ハリスへの想い(2)

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結局、買い控えていたハリスとガラーニのライヴ盤、ダラーラスの新作とあわせて、再びエル・スールにオーダーしました。到着楽しみ。一気にギリシャ・モードです。

今回のハリスのスタジオ新作は、曲順構成も大胆に感じます。2曲目から9曲目まで畳みかけるようにカオスを引き出して、10曲目以降にはカタルシスを得られる仕掛け。まさにギリシャ音楽ならでは。

さて、ハリスの旧譜回顧、2日目です。

祈りをこめて(1992)より
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Na Ziso I Na Pethano by Haris Alexiou on Grooveshark

言わずと知れたベスト・セラー・アルバム。この作品で初めてハリスを知りファンになった人は多いと思います。一回こっきりの来日ライヴを見逃した後悔は大きいが、東京のみでしたからねぇ。仕事の状況から無理でした。

Whispers(2000)より

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Patoma by Haris Alexiou on Grooveshark

ギターとピアノのみの伴奏で、これほどじっくり聴かせる歌い手は他に知らないと言っていいくらい、大好きなアルバムです。編成次第で抑制のきくヴォーカル・テクニックに脱帽。

ハリスへの想い(1)

ハリス・アレクシーウの今月リリースの新作『I TRIPLA』(英名『Dribble』)、何度も聴いています。観終わった映画をまた最初から繰り返すように。身を投げるように命懸けで、どこか突き放したようなダウナーな歌い口。そして緊張感のあるサウンドがカードを繰るように次々と彩られていく。

あらためて旧譜を聴くと、ヴォーカルが素直に聴こえます。やはりピッチの感じが今と違います。それで今は新作が一番好きです。
ここでハリスの旧譜を振り返ってみます。手持ちを出してみたら出てくるわ、出てくるわ。なぜか『祈りをこめて』が見つからない! 初期ミノスのアルバムはあまり持っていません。一部は公式e-shopからダウンロード購入したのですが、一部欠損したまま、中途半端な蒐集になってしまいました。

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LIVE '92-'96(1996)より
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To Tango Tis Nefelis by Haris Alexiou on Grooveshark

ライヴ盤ですが、この曲のみ単独スタジオ録音。ロリーナ・マッケニットとどういう経緯で出会ったのか、ケルトとギリシャの出会いを違和感なく受け入れられる哀愁キー。ハリスへの入門曲として親しみやすいかと思います。

ネフェリス通りにて(1995)より
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Panselinos by Haris Alexiou on Grooveshark

たおやかなアコースティックのバラードが紡がれる。このアルバムでハリスにうんと惚れたといってもいい。アクの強いレンベーティカ調の歌が少ないぶん、これも入り口として最適なアルバムでしょう。

脱力深化

こちらでハリス・アレクシーウの新譜情報を知り、エル・スールよりゲットしました!
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'92年の国際デビュー盤『祈りをこめて』以降、リリースの度に欠かさず購入してきたハリスのCD、本作より先に出た今年リリースのガラーニとの共演ライヴ盤は、初めて見送ったのでした。一部試聴してなんとなく(ヴォーカルのスキルが下がったな)と。ケルト系のレビューでお馴染みの松山さんはTwitterで絶賛していたけれど。

続く本作はスタジオ録音で、試聴した1曲目が良かったし、やはり彼女の新しい歌声を聴いてみたく。今月発売『I TRIPLA』。英名では『Dribble』。"したたり"という意味かと思う。近年他界したマノリス・ラソーリスの全編作詞によるトリビュート・アルバムだそう。

ギリシャ人のアルバムは日本の歌謡曲(かつての?)にも通じるような、カラフルながらも予定調和的な安心感がある。ほぼ全曲マイナー・キー、メジャーは12曲目と1曲目のサビ部分くらい。
ハリスはマイナー・キーが良く似合う。それにしても3年前の前作以降、ダウナーな歌い回しが立ってきた。以前にも気だるい感じの歌いっぷりなどはあったが、更にダウナーなのだ。

具体的にいえば、ピッチ(音程)が下がっている。元々、そういう表現の向きがあって、それが彼女独特の陰影を生んでいたが、まるで投げ上げたボールの自然な跳ね返りに任せるかのような節回しで、ふつうの歌手がピッチやリズムを念頭に置いて歌い込むスタイルとは対極にあるかのようだ。彼女はフレージングをとても大切にしていて、いかにも庶民歌で叩き上げてきたベテランの円熟の境地は、さらに脱力して深化してる。格上の上をいく女性歌手。
数回聴いた時点で、季節柄もあって風景と心象風景が重なるように、イメージが強くなってゆく。

