"ロック"を外して一周り

Kikuchiyo To Mohshimasu by Heinz Records

WOWOWはいったんテニスシーズンが終わったので、もったいないから解約した。解約後、由紀さおりさん&ピンク・マルティーニの先月末のオーチャード・ホールでのラスト・ショウが放映されると知り、それだけの為に再加入しようか迷ったが、生で観る迫力には敵わないはずだから、と諦めていた。
すると、録画していた友人がDVDにおとして吹雪の札幌から送ってくれた。ありがとう。こちらからは大して何も出来なく恐縮です。

DVDを観て泣いてしまった。全編に渡ってほとんど。なんで泣けるの? 生で観た時の感激を思い出したから?

以下、視聴して気付いた点など
・チャイナさんの「タヤタン」が由紀さんに交代する際の、映像処理が巧かった。過去と現在が繋がった瞬間。
・ストリングス・チームは、ヴァイオリンのニコラスさんをヘッドにして、その他は現地調達してるみたい。弦の連中ならまず譜面が読めるし、初見にも強いだろう。
・パーカッショニストが3人もいるのが頼もしい。みなマルチ・プレイヤー。
・筝の演奏者は洋装で「夕月」「ウスクダラ」など。レギュラー・メンバーだと知らず、去年いっとう最初に書いた『1969』の記事には認識不足がありました。
・「菊千代と申します」は、ビジュアル的に、日系のティモシー・ニシモトさんはともかく、白人やヒスパニック系のメンバーが端正に日本語で歌う様がちょっと変で可笑しい。選曲からして"外し"方になんだか親和性を感じる。
・由紀さんは発声の際、口を縦に開く。声楽家と同様、そうして深い響きを得ている。アルバム未収録は「真夜中のギター」。ステージングも楽しいし、彼女ってスーパー・ウーマン。'70年代以降のシンガー&ソングライターの台頭期に喘いだプロ・シンガーが、ここへきて本領発揮しているのは、意義深いものがあると思います。

番組の最後、ロビーでトーマスと由紀さんが労い合い、トーマスが「向こう10年、由紀さんと組みたい」と言ったのは、けっして社交辞令でも無いと思う。来年はフランス、そして夏にはアメリカで計3日間5万人動員するライヴを予定しているそう。

本家の歌声

marina

今年購入分のポピュラーCDの中で、上位間違いなしのマリーナ・ロセールのカタルーニャ語によるジョルジュ・ムスタキ集。以下はムスタキ最大のヒット曲「Le Métèque(異国の人」をライヴで歌うマリーナ。


ムスタキの曲は、マリーナがカヴァーするまで全く知らなかったのですが、偶然にも、最近買ったピンク・マルティーニの初ベスト盤にムスタキ本人のヴォーカル(やはり「異国の人」で)がフィーチャーされていたりと、僕にとってちょっとしたムスタキ年となりました。

ムスタキ自身のCDを買うまでには至っていないのですが、簡潔で繊細な曲作りが気に入っています。
マリーナがカヴァーした全12曲の中では、特にトラック(4)「El mar m'ha donat」が今のところ一番のお気に入り。美しくさりげないメロディ・ライン。
↓ムスタキの歌声でどうぞ。
http://youtu.be/Jv4F0FssSDQ

ヒッチのブルーレイ ベスト3

hitch
ヒッチコックのユニバーサル・ブルーレイ全14作品、ようやく一通り観ました。
Amazonでは既に完売となっていますが、国内で何人の人が手に入れたのでしょう。

ブルーレイであらためて再見して、画質の向上を実感したのは以下の作品です。
(1)サイコ
(2)めまい
(3)ハリーの災難

「サイコ」のモノクロの色気には驚きました。モノクロって綺麗、と感じた。カラーは残酷過ぎるから、との理由でモノクロ撮影された作品ですが、ジャネット・リーの肌など、艶やかで、白黒で正解だったと。
それから、スクリーン・プロセスがモノクロ作品のほうが目立たないと思います。そういう意味では、後期作品の「マーニー」などは、心理プロセスに乗り物を使ったシーンが多く、スクリーン・プロセスと人物アップの遠近感のギャップがかなり目立ちます。(ついでにリアリティの点では特にボルチモア港のペインティングはちょっと酷い。リバイバル劇場で観た時は唖然としたもの。特典映像の証言によると、スタッフは監督に進言したそうなのだけど、ヒッチはロケを嫌ったんですね)。

