あの頃はのんびりしていた

カーリーの最大のヒット・アルバムをまだ書いていませんでした。'72年作『ノー・シークレッツ』。
0000年00月00日_DSCN2688

発売当時はジャケ買いした御仁も多かったのでは?
このアルバムから半数ほど選曲されたベスト・アルバムを先に聴いて、彼女を好きになったのでした。カーリーの特徴的な節の回し方が好きなんですよね。ヴォーカル・テクニックの面から見れば、もっと巧い人はいるはずだが、彼女の声って思い出に残りやすいんです。そして考え抜かれた曲作り…。

いわゆるフォーク・シンガーとしてデビューしたカーリーだが、大手出版社の社長を父に持ち、幼少の頃、ガーシュインやロジャース&ハートらが家に遊びに訪れていたという。
恵まれた素地を持つ彼女が、のちにポップス畑で初のジャズ・スタンダード・アルバムを出したのも頷けますね。

(1)愛する喜び
(2)カーター・ファミリー
(3)うつろな愛
(4)フォンド・オブ・ロビン
(5)ノー・シークレッツ
(6)私を抱いて
(7)待ちすぎて
(8)イット・ワズ・ソー・イージー
(9)ナイト・アウル
(10)瞳を閉じて

本作の頃の彼女はジェイムス・テイラーとの幸福な時期と重なり、作風は次から次へとモチーフが溢れ出るように、メロディの展開が豊富。(1)(3)(5)は、その代表曲として今も褪せない。
後年になって、じわじわ好まれ出した楽曲が(8)じゃないかな。カーリー自身が近年のライヴDVDにて、久々に取り上げたからだろうか。素朴で簡潔なフォーク・ソング。

EMI SACD シングル・レイヤーの件

国内EMIクラシックスの名盤SACDの続編が来月9月から発売されるそうです(サイトはこちら)。

価格設定の見直しを図ってくれるかと思いきや、¥3,000→¥3,980に上がっていた…。
シングル・レイヤー化に伴う価格変更なので妥当とみるべきかどうか。ユニバーサルより約¥500安いのは、SHMの材質分を差し引いたから? SHMって実質¥500なのか?

EMIシングル・レイヤー第一弾として、初SACD化のアイテムに、従来ハイブリッドSACDのラインナップからも、あらためてチョイスされている。
うーん、ハイブリッドとシングル・レイヤーの音質比較が出来なければ、自分は再々購入は躊躇いますね。しかし、唯一ユニバーサルから購入したディースカウのシングル・レイヤーを聴けば、確かにとてもきれいで、ピアノとヴォーカルのみながら手持ちのSACDの中ではダントツといっていい。

初SACD化となる9月発売のクリュイタンスのフォーレのレクイエムを購入して、試聴結果、手持ちのハイブリッド→シングル・レイヤーの買い替えを検討してみよう。いやはや、こういう成り行きになるとは。
単価が非常に高いが、5枚組になると¥9,940と割安になるので、これも初となるマルティノンのラヴェル集5枚組は、必ずゲットするつもり。(クリュイタンスのラヴェル集もいい加減に組物で再発すればいいのに。オリジナル尊重なんて意味ないよ。)
ハイブリッド盤のブックレットの評判がよろしくなかったのか、以前より凝った仕様を考えているようだ。他とダブる解説は要らないよね。

英EMIのSignature(ハイブリッド)の続編はどうなったんでしょうね。あの低価格帯シリーズでベース購入して、お気に入りだけ国内シングル・レイヤーで買い直す手順が財布に優しいかと…。

クリュイタンスのレクイエムは、合唱の精度を指摘する意見もあるが、音質改善で印象が変わるんじゃないかと淡い期待。
レクイエムの中では、ヴェルディのそれが、かつて合唱で参加して最も熱中したので、久しぶりに一枚欲しくなって動画試聴したところ、自分の感覚がすっかり変わってしまったのか、ドラマティック過ぎて疲れて買うのを止めてしまった。現在はフォーレのほうが淡々として好きみたい。

IN HONOR OF YOU(GEORGE)