初めてハリスを聴く人には、自分は昔のアルバムを薦めるだろう。ギリシャの人が、彼女に対して思い入れが強い時期は、『祈りをこめて』直前の「Fevgo」を歌ってたあたりじゃないかな。旧ミノス時代の今ほど洗練されていないアレンジだが、その頃のライヴは目の醒めるようなイキの良さ。
今でも今年のライヴ盤のほうは買うべきか迷っているが、ライヴになると生撮り動画で聴いた彼女のキーは残響で増幅されるためか半音近く下がっているように聴こえて、やや取っつきにくい印象。スタジオ盤のほうが緊密で聴き易いかも、と。

↓公式サイトのEnterより本作1曲目が試聴できます
http://www.alexiou.gr/

マ・メール・ロワのシングルレイヤー

EMIのSACDシングルレイヤーを初めて買ってみました。
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発売日前日にタワレコのリアル店舗にて購入。クリュイタンス&パリ管のラヴェル「マ・メール・ロワ」、一体、何回買い直した事でしょう。3980円ですよ、高過ぎ。
せめて1年前に出たハイブリッドをお持ちの方は、いくばくかの交換手数料にてシングルレイヤーをお求めいただけます、とか粋な計らいをしてくれたらEMI、好きになるのに…。

音質ですが、冒頭のハープから一層の広がりを感じた。が、リマスタリングそのものの音源はハイブリッドと同じなので、初めてハイブリッドでリマスタリングを聴いた時ほどの、飛躍的な変化は勿論感じられない。個人的には大差無いと感じました。尤も「マ・メール・ロワ」はフル・オーケストラでは無いので、余計に違いを感じ取りにくいのかもしれませんが。

この程度の違いなら、他の手持ちのハイブリッドからの買い替えは止めておこうと思います。年明けの新規発売のマルティノンのラヴェル集だけシングルレイヤーで買おう。組物なら割安だし。後は英EMIからの廉価ハイブリッドの発売を気長に待つことにする。

個人的にはエソテリックを知ってから、EMIのSACDに関しては当初の感動が薄れてきつつある。録音年代の違いもあるだろうが、エソテリックのほうがウチのオーディオには合っていそう。

それにしても今回のシングルレイヤー、これほどの価格なのだから、パッケージにもう少し趣向を凝らしてくれるかと思いきや、LP発売時のデータが四つ折で新たに付録されている程度で、特に裏ジャケ裏の次回発売分の予告刷りがチープで、SACDがまるで雑誌に挟み込まれているかのような粗雑さを感じてしまう。
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今年購入ベストCD(ジャズ)

ジャズは、エラなど有名なヴォーカル名盤を聴く以外に、インストは全くといっていいほど縁がありませんでした。
インストの購入はこの一点だけ。34枚組。マイルス・デイヴィスのboxセットは沢山出ていて、コスパが良い(一枚あたり百数十円かな)このアイテムを選んだが、初心リスナーとしてはこの初期~'60年の録音物が、結果としてとっつき易かったと思う。
音質もまずまず良いし、ボーナス・トラックが無いのは、かえってヘビロテしやすい。個々のジャケがカヴァー・ジャケと全部同じなのが識別しづらいですが。

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34枚も平らに聴き込んではいない時点ですが、特にチョイスしたのは繊細でイキイキとした「Workin'」、残響が美しい「Kind of Blue」、管の和声が華やぐ「Miles Ahead」の3点です。

http://www.youtube.com/playlist?list=PL8B3649EAE3A87E6C
http://youtu.be/hB669XXjnUg
http://youtu.be/B6An6vVxU0A

落ち着き払った名唱

「いいじゃないの幸せならば」が聴きたくて、佐良直美さんのベストCDを中古購入しました。
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物心ついた頃には、彼女が上手い歌手とは知っていたが、どちらかといえば司会者としての印象が強く、レコードは一枚も持っていませんでした。
由紀さんのカヴァーをきっかけにあらためて聴いてみると、若いのに落ち着き払った安定した発声で、近年の歌手には無い魅力が感じられます。

シンガーって60歳前後で、岐路があるような気がします。最近、この世代のシンガー&ソングライターと、プロ・シンガーの実力の差がより明白になっている。一世を風靡したSSWが、声の曲がり角に来てるんですね。
先日、ユーミンの特集番組を観て驚いたのは、声が出なくなっているのを包み隠さず放送していた事。即興でセッションするシーンでは、下顎に力が入り過ぎて、高音が出づらそうだった。
一方、SSWの台頭の陰に隠れてしまった従来のプロ・シンガーは、我流と違って、ちゃんと師事している。活動を継続してきた由紀さんが、その実力を見事に証明してくれました。