「めまい」は修復の貢献に、ブルーレイの高画質とくれば感涙ものです。「めまい」がこんなクオリティで観られるようになるとはねぇ。今回の再見で気付いたのが、冒頭の尾行シーンで、マデリンが立ち寄った花屋を覗くスコティの構図で、一時マデリンの姿がボケて、スクリーン・プロセス丸出しに感じていたのは、鏡に映る姿を捉えていたからなんですね。今まで気づきませんでした。

「ハリーの災難」は紅葉の美しさが元々映えていましたが、今回さらに鮮やかに再生されていると感じました。
「鳥」も、見違えるほど綺麗ですが、どうしてもそれだけパニック・シーンの合成箇所が目立ち、画質のチグハグ感が拭えません。古い映画だから仕方ないのですが。
特撮の発展については、後の時代まで待つしかありませんでした。先日TVで再見した「E.T.」でさえも、自転車の飛ぶシーンは、今の感覚で観るとまだ甘かったですから。

続・カーリーのオンライン・ライヴ

カーリー・サイモンと、その息子ベン・テイラー、娘サリー・テイラーによる、オンライン・ライヴを観ました。
ハリケーン、サンディ被害によるチャリティ・イベントで、急な告知であったため、400名用意されていたオンライン・チケットは、少し余ったようです。

定時に映像が繋がりました。マサチューセッツにあるカーリーの自宅リビングです。親子3人に、彼らと近年活動を共にしている若いギタリスト、デヴィッド・ソウがサポート。カーリーはドレス・アップしています。
固定カメラで画質は標準的。人が大きく動くとスローモーション気味になる。メイン・ヴォーカル用にスタンド・マイクを設置、他は部屋の幾つかにワイヤレス・マイクを取り付けていたのか、テーブルの上の音が不自然に大きく聞こえたり、カメラの前を思い切りスタッフが横切ったりします。出だしはミックス・バランスが悪かったが、次第に修正された。

ベン・テイラーのニュー・アルバム曲から始まり、サリー、そしてカーリーのソロへとバトンを渡されます。すべてギター弾き語り中心。いきなり初期の未発表曲「I'm all it takes to make you happy」を歌ってくれて驚いた。中継画面のサイドには、リアルタイム・メッセージ投稿欄があり、視聴者達がめいめいにリクエストしたり、"Awesome!"などとリアクション。カーリー、元気そう。他国の視聴者は自分が何処からアクセスしているか知らしめたいもので、オランダやブエノスアイレス、僕も日本からと書き込みました。
動画の下段にはチップ用のボタンが付属していて、クリックすると視聴中に投げ銭も出来るという仕組み。トップ・チッパーの上位5名は画面に表示され、目立ちたがり屋さんを喜ばせる訳だ。

カーリーがまさかの大ヒット曲「うつろな愛」を歌い出すと、メッセージ・ボードも興奮の書き込み、しかし1コーラスで歌い止めてしまった。軽くやったつもりだったらしい。そこでメッセージには"続きを歌って!"コールが。2コーラスまで演じてくれた。本当はフルでやって欲しかったが、リアルタイムに聴ける「うつろな愛」はこれが最初で最後かも。
出演者たちはPCを見ていないので、カメラの背後に居るADが視聴者のメッセージをチョイスし口頭で伝える。TVと違って、かなりラフな進行だ。今日が誕生日という視聴者のメッセージに、即興でカーリー親子は"Happy Birthday"をハモってみせる。

しかし40分は短い。ベンとサリーのソロもいいが、大半の視聴者がカーリーのソロを聴きたがり、ベンがMCをやると"これはベンのショーなの?"との意見も。皆、タイムリミットを気にして、落ち着かなくなってきたのだ。
ギグは延長され、60分間になった。親子それぞれ2.3曲ずつのソロに、ラストは全員で2曲。特に大ラスの感謝の曲は美しく、誰の作った何てタイトルの歌なのか知りたい。視聴者はカーリーの新作アルバム制作の可能性を知りたがったが、取り上げられなかった。

