでヴァーヴの1967年デビュー盤のほうが上品で丸みがあり、柔らかいとのこと。早速Appleで試聴してみたら、、これが一番好きかも。

Laura Nyro/The First Songs
firstsongs

19歳でこれだけやれてたのか。凄いな。フィフス・ディメンションがカヴァーしたような、陽気なアフター・ビートの曲調が多く、他作ほどヘヴィなプロデュースを感じさせず聴きやすい。ゴスペル、ソウルを飲み込んで、キラキラしたNYの音が限りなく素敵。
この実質デビュー作を、後に米コロムビアが1969年にマスター買取り、曲順を一部変更して上記ジャケットで発売したらしい。

(2)Billy's Blues
https://youtu.be/pD6ScUitfeI

"There you are again"インタビュー

リヴィングストン・テイラーを好きな人は恐らく彼とほとんど同世代で、初期作や、『ライフ・イズ・グッド』などのAORアルバムがきっかけだろうが、僕にとっては『There you are again』だった。
『There you are again』発表後、リヴが来日した当時(56歳)のインタビューがミュージック・マガジン2007年2月号に載っていたのを見つけたので、以下、発言から一部引用させてもらおう(【】内が同誌引用部)。インタビュアーは小倉エージ氏、新高輪プリンスホテルにて。

liv

●初の全曲オリジナルとなった新作のきっかけについて
【マギーと別れて以来、自由に、思い通りに曲作りが出来るようになったことに気づいたんだ。溢れるように曲が湧いてきた。ここ5年というものは、僕のキャリアでこれまでになかったぐらい多作になった。】
【マギーはクレイジーな生活や、冒険することが嫌になったんだ。安穏としたごく普通の生活を望んでいた。僕はそうじゃなかった。で、家を出て、ハーヴァード大学の寮に運良く入り込んだ。以来、アカデミックなエネルギーを感じながら暮らしたおかげで、曲がたくさん書けた。】

●新作のお気に入り曲は?
【どれも好きだよ、僕の子供だもの。たとえば「ステップ・バイ・ステップ」の曲作りはとても楽しかった。南部のゴスペル風の曲で、様々な登場人物を描くのが楽しかった。一人じゃないと書けなかった。】

●アレックスのために書いた「マイ・ベイビー・ドント・マインド」について
【妻にしろ、恋人にしろ、クレイジーな振る舞いを支えてくれるパートナーがいることが僕たち全員の夢なんだが、実際にはそんなことは起こりえない。それに、今、自分の身に何が起こっているか、その現実がわかる年頃になったからね。30歳の頃のように、未知なるミステリーを抱えているわけでもない。いまだにクレイジーな冒険を追い求めているとしても、40年間うまくいかなかったとしたら、今後もその可能性の方が高いだろう。でも何事もうまくいかなかったかもしれないが、冒険を恐れず、それを楽しんできたことが素晴らしいと思った。それが肝心なところなんだ。自分がどうあろうと支えてくれるパートナーや友達のことも。そんなことに惹かれて歌にした。】

●自信作であるタイトル・トラックについて
【自分の弱点を恥ずかしいと思わなくなった。弱い歌詞だと思ったら、隠さないでより大きな声で歌う。出来のいい歌詞ならその必要はないから。そういう心境になった時、溢れるように曲が湧いてきたんだ。】

●曲作りの支えになったカーリー・サイモンについて
【彼女は素晴らしいソングライターだ。そして、僕にはエディターが必要だった。曲はどんどん出来たが、出来栄えがわからなかった。曲が出来ればカーリーに聞かせた。素晴らしい助言をくれた。「ゼア・ユー・アー・アゲイン」については、完璧な曲だと言ってくれたよ。】

青のメランコリー

ブラジル音楽は、男性ヴォーカルなら好きな人は何人もいるのに、女性シンガーはなかなか見つからないという話を書きましたが、こちらの彼女は良いと思いました。その名はアドリアーナ・カルカニョット。

