続・知らない音が鳴っている!

天国的音響。そう表現しても過言ではないくらい。シルキーな感触。学生時代から愛着のあったLPが、CD化を経てこれほどまでに生まれ変わるとは。
臨場感が増した、とか、リアリティがある、という感想よりも、「これが元々の音だった?」と尋ねたくなる感じ。マスター・テープを直にもらってきたみたい。

振り返れば昨秋、初めてSACDでM.T.トーマスのマーラーの交響曲全集を購入し、その時点でも充分音質に感動していたのだが、だからといって、即プレーヤーを買い直す気にはならなかった。
やはり今回の日本EMIのリマスタリング仕事に感動した点が、一気にデッキ購入の原動力になったと思う。
先のマーラー全集は、最近のDSD録音だが、演奏内容は別に、どこかひんやりしたクールな印象で、デッキを買い直して聴いてもその印象は変わらない。
EMIクラシックは、各音を精緻にしながらもアナログの厚みを湛えていて、まろやか。ニュースでも既に話題になっていたようだ。
そういう点では、アナログ音源のSACD復刻に今後期待したいところ。

特にクラシックは今後、全面的にSACDで聴きたい。もう通常CDはショボく聴こえて仕方がない。今まで妥協を強いられてきた事に愕然とする。これはこれで困った。
ポピュラーについては、急いてSACDで聴きたいとはそれほど思わないかな(ジョニ・ミッチェルあたりはSACDで聴いてみたいかな)。ポピュラーは、いわば近景の音像で、コンサート・ホールのようなロングの残響もほとんどない。クラシックの、楽器も声も対等の生音で、遠景まで見晴るかす感じは、もはやSACDなくしては考えられなくなってきた。しかも迫力が増しているのに疲れない。

以前、パッケージへの郷愁を書いたけど、SACDがあれば大丈夫じゃないかと安心した。ただ、シェアはどれほどなのだろう。どれだけファイル視聴があふれても、この音響を手にする喜びには敵わないはず。
SACDに反撥するオーディオ・ファンもいるらしく、検索すると自前のCDシステム環境を矜持して、ご近所の誰それさんはSACDの購入に四苦八苦されているようです、と冷笑していた。いろんな人がいますね。自分はなんて適当なんだろう。試聴もせずに安価のハードを選ぶという。

↓カラヤンやフルヴェンもいいけど、クリュイタンスももっと復刻して!
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追記リンク:「EMIクラシックス名盤SACDシリーズ」第三弾またもやクラシック・アルバムチャート席巻!トップ10に8作品、内4作品はアンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団!

知らない音が鳴っている!

SACDプレーヤー買いました。
最初はアマで手続きしたんだけど、商品発送に20日間かかるとのこと、その間、他を探すとさらに安値を見つけたので、そちらに乗り換え。支店が浪速区だったので直接引き取りに行きました。
いちおう「直接来たんやから、もうちょいまかりまへん?」と、あと一押ししてみたが、駄目だった。

徒歩で根性で持ち帰り(下がSACDデッキ(デノン)、相変わらずラックがありません)。
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さっそく、お気に入りの買いたてのラヴェル「マ・メール・ロワ」SACD盤をプレイ。
な、何これ、知らない音が鳴っている。何度も聴いてきた曲なのに。
楽器の音がきめ細かいのだ。曲の不思議さもあって、深い森に分け入っていくよう。
前四記事で、EMIクラシックのSACD盤を褒めてきたけど、あれはあくまで通常CDプレーヤーでの試聴。もっとすごいことになっている。これは、今までのCDの鳴りと全く違う。今までのは何だったのか? '62年録音とは思えない。
クリアになった、というCD化当初の感想とは別次元。精緻でこんもり。柔らかくて厚い。きれい。

CDとSACDの違いについては、コチラのサイトさんを参考にしました。
STEREO(SACDの2チャンネルエリア再生)、MULTI(SACDのマルチチャンネルエリアをダウンミックスした2チャンネルの出力)と2タイプのレイヤーがある。

通常CDも試してみよう。ポール・サイモン「ひとりごと」のBlu-spec盤。
あや~、SACD以外のCDもいい音。リズム・セクションが前よりパリッとしましたね。次にメアリー。ウーン、再生機でこれだけ変わるとは。驚きました。

アビイ・ロードに甦るクリュイタンス(4)

ああ、SACDプレーヤーが欲しくなってきた。
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こちらは、クリュイタンスのラヴェル集の最後記事、『ダフニスとクロエ』です。バレエ音楽だけあって、かなりメリハリがあり(合唱の揺らぎが効果的)、あまり好んで聴いていませんが、ラヴェルの管弦編曲に少しでも触れるために時々取り出しています。

この一連のリマスタを聴くまで、SACDプレーヤーにはさほど関心が無かったのです。特に従来のEMI通常盤は、ウチのオーディオと相性が悪かっただけに今回の音の飛躍は衝撃的。最高のアナログ音源を手にした気分です。通常のCDプレーヤーでこれだけ聴かせるのだから、さらに欲が出るのは仕方ないでしょう。