動画は安定していたし、20ドルに見合ったまずまずの内容だったと思う。大半のリクエストは叶わなかったが。もう少しカーリーの細かな表情とか見たかったですね。カーリーももう少しダイレクトにカメラにメッセージをくれるかと思ったが、意外にシャイな感じだった。子供達を立てるつもりだったのか。同時性でも微細な気配までは伝わらない。インタラクティヴでも手が届く所には居ない、という現実感が妙に残りました。

carly

続・テイバー+オイスターズ

これは、聴くほどにピリッとしてくる。トラッド&フォークの近年アルバムのベスト購入となった。
tabor

何なのだろう、彼らのこの決然とした演奏は。心の隙間に分け入ってきた。泣けてくる。そして励まされてくる。
ジューン・テイバーの名実ともにキャリアハイの作品となった。

Love will tear us apart(PV)


2012年BBCフォーク・アワード受賞式


本作外から無伴奏歌唱

破格のジョニbox

ジョニ・ミッチェルのデビューからのスタジオ録音アルバム10枚をボックス・セットにした廉価CD『Studio Albums 1968-79』を入手しました。
joni

約2600円という驚きの価格を見ただけで、思わずクリックしましたが、一度キャンセルしたんです。
ジョニについては、歳取ってからのショボショボ声が好きなので、初期はあまり馴染まないかも、と。
また、10枚のうち『逃避行』『じゃじゃ馬娘』『ミンガス』の3枚だけ先に持っていた。でもいずれも記事にした事がないんですよね。つまりあまり聴いてきていない。

同世代のカーリーに較べると、ジョニは感覚的すぎてやや近寄りがたい。最も好きなアルバムが『ナイト・ライド・ホーム』なのは、メロディのキャッチーさ、構成のシンプルさで覚えやすいからなのだ。
でも、でも、この価格。やはり買わない手はありません。

ボックスの出来については、無難なのではないでしょうか。10枚いずれもダブル・ジャケ仕様、内ポケットからディスクを取り出しづらいという感想も聞こえてきそうですが、口を大きく開けて取り出せば擦れ痕も付きませんよね。歌詞もジャケ上に復刻していますが、なにぶんCDサイズなのでほぼ解読不能。別冊ブックレットが付いていれば尚いいけど、この価格ですから。

半分聴いた時点ですが、全体に音圧をいじらず自然な質感。『コート・アンド・スパーク』がやや他と較べて劣るのは録音の問題か? やはり『ブルー』は一気に聴かせるハイ・テンションのオーラがあります。『キャニオン』が親しみやすいですかね。
『ブルー』から
My Old Man by Joni Mitchell on Grooveshark

テイバー+オイスターズ

購入を見送っていたジューン・テイバー&オイスター・バンドの'11年新作『Ragged Kingdom』をこのたび購入。
tabor

彼らのコラボは約20年ぶりかな。当時のアルバムの質感があまり好きでなく、今回の購入を躊躇っていたのだが、本国ではオイスター・バンドの人気も手伝ってかチャート・アクションも良く、テイバーはBBCのフォーク・アワード2012年度のベスト・シンガーに選ばれた。

前作より研鑽されプリミティヴになっている感じ。ロックとは一味違ったフォーク・バンドの集中力と緊張感。
以前より聴き良くなったのは、こちらの感覚も変わってきたからかもしれない。ブルース・スプリングスティーンがルーツ・ミュージックを経てオリジナル録音した新作『レッキング・ボール』が気に入って、リズムをアピールするバンドも聴けるようになってきた。

ジューン・テイバー、かっこいいですね。それにレーベルのTopic Recordsも渋いの出すよなぁ。クラシック・フォーク専門のレーベルなんて、日本じゃ有り得ないのでは? ちなみにですが、今年の年間トップ20はジャニーズとAKBのみで埋め尽くされているそうですよ。面白い国ですね。

カーリーのオンライン・ライヴ

cs2


カーリー・サイモンが彼女の子供達、ベン・テイラー、サリー・テイラーと共に、オンラインでのライヴをマーサス・ヴィンヤードの自宅で行うそうです(→Stageit)。
ざっと訳したところ、400名限定、チケット20ドル、収益の一部をハリケーン、サンディの被害者の為の義援金にするそうです。
インタラクティヴでリクエストにも応じてくれるとか。

思えば、彼女の歌をリアルタイムに聴く機会は無く、常に録音物やオンデマンドの視聴にとどまっていた。来日も無いことだし、今回初めて申し込んでみました。うまく観られるかな。

開始日時は現地時間で今月22日午前10時から40分間。マサチューセッツということは、ニューヨークに近いので、14時間差。日本時間で23日午前0時開始という事で合ってるでしょうか?
忘れて寝たりしないようにしないと…(笑)