佐良さんもしかり。今日届いたばかりの本作を聴くと、大河的な洋曲が合う人だと思った。現在も全く衰えていないそうだし、ニュー・アレンジでぜひ再録していただきたいですね。

声の密度のちがい

今年の紅白は由紀さんの出演部分だけ観ようと思っています。
以下は偶然みつけた動画。前者の歌い手さんとあえて比較すると、歌い回しの細やかさや声の密度の違いが歴然としています。

今年購入ベストCD&SACD(クラシック)

今年、クラシックは廉価盤CDに加え、SACDプレーヤー購入を機に、前半はEMIのSACDハイブリッドなどかなり購入しました。
後半には、初めてエソテリックから'90年代録音盤SACDを2点購入すると、その音質の良さにシックリきて、EMIハイブリッドのほうはあまり聴かなくなってしまいました。

買い込むばかりで未だジックリ聴けていない物が多いですが、ベスト選出は作品・演奏・音質など総合して思い入れのあるものを3点挙げます(クラシックは長年聴いていなかったブランクもあり、ほとんど新録に関心はありません)。

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(1)ピエール・モントゥー&ロンドン交響楽団/ラヴェル『ダフニスとクロエ』全曲(2011年発売、Decca Sound(50CD)より)
ラヴェルの管弦楽曲はクリュイタンスを基準にしていたが、EMIのラヴェル集の中で「ダフニスとクロエ」だけ、あまり集中して聴く事が出来ず、単に曲が長いから聴き込めないのかな、と思っていた。
デッカのボックス・セット入手を機にこのモントゥーの'59年録音を知り、途端に惹き込まれた。水脈のように滔滔と流れる管弦。クリュイタンスよりもっと精緻で立体的な印象。深くて上品。さすが初演者の貫禄。
ラヴェルは何でこんな曲が書けるんだろう。なんてクールなアレンジ。
よりによって、この盤に限って今年国内SACD化の発売予定が中止になったんですよね。残念。

http://youtu.be/_M0boaBa6QM

(2)クラウス・テンシュテット&シカゴ交響楽団/マーラー『交響曲第1番「巨人」』(2012年発売SACD)
予備知識なく買った'90年録音。金管のダイナミズムが良く出ていて、しかもうるさく感じない。
特に1番は旋律性が込められているだけに、これくらい遅いテンポが段々しっくりきた。タメもあるが、ほとんどインテンポのどっしりした、正直な演奏という印象。
4楽章に、後のバーナード・ハーマンの映画音楽「めまい」との酷似部分を感じたのはワーグナーの系譜か? 
資料用に見つけた動画を見るとDVDも欲しくなりました。

【ニコニコ動画】G.マーラー / 交響曲第1番 ニ長調 「巨人」 第4楽章

(3)トラジコメディア/アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳 第2巻(1725年)より(2012年発売SACD)
こちらも予備知識なしの購入。コンサートホールと違った、教会のこんもりとした響きが温かい。
かつてバッハのチェンバロCDを買ったが、自分にはチェンバロのソロを何枚も続けて聴くには鉤爪の音が特徴的過ぎて少々辛かった。
こちらの'91年録音は古楽器のレプリカによるアンサンブルが優しくて心地良い。学究臭さは微塵も感じさせず、よく食事中に親しんだ(パンが進む進む)。
バッハの有名どころのメロディが詰まっているし、幅広い層に聴かれたい。

http://p.tl/8JGv
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・秋から順次発売されているEMIのSACDシングルレイヤーについては、今月下旬にクリュイタンスのラヴェルが一斉リイシューされますので、まず一点だけ購入し、吟味してから他作品もハイブリッドからの買い替えを検討してみます(なにせ一点4000円近くもしますし、まさか年に2度もリイシューされるとは思いもせず、二の足を踏んでしまうのです)。
・EMIハイブリッドのお気に入りは、年度途中に特集してベスト記事を書きましたので、よかったらそちらをご参照下さい(→EMI SACDのおさらい)。

メアリーの最新映像

メアリー・ブラックのツイートにより、彼女の最新動画が観られました。どうも重病の少女のためのチャリティ・プロジェクトみたいです。
We are the worldみたいにリード・ヴォーカルのバトンを渡していく楽曲。どういう人選なのか、若いヴォーカリスト達の中にメアリーが混ざっています。