ネットでざっとリサーチしたところ、4、5万台で買える機器もある。ユーザーの評判も上々だ。ぜひ買い替えるべきだと。でもほんの数カ月前に手持ちのCDプレーヤー修理したばかりなんだよね。これが次に潰れたら…。

クリュイタンスの写真は、ネット検索してもあまり出てこない。以下は手持ちの『フレンチ・コレクション』のインナー・ジャケから。微笑みずくし。
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アビイ・ロードに甦るクリュイタンス(3)

何度も同じ事を書くようだけど、これも'61年録音とは思えない広がりと自然な迫力が出ている。『ラヴェル:ボレロ、スペイン狂詩曲、ラ・ヴァルス』です。
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このCDは二回目の買い替え。通常盤の他、HQ(ハイ・クォリティ)盤が出たけど、今となっては結果としてHQCD盤は最も中途半端な商品だったと思う。音源を故意に触ったような、妙にイガイガした感触で、気に入らなくて放置したままだった。
今回のSACDでの変貌はどうだろう。最初からこれ出して欲しかった。

「ボレロ」は楽曲の性質上、飽き易いのであまり聴き返さないが、このクリュイタンス盤がけして最高の演奏とは思わないが、標準的ではないかと思う。こういうワン・パターンのリズムでは、あまり律儀過ぎてもつまらないし(カラヤン盤など)、これくらい少々ラフな面もあったほうが、ラテンの人間臭さが出ていると思う。
名前は忘れたが、偶然、現代オーケストラの演奏でこの曲を動画視聴したが、ゴージャスなスペクタクル風で、まるでラスベガスのネオン街で聴いている感覚で、クリュイタンスのような情熱と品格が隣合わせの魅力とは大違いだった。

この度の音質改善で、俄然リピートする気に変わったのが「スペイン狂詩曲」。次々と熱気溢れる場面が訪れる。
「ラ・ヴァルス」は、前記事の「高雅にして感傷的な円舞曲」よりもメリハリの強いワルツ。

→ボレロ

アビイ・ロードに甦るクリュイタンス(2)

やっぱり買っちゃった。残りのラヴェル3集分、3枚。
今回のシリーズ発売では、3枚以上まとめて買うとフォト・ブック特典がもらえるのです。既に死去した指揮者で、このさき新作が出るはずもなく、資料が少ないだけに貴重な写真かと。
↓アンドレ・クリュイタンス(1905年3月26日~1967年6月3日)
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『クープランの墓、他』の記事に続き、今回はSACD盤『マ・メール・ロワ、高雅にして感傷的な円舞曲』を早速聴いてみました。
EMIからステレオ録音で出ているラヴェル全4集CDのうち、自分はこの盤が最も演奏・録音の完成度が高いように思います。

音質の件は、前回述べた通りですが、この盤も一度聴いてしまうと、以前の盤は、くすんでいてもう聴けないくらい。
「マ・メール・ロワ」は、お休み前の絵本のような感覚で、いつしか不思議の国へ誘われます。小編成ながら様々なテイストが込められていて、スコアは読んだ事ないけど、特筆すべき点が沢山あると思います。
「高雅にして感傷的な円舞曲」は、明るい華麗なワルツを切れ間なしに。明晰で優雅な演奏。
↓全曲一部試聴
http://www.neowing.co.jp/track_for_cdj.html?KEY=TOGE-12093

アビイ・ロードで甦るクリュイタンス

EMIが昨年暮から順次発売しているEMI CLASSICS 名盤SACDシリーズ、第3回発売のタイトルのうち、アンドレ・クリュイタンス指揮・パリ音楽院管弦楽団『ラヴェル:クープランの墓、亡き王女のためのパヴァーヌ、他』を購入しました。
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過去記事でも紹介済みの盤の最新リマスターです。1枚3000円もするし、買い直そうか迷ったのだけど、この作品を聴いてから、他も揃え直すか決めようと。
今回のシリーズは日本EMIの依頼による、アビイ・ロード・スタジオでの4人のエンジニアによるリマスタリング制作。

うん、やっぱり断然こちらが良いです。オーディオに詳しくありませんが、過去盤のホワイトノイズがすっかり除去されて、ようやく御開帳されたような目前の響き。低域が伸び、音圧も自然だ。
結果的に、モノラルに近い豊饒さに。ステレオ録音の定位が感じられなくなるほど、太く厚くミックスされて、耳に飛び込んでくる。'60年代初頭録音としては、これ以上望めない記録となったと思う。
これで、残りのラヴェル3集分も買い替えないわけにはいかなくなった。
http://youtu.be/NtSAbbijBKE