イン・オーナー・オブ・ユー(ジョージ)
by カーリー・サイモン、ジョージ&アイラ・ガーシュイン
BMG国内盤より訳詞引用
---------------------------------

どうやって続ければいいの?
どんな考えも癪に障るこんな時は
もう歌は沢山という
考えを持て余す
この長年馴れ親しんだ敵
自己憐憫が私に付きまとう

山間の町で
足止めを食らっている私
太った人々が酒に浸る
しがないバーの中
晴れでも大雨でも
誰も気にしない
列車を待つ一時間
バーニーがレコードをかけると
人々は自然と立ち上がり踊り始める
「私を抱きしめて
抱き締めずにいられない愛しいあなた」

あなたが見えるわ、ジョージ
リバーサイドドライブのアパートにいるあなた
50年ほど昔
鍵盤に置かれたあなたの指が
曲を探している
フックを探している
「私を抱き締めて
掛け替えのないあなた...」

あの時のあなたは誰だったの?
彼女はいたの?
お金を稼ぐのに必死だった?
あの頃のあなたは
自分の曲が
山間の町で聴かれるなんて想像したかしら?
この狭くすすけた部屋で
ダンサー達を夢中にさせる
あなたは誰だったの?
自分のメロディーに自信があった?
それとも私の様に
あなたの夢や勇気は粉々に砕け散ったのかしら?

人々の心を掴む何かがここにある
何年も何年も
心に残るメロディー
「数え切れない程の
あなたの魅力に首ったけなの
でもそれ以上に
あなたを抱き締めたくて仕方がないの」

既に列車の時間を過ぎているけど
どうでもいいの
あなたの事を考えているのよ、ジョージ
ピアノにむかい
真夏の熱に汗ばむあなた
ところで、彼女を射止めたの?
郊外に家を買ったの?
決して現れない何かを待っていたの?
列車を待ち続けながら死んでいったの?
「ベイビー、いたずらは止めて
ママのもとへいらっしゃい
ママのもとへ...」

あなたの心の一部が
捩じれて私の一部になる
あなたの魂が浮かび上がる
天使が指揮をとる
真実を嘆き私の人生に
意義を与えてくれる音
ほんの少しのメロディー...
「私を抱き締めて
抱き締めずにいられない愛しいあなた
私を抱き締めて
掛け替えのないあなた
ベイビー、いたずらは止めて
ママのもとへいらっしゃい
ママのもとへ...」

家へ帰るわ、もう一度頑張ってみる
列車に乗り
一息つくわ
またピアノにむかい
音に身を任せるわ
あなたへ敬意を込めて、ジョージ
あなたへ敬意を込めて

帝王のボックス

マイルス・デイヴィス(1926 - 1991)のボックス・セットを購入。
ふだんマイルス・デイヴィスを聴くのか、って? いえ聴いてませんでした。唯一手元にあったのが『ワーキン』で、長年放置状態にあったのが、今夏俄かに(きれいだなぁ)と感じるようになった。遅過ぎますね(笑)。

もっと以前には『死刑台のエレベーター』のサントラも持っていたのですが、テイク違いながら、サントラにありがちなリプライズが多いので、既に手放してしまっていた。
今回はそれらの作品を含む、'45~'60年の音源を収録した34CD+CD-ROMブックレット。幾つかのセット物の中で、録音時期や価格など比較して、これに決めた。オリジナル・ジャケットの記載が無いのが少々残念ですが、ボーナス・トラックを外したのは良かったと思います。

CDサイズのボックス・サイズで届くと思っていたら、、なんか菓子折みたい。底のほうが取り出しにくいです。
0000年00月00日_DSCN2686

長年、ヴォーカルものばかり聴いてきたけど、インストも聴かないと感覚が冴えないような気がしていた。まぁ、義務はないんですけど。
舞台でいうと、主役しか見ていないのと同じ。本当は端役を含めて観客は舞台全体を見渡しているはずなんですよね。音楽も、ヴォーカルがひきたつのは、サウンドの連携があるからで。

ディスク1から律儀に聴き始めたが、性格上、すっとばしたくなり、黎明期のオリジナル・アルバムを中心に聴いてるところ。
楽器がいかに歌っているか、自分にもわかればいいなと思う。