(訂正:カーリーのHPを見ると、開始が21日となっています。つまりオンライン・ライヴのサイトは予め日本時間で表示してくれているのかも。とりあえず22日午前10時にチェックしないと。)

申込み後、自動メールで視聴に必要な環境や適正チェックなど知らせてきます。まぁ普段の環境で良いんじゃないでしょうか。

ベン・テイラーのPV

以前、カーリーが親子でハモっていたベン・テイラーの曲、スタジオ録音として新たにビデオが完成。ちょっと笑っちゃいました。

ブラスをフィーチャー

tabor

風邪ひきの時はジューン・テイバー。また調子悪いのか?って? いえいえこれは良くなる兆し。この2年間ほど、何故か風邪ひかない代わりに、おかしな症状ばかり抱え込んでいた。しばらく冷凍人間になってた感じ。やっと表に出てくれた。

'99年作『a quiet eye』。モダンなアレンジでトラッドを歌い紡ぐテイバー。新作の度に微妙にアコースティック編成を変えてアプローチしているが、ここでは全面的にブラスをフィーチャー。静かに果敢に挑戦を続ける。

低温度ながら内なる炎を湛えたヴォーカル。「ウォーター・イズ・ワイド」収録。多くのケルト圏のフォーク・シンガー同様、彼女もリチャード・トンプソンを頻繁に取り上げる。

Pharaoh by June Tabor on Grooveshark

アズ・ヒッチ

ヒッチのブルーレイ、14作品中、12作品まで再見しました。概ね画質のきめが細かくなって満足しています。
psyco

'60年『サイコ』はあえてモノクロ作品だが、黒白に艶が出て、ふくよかな映像です。今まで再見してきた画質を確実に凌いでいます。

アンソニー・パーキンスがしずしずと屋敷の階段を上がる物腰など、総てを知った後から再見してこそ味わえる悦びが幾つもあります。
死体のアップの場面では、頸動脈が動いていた事に初めて気づいた。瞳孔のアップ演技が緊張を高めていたので、気にはならない。
5.1サラウンド収録。ヒット作だけあって、特典映像も豊富。

ところで、折しも今月下旬、アンソニー・ホプキンスがヒッチコックに扮し、『サイコ』撮影をめぐって夫人アルマとの確執など描いた伝記映画『Hitchcock』が全米公開になりますね。日本公開はいつでしょう。
予告編を見るとホプキンスがヒッチそっくりで笑った。特に話し方が。



hitch

疑心から愛へ

ジム友から引き続きボスのDVDをお借りました。
boss

スタジオ録音作『ライジング』をひっさげたバルセロナでのライヴDVD。
ボスのソフトを立て続けに借り、感動しつつも、あくまで客観的に聴いていたのだが、「World's Apart」の詞には驚いた。確かに凄い人だと思った。

こうした、鑑賞者が視点を変えたり、複数の視点を持つことを余儀なくされる作風が好きで、僕がヒッチコックの『めまい』や、アン・リーの『ブロークバック・マウンテン』が好きな訳と共通する。いずれも一人称が自分本位であることを許さないのだ。


ワールズ・アパート(ブルース・スプリングスティーン)

あなたを抱きしめる、すべてはそこから始まる
あなたのキスに信仰を求め、あなたの心に慰めを求める
あなたの唇についた種を味わい、
舌をあなたの傷にあてる
でもあなたの目を覗き込むと、
ふたりの世界はまったく違う

遠くの海が歌い、平原に打ち寄せるところ
この乾いた困難な国にあっても
あなたの美しさは変わらない
曲がりくねったハイウェイが暗くなり山道に変わるあたり
アラーに祝福された雨の下にいても
ふたりの世界はまったく違う

真理だけでは十分でないときもある
時には今のように、十分すぎることもある
そんな真理は投げ捨て、キスの中に別の真理を見出そう
あなたの肌をぼくの肌に重ね、ふたりの鼓動を合わせて
生きている者たちがぼくたちを迎え入れてくれるように
死んだ者たちがぼくたちを引き裂いてしまう前に

血によって、星空に覆われた山々に橋をかけよう
ふたつの違う世界の間の峰で会おう
生きることができるのは、闇と闇の間のわずかな瞬間だけ
愛に、与えるものを与えさせよう
共に、愛に、与えるものを与えさせよう