ADRIANA CALCANHOTTO/Mare
mare

Appleにて試聴。ミュージック・マガジン2008年8月号のラテン・レビュー(評者は原田氏)を参考にしました。本アルバムはアート・リンゼイとの共同プロデュース。公式サイトを確認すると既にライヴDVD含め、かなりの作品数がソニーからリリースされている人だった。

ヴォーカルが透明で少しデカダンスを感じさせつつ、のびやかさがあるから暗くなり切らない。アレンジの隙間感が良いです。心象風景的なヴィオラや、低いブラスが印象的。原田氏の評が的を得ている。
【いかにもブラジルのソングライターらしい、アマチュアっぽい繊細さ、とでも言うべきものが堪能できるし、線は細いが丁寧で淡々とした歌い口もいい】(同誌レビューより一部引用)

https://youtu.be/HY0yIHpQrxc

ニュー・ソウルのメジャー7th

これは一ヶ月前からAppleで聴いてすごくきれいだな、と思ってたんだけど、有名盤なので今頃どう記事にすればいいやら。1971年作。

Marvin Gaye/What's Going on
marvin

学生の頃に試聴した筈なんですが、当時は解らなかったみたいですね。他の作品と聴き比べても、とりわけアレンジがきれいで、録音のマジックも感じる。深めのリバーブがストリングスやヴォーカルを滑らかに吸い込んでいく。
歌詞内容は調べてないけど(メッセージ性が強いらしい)、メジャー・セブンスの多用が、アルバム全曲を流れるメドレーのように聴かせる。

ピーター・バラカンさんが、MM誌の2001年ベスト・アルバムに、25トラック追加リイシューされた本盤を挙げておられました。
バリー・ギブのヴォーカルと少しフィーリングが近い気もしたけど。ビージーズのファルセットは驚異的ですね。

▼タイトル・トラック
https://youtu.be/H-kA3UtBj4M

サタデーエッセー

NHKラジオ第1で放送された『サタデーエッセー』の、大貫さんがゲスト出演の際の音声ファイルが、こちらで聴けます。
音楽活動に関する話題は出ませんが、戦後70年にあたり、大貫さんの亡き父上とのエピソードなどを交えた想いが語られています。

羊たちの沈黙

これもVHSで持ってたんですね。あまりにポピュラーな作品なので物語紹介するまでも無いでしょう。1991年アメリカ映画。

foster

アカデミー賞を沢山獲っているが、それほどのスケール感は無かったような。プロットが簡潔な、よく締まった出来だったとは思うが。ホプキンスとジョディの演技は優れていたし、スコット・グレンも良かった。続編、別編なども観応えはありましたが、いかんせん感傷的になりがちなのは仕方ないか(いずれも当方原作未読)。

今年か去年だったか忘れたが、ジョディのプライベートの話題がフジテレビ系『とくダネ!』で取り上げられていて、小倉キャスターが「ジョディは、子供に自分のことをママと呼ばせてるの?それともパパ?」と言って、スタジオがクスクス笑いの空気に包まれたのを観て、これは一体いつの時代のTVを観てるのやら、と錯覚しそうになった。コメントを求められた出演の若い女性作家も、「さ、さぁ、どうなんでしょう」と、わざとらしく濁していた。菊川さんがどんなリアクションだったかは憶えていない。

トレイラー(字幕無し)

言葉の傷・伝わらない言葉

断捨離の一環でVHSテープを整理し始めています。デッキをこの段で買い直す気にもなれず。結構、いい値段してたんだなぁ、と溜息をつきつつ。
ジャケットだけスキャンして残すことにしました。今回は中島みゆきさんの『夜会Vol.8 問う女』。1997年作品。

nakajima
東急文化村シアターコクーン上演作品の映像化。根岸吉太郎がロケ映像含む監督。全曲書き下ろし。音楽監督は瀬尾一三。
地方局のアナウンサーを務める主人公、綾瀬まりあは、台本に書かれた通りに読み上げる日々に葛藤を抱く。ある夜、"にまんろくせぇんえん"としか言葉を発しないアジア系売春婦に出会い・・・。ラストで主人公がリスナーに向かって初めて自分の言葉で語りかけたその時・・・。
歌唱曲数が比較的少ないが、彼女らしいテーマと感じ、僕は好きな演目だった。

nakajima2
【抗う水には 行く手は遠い
崩れる水には 岸は遠い】
【ただ流され行く心に 言葉はいらない】(「RAIN」より)