↓まずは、お気に入りの『ワーキン』から。滑り出すようなミュートのペットが好きです。
http://grooveshark.com/#!/s/It+Never+Entered+My+Mind/47IdDv?src=5

『ワーキン』オリジナル・ジャケ(Amazonより)
51pX+GsNcIL__SL500_AA300_.jpg

1日1曲(39)

昨日は、かつて経験したことのないほどの落雷の連続と嵐だった。思わず愛猫と顔を見合わせ「怖いね..」とつぶやいてしまった。
張り裂けるような近場の衝撃は、長居公園だったのか。重体の若い人は亡くなったんですね、かわいそうに。遠方からコンサートを観に来ただけだったのに。



カーリー・サイモンの公式サイトに過去の音源が大放出されているので、また続いて書きます。
'08年、スターバックスへの移籍アルバム『This Kind of Love』より。
このアルバム発売直前に、スタバが音楽産業から撤退するというニュースがあって、カーリーにとって、タイミングの悪い発表となってしまった。売上も芳しくなく、彼女はスタバを提訴したらしいが、その後どうなったのだろう。

本作はジミー・ウェップをプロデューサーに迎え、ブラジリアン音楽に挑んだ。もっと評価されて良いと思う。
加齢にともなうヴォーカル・コンディションに合わせた、囁くようなインティメイトな仕上がり。
この曲は、映画「黒いオルフェ」をイメージしたのじゃないかな。

リージョン・フリー

このあいだ紹介した「3人の歌姫」の記事で、カーリーのライヴ映像を観ていたら、また買い直したくなって、当初のVHS購入、次に米国リージョンによるDVDを経て、2010年発売のリージョン・フリーDVDを再購入。
carly

ライヴは'87年6月、カーリーが現在も住む高級別荘地マーサズ・ヴィンヤードの海岸での模様。プライベート・ライヴの趣向で、観客は数百人くらいに限定されています。
なにせ30年以上昔ですから、シンセサイザーはヤマハのDX7、シンセタムやEWI(電子管楽器、今でも使われるのでしょうか?)など、音色に古さは立つものの、Tボーン・ウォークによるライヴ・アレンジが職人芸を発揮し、今でも聴き良いバランスです。

プレーヤーも超一流。ドラムのリック・マロッタ、ギターはジム・ライアン、サックス&EWIは今は亡き、マイケル・ブレッカー等々。先のTボーン・ウォークもベースで参加していますが、彼も数年前に亡くなっていたんですね…。

CDでもトラック順違いで発売されていますが、この作品はビデオのほうが夕暮れ時の海岸風景と相俟って、いい感じです。

(Track List)
Give Me All Night
Anticipation
You Have To Hurt
You're So Vain(「うつろな愛」1973年のビルボードで3週1位.年間トップ10入り)
Do The Walls Come Down
Two Hot Girls
It Happens Everyday
Nobody Does It Better(映画「007/私を愛したスパイ」主題歌)
All I Want Is You
The Stuff That Dreams Are Made Of
You Belong To Me
Coming Around Again(映画「心みだれて」主題歌.主演:ジャック・ニコルソン、メリル・ストリープ)
Itsy Bitsy Spider
Never Been Gone
BONUS TRACK: The Right Thing To Do

続・マリーナの情感

マリーナ・ロセールの新作『ムスタキを歌う』から、もう1曲ご参考までにご案内しましょう。

歌詞の意味が分からないまま聴いていますが、避暑地でゆったりとリラックスして聴いているような、涼やかな心地になります。
マリーナを好きになったポイントは、やはりヴォーカル。'70年代から活動している彼女は、ベテランながら声が荒れない。

ハリス・アレクシーウの歌い方で、幾つまで歌い続けられるだろうと思っていたが、最近のハリスは高音が上がり切らず、節回しが覚束なくなってしまった。メアリーもそうなんですが、白人女性って、加齢とともに急に体が肥えてくるんでしょうか。どうしても軽やかさが薄れてしまいます。