今年購入ベストCD(ポピュラー)

今年はSACD、Blu-rayプレーヤーの購入もあって、買い替えに新規の購入と出費がかさんでしまいました。年末恒例、今年縁のあったベスト・ソフトは今年もフォーキーな傾向です。

◎ポピュラー・ヴォーカル ベスト5
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(1)由紀さおり&ピンク・マルティーニ/1969(US盤)(2011)【再選】
例外的に昨年に引き続きベスト再選。昨年はカヴァー集という点でランクを控えたのですが、いまや本作は自分にとって堂々のオリジナルの輝きを放つ。特にコンサート鑑賞した思い出が再度ヘビロテへと駆り立てた。盤で聴くよりライヴは一層リズムがワイルドで、ホーンとストリングスが潤沢。ステージ上で出演者達が互いをリスペクトして楽しんでいる様子が印象的で、聴く者にもその一体感が伝わり、本当に楽しめました。
ヴォーカルのキーを従来より下げた点も、由紀さんの新たな一面を覗かせ、よりリスナーの耳に届いた成功要因でもあると思います。来年のパリ、ロス公演も成功しますように。

Is That All There Is by Heinz Records

(2)ジューン・テイバー&オイスターバンド/Ragged Kingdom(2011)
ジューン・テイバーの新作は発売毎にいち早く買っていたのに、この再共演アルバムについては約20年前の前作の印象がいま一つだったので見送っていた。一年遅れで聴いてみると…良かった。2012年BBCフォーク・アワード各賞受賞作。テイバーのソロ・アルバムで聴かれる硬質さが、コラボによりロックのスピリットにシフト。バンドの音は、何にもない場所にただ峻厳とそそり立つよう。アイルランドの北西部スライゴーに向かってバスに揺られながら淡々とした山並みや荒涼とした丘を見つめた記憶が重なります。

http://youtu.be/XILzqPc5P5g

(3)マリーナ・ロセール/Canta Moustaki(2011)
今年に入ってやっと入手できたスペインのカタルーニャ語シンガー&ソング・ライターのジョルジュ・ムスタキ集。ムスタキの普遍的で歌謡的なヨーロピアン・フォークを、奇を衒わぬ新たな解釈で自国語で歌った。これぞ歌モノと呼びたくなる、ひたすら美しい歌が立つ。伴奏は控え目だが、よくよく聴けば心憎いばかりの小技が随所に光る。

Ma solitud by Marina Rossell on Grooveshark

(4)ブルース・スプリングスティーン/Wrecking Ball(2012)
縁が無いと思ってたボス。知人から借りたこの新作は特に録音の良さが気に入って後で買った(UK盤で500円台)。ルーツ回帰の制作~活動を経た本作は、ロック・サウンドを纏いつつトラディショナルなメロディ・センス。耳の裏でフィドルやティン・ホイッスルが鳴る。声質は本来好きなタイプでは無かったが、歌詞とパフォーマンスの説得力に感服しました。

http://youtu.be/T3FHsNJjURY

(5)ポール・サイモン/Songs From The Capeman(1997)
ミュージカルのための書き下ろし作品。サイモンの初期アルバムが好きな自分には、アフリカ音楽以降のワールド・ミュージック制作の中で、プエルト・リコ音楽等を意図した本作はアコースティックな感覚がお気に入り。サイモンのヴォーカルを中心として、ミュージカル・シンガーをふんだんにフィーチャー。よくこれだけテイストに合わせた的確な曲作りが出来るものです。

Track02 by Paul Simon on Grooveshark

Love Will Tear Us Apart

ジューン・テイバーの動画は昨年からのオイスター・バンドとの共演活動で、ずいぶん増えている。
「Love Will Tear Us Apart」のスタジオ・ライヴは以下がベストかと思う。シングル・カットもされているようです。
タイトルが好きなんですよね。直訳すると「愛は私たちを粉々に引き裂くでしょう」かな?

テイバーのシンギングを受け止めるには、多少、彼女の従来の無伴奏あるいはギター、ピアノのみの伴奏によるトラッド・シンギングに親しんでいないと、無機質で表現に乏しいと誤解されるかもしれない。
英国トラッドといえば、遡ればシャーリー・コリンズがいるが、僕などはさすがにシャーリー・コリンズのシンギングは、ちょっときつい。いかにテイバーが聴きやすいか、それで解ったところもある。

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 シャケ/YASUHISA

Author: シャケ/YASUHISA
男性 昭和40年代生まれ

愛猫カオ(ロシアンブルー)と同居
常にマイブームがないと生きていけない

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