イエペスのアランフェス

ふとロドリーゴ(1901-1999)の『アランフェス協奏曲』が聴きたくなったが、CD時代に突入してすぐの頃に買った盤は、とうに手放していたようだ。あれはギター奏者はイエペス(1927-1997)では無かった。

yepes

手持ちの『アランフェス』がマイルス・デイヴィス編だけなのも何だし、ちょうどPENTATONEのグラモフォン・リマスター・シリーズで発売されたので入手。演者はイエペス、ナヴァッロ&フィルハーモニア管、イギリス室内管。
このシリーズはSACDとしては2000円程度の手頃な価格なので嬉しい。ユニバーサルの国内盤(シングルレイヤー)なんか1枚4600円ほどもする。あんなの買えないよ。

久しぶりに逢えたオリジナル編。録音は1979年と古いけど、SACDのポテンシャルを最大限に引き出したリマスタリングだと思う(ただ、当方、相変わらずマルチチャンネル環境に無いのが残念だが)。ギターの音量とのバランスのためか、あまり左右に振らず、センターに集めた感覚のミックスになっている。

いいなぁ、このスペインの直情的な抒情性。先週末、近辺で大きな花火大会があり、遠くの爆音をバックに、これを聴いていたが、不思議としっくりきた。あまりクラシック音楽というカテゴリーに囚われず、季節のサントラのような感覚で流してる。この開放感は、エアコンを利かせ閉め切った部屋で聴くより、あえて窓を開けて外気に触れながら聴くのが合ってる。
収録曲は他に、同作曲者の『ある貴紳のための幻想曲』、『マドリガル協奏曲』。Apple Musicでも従来音質で聴ける。

▼別ライヴ映像、アランフェス第2楽章
https://youtu.be/RxwceLlaODM

アンフェア解説

錦織選手の試合をBS朝日などで観られるようになったのは有難いが、海外ライヴだから深夜や早朝の放送が多くて、合わせるのが大変。録画放送もあるんだけどね。
先週のワシントンD.C.でのシティ・オープン優勝に続き、今週はモントリオール。ナダルとぶつかれば面白い。そして今月末はいよいよ全米。
ミヤネ屋でやくみつる氏が、今度の全米では言い訳が利かないぞ、などと言ってたけど、あれは今年のウィンブルドンでの故障棄権のことを指していたのだろうか? それとも昨年の準優勝へのリベンジの意味合い? 訳がわからない。

BS朝日の解説者の件は、観た人達の間では話題になってたみたいだ。神和住純さんの対戦相手に関する解説が「ミスしろ!」とか平気で言ってる。WOWOWとはえらい違い。錦織の球がコートボールになり、フォルトしそうになる直前に、相手選手の体に当たりそうになり、ボールが当たると相手の失点になることから、「ボールよ相手に当たれ!」とか、実況アナウンサーも一緒になって騒いでる。放送後、テニスファンは怒りの意見を番組に寄せていたようだ。

僕はというと、まだテニスTV観戦を始めて数年程度で、ただ呆気にとられていたまでなのだが、いずれにせよ、錦織は自国選手だから視聴者は彼の試合を心待ちにし、勝てば尚の事うれしい。ただ、日本のテニス界はトップ選手の層が薄いので、他国選手の特長も視聴者に理解してもらえるような解説を続けないと、彼が引退してしまったら、途端にまたテニス関心が薄れ、下火になってしまう。
神和住さんの前に解説を務めた米澤さんのほうも、滑舌が悪くて田舎臭くて耐えられ無かったけど、今から思えば内容的には中立を保っていたように思う。神和住さんの解説は、テロップ付きで相手国に放送されたら、なんと民度の低い国だろうと、思われかねないのでは?