あとは姿勢。ポピュラーは顎を出して歌うシンガーがほとんどで、この姿勢が辛くなると、発声も出来なくなる。必ずしも年齢だけの問題じゃないと思うんですね。

マリーナは長持ちする歌手だと思う。聴いた印象が地味だとか、そういうのより、永続性を感じた。

↓(3)Hi havia un jardí

マリーナの情感

昨年の秋以降に発売され、入手困難だったマリーナ・ロセールの新作、エル・スールから届きました!
(この新作、本国Amazonでも取扱いなし、レーベルのワールド・ヴィレッジがサイトに告知もしていなかった。)

marina

ジョルジュ・ムスタキの作品集ということですが、ムスタキ、自分はまともに聴いたことないんですよね。
シンガー・ソングライター系のカヴァーとなれば、過去のハバネーラなどのトラッドの歌唱集に較べて、ややメロディが楽しめないのでは?と、聴く直前までは不安がありましたが、
マリーナの情感が十分に伝わってきて、従来のギター基調のメンバーが、薄味ながらも多種の生楽器を交えて、トラディショナルでプリミティヴな美しさを響かせてくれます。やぁ、入手して良かった。
(ムスタキさんは1曲のみデュエット参加。全編マリーナのソロです。)

この謙虚で情熱的な歌い口。
クロガネーゼさんのブログをチェックしていなければ、このマリーナ・ロセールには出会えなかった。
ちなみに近いタイプの清楚な歌い口の歌手で、やはりクロガネーゼさんおすすめの、エル・スールでも評判の高かったペルーのヘスース・バスケスも購入して聴いてみたが、そちらは旋律の動きが烈しくて、自分には合わなかった。同じスペイン語圏でも、マリーナの汎ヨーロッパ的な傾向が好きなようです。

本作中、(10)「Hiroshima」という曲がありますが、どんな歌詞なんでしょうね。英訳すら無いので…。

↓(2)Ma llibertat

冬の旅

winter

フィッシャー=ディースカウ&ジェラルド・ムーアのシューベルト歌曲集『冬の旅』。先々月くらいに購入していたのですが、まだそんなに聴き返していません。(ディースカウさん、最近亡くなられましたね。)

やはりSACDはCDを遥かに凌いで、空間密度が高いというか、此処から其処までの距離が測れる感じ。「ナマ」の手応えがあります。

HMVの常連レビュアーさんも書かれていますが、これだけの価格で国内盤で出す以上、ジャケットの仕様にこだわらずに、対訳を付けて欲しかった。連作歌曲となれば、歌詞内容も重要なのに。

それで、旋律重視で聴いている段階ですが、自分のフォーキーな感覚に引き寄せて聴いてみている。第1曲など歌唱が声楽という点を除けば、フォーク・ソングのような感覚で聴ける。
シューベルトは、3番構成の楽曲では、2番を短調から長調に転ずるパターンが多い。常套的だが、これ結構、難しいと思うんですよね。歌詞とのマッチングが無いとパロディみたいになってしまうから。その点からも、やはり歌詞面との突き合わせはしておきたいですね。

第15曲「鴉」は、習った憶えがあります。旋律的にも覚えやすく、イメージしやすいから、練習曲にもらったのでしょう。
歌唱面は、普段声楽を聴かないので、具体的な感想が書けません。自分の場合、声楽は声域で大雑把に好みが分かれるようです。男声ならバリトン、女声ならアルトが好きなようです。
伴奏のうまさに惚れる。ディースカウが他に組んだ著名ピアニストの伴奏より、コンビのキャリアも長いだけあって、最も相性が良かったと思う。

↓「鴉」ディースカウ&ムーアの資料が見つからなかったので、他の歌手で。こちらはテンポがやや遅い印象。

Pagination

Utility

別宅のご案内

sake moge Flickr(オリジナル写真集)                   ●手さぐりのリボン結び(オリジナル楽曲集)

プロフィール

 シャケ/YASUHISA

Author: シャケ/YASUHISA
男性 昭和40年代生まれ

愛猫カオ(ロシアンブルー)と同居
常にマイブームがないと生きていけない

月別アーカイブ

全記事(数)表示

全タイトルを表示