(訳:三浦久氏)

http://youtu.be/OckLJwdDm_A

トパーズの迷走

ヒッチのユニバーサル14作品中、唯一未見のままだった『トパーズ』を鑑賞。
topaz

この作品については、事前に酷評をあちこちで目にしていたので、見送っていたのです。
鑑賞してみたけれど、たしかに面白くない。製作から数十年経ち、特典映像の批評においても、好意的ながらも失敗作という立ち位置で語られている。

なぜ冷戦モノを扱ったのだろう。中途半端に世相を反映させているようで、スパイものの荒唐無稽さが目立ってしまう。登場人物の相関関係も魅力をともなって伝わらない。ところどころ優れたシーンもあるのに。

ラストの切り上げるような酷さは何だろう。エンド・ロールのフラッシュ・バックが安っぽく映る。
メイキングでは、幾つかの他のラスト・シーン・パターンの映像が観られた。特に"決闘"シーンは酷い。あの時代に政府高官同士が決闘で決着をつけるなど、ありなのか?
他のパターンでは、主人公がパリ行きの飛行機のタラップを昇りかけると、隣のタラップでは相手のスパイがソ連行きの飛行機に乗る、というオチも肩透かし。
いずれの試写も悪評さくさくで、"ひどい""ヒッチコックじゃない"といった回答ばかりだった。

急場しのぎでこしらえた本編ラストは、相手スパイが帰宅するシーンが使い回しと知り、そそくさと挿入されていた訳が解った。
14作品中では、唯一の失敗作だと思う。しかし巨匠の失敗作だからこそ学ぶべき点も多そうだ。

フレンジーの猥雑

fren
なんて怖いスチール写真。目の玉が飛び出しそうです。
'72年、ネクタイ連続殺人を題材にしたヒッチコックの『フレンジー』をブルーレイで再見しました。
VHSレンタル鑑賞以来なので、まず画質の飛躍的な向上に感動。
あらためて、テンポの良い作品です。土壇場までブラック・ユーモアで引っ張られた。

本作は、ヒッチの典型的な"巻き込まれ"型のパターンながら、従来と異なるポイントが幾つもあり、今回の間違えられた男の主人公は、けして善良な市民の典型とは言い難いキャラ。住み込みのパブを追い出され、馬券を買う金も無く、ヤケになっている。冒頭から、あたかも"彼"がネクタイ殺人鬼であるかのような示唆が込められている。このキャラ設定の変遷は、ニューシネマの時代背景もあるのだと思う。

ロケ嫌いのヒッチが、青果市場のロケをふんだんに取り入れた。名シーンといわれる第二の密室殺人のワンカット撮影は、室外から惨劇を観客に想像させながら、表通りまでカメラが引くと喧騒が悲鳴を掻き消して誰の耳にも知られざる事の理由付けを兼ねているのが素晴らしい。

ヘンリー・マンシーニが当初音楽担当だったと初めて知った。そのオリジナル・スコアはさすがに感傷的で、ここはムーン・リヴァーとちゃうで、って感じ。テムズ河の俯瞰ショットに付された現スコア(ロン・グッドウィン)のオープニングがヒッチの里帰りを祝うようにマッチしている。

ヒッチコックBOX

予約していたアルフレッド・ヒッチコックのユニバーサル14作品を収めたブルーレイBOXが届きました。
hitch
こんな仕様のセットは初めて。

ディスクから付録まで全て1冊に収納
hitch
「サイコ」の屋敷設計図、衣装スケッチ、ストーリー・ボード、ヒッチのタイプ書簡のレプリカなど…
hitch

ひとまず1.2本、ざっと画質を確かめたところ、『裏窓』ではあまり気付かなかったけど『めまい』は、DVDより更に高解像の画質になっています。何度も観てきたので改善に気付きます。エルスター造船所の社長室の内装など、赤色が奥行きを伴って鮮明。
音質の改善については、オリジナル・サウンド・トラックのままなので限界はありますが、より鮮明にレベルを上げているようです。

ディスク毎にユニバーサル100周年の挨拶映像が冒頭で流れるのが面倒。
また今後、引き続き感想など書きます。

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 シャケ/YASUHISA

Author: シャケ/YASUHISA
男性 昭和40年代生まれ

愛猫カオ(ロシアンブルー)と同居
常にマイブームがないと生きていけない

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