神和住さんはデビス・カップの監督も務めていらしたんですね。実際、それを引き合いに、解説中は応援心理が働いたようだ。それと、やく氏の欧米の試合をつぶさに観戦するでも無い素振りにも関わらず、選手に対しては容赦が無いのと、どこかで通底するものがあるように思うのだが、うまく説明できない。表面的には、元テニス・プレーヤーと元相撲協会委員に共通点は無く、錦織を応援する立場としては共通しているのだが。

ロドニーのファースト

僕宛ての"For You"のプレイリストって、何故かフランク・シナトラばっかりなんですね。なんで?と思い返せば、iTunes Storeが始まった当時、シナトラのアルバムを3.4枚ダウンロード購入したんだよね。でも、今は聴いてないから。シナトラ除く、とかいう設定はないのか?
"For You"はほとんど使わないが、気まぐれにクリックしたアルバムから、何処かで聴き憶えのある曲が流れてきた。ロドニー・クロウェルの1st.アルバム『Ain't Living Long Like This』(1978)です。

rodney

この方のアルバムは全然聴いたことなくて、最近、エミルー・ハリスとの共演アルバムが連作でヒットしていますが、試聴してもまだピンと来ていなかった。
このファースト盤の(1)「Elvira」でハッとした。ハワイの男性デュオ、カアウ・クレーター・ボーイズがカヴァーしてた曲だ。これがオリジナルなのか? カアウのほうはドゥワップっぽいフォーキーなアレンジだった。

いわゆるカントリー・ポップにあたるのだろうか、一口にカントリーといってもロック・ポップスと様々な要素を盤石に絡めているのがすごい。'70年代らしいナチュラルにバンドの遠近感が出た音像も好ましい。
元はエミルーのバッキングを務めていたんですね。ヒット曲、セッション多数。往年のファンがエミルーとのアルバムに狂喜するのが分かる気がする。

https://youtu.be/HxP73R-EBZM

Apple Musicで聴けるよ!(11)

今後発売の新作が同時にストリーミングで聴けるかどうかは、アーティストの公式サイトで分かるのだろうか? あるいは期間を置いてからストリーミング開始する際も、予定など告知はあるのだろうか? でないとCDで聴くかどうか迷ってる人には困りますよね。旧譜もいつのまにかストリーミング・アップされてたら見過ごしそうです。

◎デクラン・シノット率いるバンドとメアリーの歌唱は完璧
mary
「Mary Black/The Holy Ground」

◎ジョー・ヘンリーがプロデュースしたオールド・ジャズ
allen
「Allen Toussaint/The Bright Mississippi」

◎カリプソの大スターの初期音源集
mighty
「Mighty Sparrow/First Flight」

◎初期の自作ボッサ・ノーヴァ集
marcos
「Marcos Valle/O Compositor e o Cantor」

◎故ジョルジュ・ムスタキの名曲をカタルーニャ語でカヴァー
marina
「Marina Rossell/Canta Moustaki」

THE ST.JAMES'S CHURCH CONCERT

ダン・ペンの恐らく初DVDアイテムとなる、ライヴ作品が届きました。ダン・ペン&スプーナー・オールダム『THE COMPLETE DUO RECORDING』(2015)。

danpenn

これは先に発売された'98年録音ライヴCD『MOMENTS FROM THIS THEATRE』と、DVDとのセット売りになっているため、CDのほうはダブリとなってしまう。
DVDのほうは、てっきりCDと同じ'98年ライヴの映像版が丸々収録されているのかと思ったら、2006年の最新ライヴ映像で、全く別の音源でした。
DVDはCD音源よりも臨場感のある明晰な音質で、ダンの歌のうまさを余すことなく伝えている。CDのほうは、ちょっとイコライザーがきつくかかった、ややバランスを欠いたミックスだったように思う。

映像は、シンプルというか地味なほどのカメラワークと編集だが、これだけじっくりダンの表情がまとめて観られるのは有難いことだ。
ボーナス・トラック映像も、同じ教会でのレパートリーだが、若干映像が粗くなり、音もラフ・ミックスになる。2カ所ほど音飛びがあった気がするが。
ダン自身による「Rainbow Road」は初めて聴けたような。「Zero Willpower」もメイン・トラックに入れて欲しかった。いずれにしても、過去に味わうことの無かった音場のクオリティで聴けたことに、満足できた。

汎ラテン・グルーヴ

アルバム・ガイドが載った音楽誌を片手にApple Musicで試聴すると便利ですね。以前はYouTubeでそれをやってたけど、アルバムをフルで聴けるとは限らないので。
ミュージック・マガジンの過去号は興味ある特集部分は切り取って、順次廃棄しているが、落ち着いたら久々に雑誌を買うのも悪くないかもね。

このトライアル期間に、極力ヴォーカルものを中心に探し当てたいが、MM誌2010年1月号の年間ベスト・アルバム、ラテン部門1位のクァンティック・アンド・ヒズ・コンボ・バルバロ『トラディション・イン・トランジション』がインスト中心だが、気持ち良く聴けた。コロンビアに移住した英国人DJウィル・ホランドがリーダーらしいが、よくここまでラテン要素を煮詰めたものだ。

Quantic and his Combo Barbaro/Tradition in Transition
quantic

こんなふうに気持ち良い音楽を探し当てるのに、僕の場合、あまりリアル店を介さないで、タイムラグで雑誌やブログなど参考にさせてもらうのが向いているようです。店員の前で試聴させてもらっても落ち着かないし、即決しかねるから。

リアルタイムに他人に勧めたり、勧められたりするのは難しい。以前、マニアの間で偉そうにされて不快な経験しただけに、聴き放題に頼れるのは有難い。なんか、音楽を聴く側の人達での先輩後輩みたいな上下関係って、実技の指導者との師弟関係を経験している僕の感覚からすれば興味ないんです。贔屓のリアル店は関係者の楽器店ルートがあるし。確かに聴くだけの人のほうが、同じ曲を何度も練習してる人より、沢山知ってるとは思いますけど。
他人に勧めても、スプリングスティーン好きのジム知人のように「もっと、若くてきれいな姉ちゃんやったら、聴き込んだるけどな」といったゲスな感想が返ってくるとガッカリする。これまた極端な例だけど。

そういえばライヴ・バー経営する友人とは、バンドで合わせた経験があっても、嗜好を照合したり勧めたりすることは案外なく、干渉し合わない感じなのだ。淡々といつの間にか25年程の付き合いになる。

氷雨(スキャット付)

Apple Musicは邦楽ラインナップがまだ充実していないので、検索は一か八かだ。
2010年1月号のミュージック・マガジン、この号で紹介されていた日野美歌さんの『横浜フォール・イン・ラブ~Premium version~』は、当時は残念ながら試聴機会が無く、そのまま忘れていたのだった。

Apple Musicで聴けた(日野美歌で検索)
yokohama

MM誌では2009年ベスト・アルバムの歌謡曲ジャンル第5位。ジャズ・アレンジを施したカヴァー・アルバムだが、とても良い。ちあきさんを聴いた時のような充実感で思わず笑みがこぼれた。

去年、友人から冬美さんのカヴァー・アルバムのプロモーションCDを譲ってもらったが、正直なところ歌い口が媚び過ぎていて、受け付けなかった。バッキングは名うての日本のミュージシャンを起用しているというのに。
日野さんのほうは、アレンジャー名が未確認だが、凝り過ぎないあっさり目のアコースティック・ジャズで、いろんな畑からの選曲も、幕の内にならず落ち着いた佇まい。歌い口も演歌演歌した感はなく、要所で押さえていく。しかし演歌系の歌手って、ビブラートかけながらポルタメントするのが巧いよねぇ。
"ホテル・ニュー・グランド"なんて歌い回しでは、洋楽の世界とはまるで違うホテルの絵が浮かぶ。

「海を見ていた午後」はアフター・ビート、「秋の気配」はボッサ・ノーヴァ風。持ち歌「氷雨」のリアレンジはジャズ・4ビートだが、コード感は中庸。アウトロのスキャットには驚いたが、自然体。
たとえば由紀さんが、ピンク・マルティーニを離れてからのソロ制作が、今一つうまくいっていないように僕には思えるのだが、本作を聴くと、オーソドックスな歌とバッキングの均衡にスムーズに入っていけた。

Amazon全曲部分試聴 http://u888u.info/mZa1

"note"評

読み返している過去のミュージック・マガジン、興味あるアーティスト、ディスクが載ったページは折り目が当時のまま残っている。
2002年3月号は、カエターノ・ヴェローゾのライヴ盤に折り目が。これだけ買いましたね。
大貫さんの『note』のレビューが載っていた。そうか、このころ未だ僕は彼女に関心が無かったからスルーしていたのだ。
処分前に、ここに一部引用させてもらおう。

「ALBUM PICKUP」から名小路氏のレビューの抜粋
【さて1年8か月ぶりのこの新作は、山弦とのセッションを軸とした快作である。(9)や(10)がいかにも大貫らしい余情にあふれた曲で、ストリングスを使った包み込むような美しさがあるのに対し、山弦がらみの(2)や(8)は個々の音がぶつかり合い、まるで会話をしているような感じで、そこから生まれてくる情感の深さ。歌詞の表現も細かい情景描写は少なく、(1)での"正直になれることが今どれだけあるんだろう"のように、素直な心情がてらいなく描かれているのが印象的だ。】

同号「ALBUM REVIEWS」からレビュアーは今井氏
【山弦こと小倉博和・佐橋佳幸のギター・デュオと組んで制作。生楽器を巧みに配したオーガニックなアレンジは得意とするところだが、その柔らかな手触りの中に、平和を願う(8)のように簡潔な言葉で主張が歌い込まれ、一段と凛とした気迫さえ感じさせる。】10点満点中9点

大貫妙子/note はApple Musicで聴けます

Dragonfly

過去のミュージック・マガジンを処分直前に拾い読みしていたら、フン・タンの文字が。
聞き逃していた『Dragonfly』(2001)にやっと巡りあえた。なるほど、ベトナム語の伝統的歌唱にフュージョンの要素など巧く合わさり、とても洗練されている。

HUONG THANH/Dragonfly Apple Musicで聴ける
HUONG THANH

アレンジそのものが良いんだけど、録り方も、ガムランみたいな音色や、ミュートのトランペットなど、ゆらゆらと背景にしのばせるような浮遊感を醸し出している。今日の昼間にぴったりだった。

彼女のアルバムについては、これ以降に出たベトナム伝統音楽集を初めて買い、ちょっと取っつき難いままだったんだけど、本作を先に聴いてれば良かったですね。
もう一枚、2013年に発表された中国・韓国・日本の伝統楽器との興味深いアンサンブル・アルバムも聴いてみたが、こちらもアレンジのバランスが良く、ほっこりとさせられる。歌唱が安定していて、プロデュース力に長けた頭の良い人なんだろう。
ただ、ラストの「さくら」は、日本語の発音がまずくて興ざめ。ひょっとしてその前のトラック「アリラン」の発音も怪しいのかな。これはワールド系の落とし穴。いくら音程が良くても歌は言葉が大事なんだと再認識させられた。

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 シャケ/YASUHISA

Author: シャケ/YASUHISA
男性 昭和40年代生まれ

愛猫カオ(ロシアンブルー)と同居
常にマイブームがないと生きていけない

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