大阪、「2/2」

みゆきさんの「夜会」を観てきました。再々演となる「2/2」は、初演分をビデオで観ただけですので、初鑑賞です。
おととしのコンサートでは久々に生で聴いた「時代」に不覚にもぼろ泣きしてしまい、ハンカチが一枚では足りなかったので、今回一応二枚持って行きました。
バレンタイン・デイにちなんで、シアターBRAVA!に隣接するニュー・オオタニから入場時にチョコを貰いました。
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音楽劇。主人公・莉花は、自身の不可解な二重人格を怖れ、恋人を残して単身ベトナムへと旅立つ。彼女を追う恋人。そして、ジャスミン(茉莉花)にちなんだ双子の死産した姉・茉莉の存在を知る。・・・

初演のビデオと比較して幾つか感想を(ネタバレあり)
・初演のヒロイン莉花の奇行シーンの連続が、1シーンに凝縮されていた。プロットを知らない初見の人には、彼女に奇行癖があることを、短時間に理解出来るだろうか?と思ったが、
今回、鏡の仕掛け(もう一つの人格が鏡の向こうに現れる)によって、もう一人の存在を冒頭から明確にしていた。

・恋人との愛情(つながり)が、より強調されていた。「この思いに偽りなく」が、旅前から旅先での歌唱に変更された。初演では、旅先で莉花が恋人を思い出すシーンが恋人が訪ねて来るまで無かったので今回の改訂は自然で良かったと思う(絵的には初演のガウン姿で階段を下りながら歌うシーンがシャンソンぽくて好き。)。

・交通事故後、世話になった現地のベトナム人と竹籠を舟に乗せるシーンで、莉花は日本から持ち込んだ服を河に捨ててしまうが、前述の恋人を思い出すシーンが良かっただけに、帰国の途を諦めた部分の説明には、短時間の音楽劇では時間の経過がいくぶん感じ取りにくかった。

・茉莉と莉花と想像の産物の3者に切り分けた演出が良かった。ほんとよく考えるなあ。

目玉は、鏡仕掛けの他、早変わり、それにハイライト「紅い河」において客席最前列の目前にせり上がる竹の船上のアオザイ姿のみゆきさんでしょう(初演の往復シーンが復路だけになったので、そのぶん歌唱が短く残念。)。初演では割愛された市場の喧騒シーンの描写も、大きな山車が交通事故の場面転換の仕掛けに。

もっと歌いまくってほしかったな。今回、追加された楽曲はあくまで繋ぎとして、あまり印象に残ってはいない(「ささやかな花」が良かった。)。あと、過去にも書いたけど、歌詞を聞き取りやすくしている為、ヴォーカルの高域を上げ過ぎて、ぎすぎすして聴こえる。
個人的には、やはり普通のコンサートのほうが好きだな。かつての名曲も歌ってくれるし。夜会は演目に左右される。それだけに彼女にとっては、スタッフ・ワークと共に挑戦しがいがあるのだろう。

景気づけの8番

ベートーヴェンの交響曲全集はクリュイタンス盤(画像下)以外に、スウィトナー指揮の全集(画像上)を持っています。
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このスウィトナー盤はちょっと全体的に地味な印象があり、放置していたのです。先に聴いたクリュイタンスの清涼感ある華やかさが印象的だったから。最近8番を好んで聴くようになり、スウィトナーもあわせて聴くように。

スウィトナーはベートーヴェンの堅固さを表してこちらの方が標準的なイメージなのかも。テンポはスウィトナーのほうが速いが、スカッと聴けるのはクリュイタンス。音量のレンジはクリュイタンスのほうが広く、スウィトナーは一定。
演奏設計は、単純にテンポを上げたり、キーを上げるだけではアピールにならないことの証明のようだ。両者甲乙つけられません。

↓つい手が出るのは・・・クリュイタンスのほう。

時間軸のパズル

ケーブルに加入していた頃に結構好きで観ていたアメリカの海外ドラマ、『ミディアム ~霊能捜査官アリソン・デュボア~シーズン5』をレンタルしました。
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全7シーズン。どこまで観たのか忘れてしまったので後期シーズンから借りてきた。霊能者が検事の下で事件解決示唆をするというもの。単発ドラマなので、どこからでも観られます。
アリソンは実在人物で、このドラマのアドバイザーでもあるらしいが、ホンモノには関心が無く。

ミステリーの常套手段である、時間経過をバラバラにして、そこに各登場人物の主観を織り交ぜながら、巧みにストーリーを作り込んでいくタイプのものだと思うが、本ドラマではヒロインの夢が真相究明のカギを握っている。
彼女が突発的に見るある事件の夢(ヴィジョン)が、過去なのか未来なのか、はたまた暗示であるのかさえも分からない。しかしそのどれもが的確な収束へと導かれるのだ。

いっけん胡散臭い異能者モノだが、アリソンの見る夢の断片が、ドラマののっけから突きつけられることによって、視聴者の頭の中に"既視感"が生まれる。このへんは映像の妙味で、後に真相シーンでリプレイされると「ああ、そういう事ね」と納得させられてしまうのだ。もしこれが口頭だけで、相手から「こんな夢を見たの」と聞かされても説得力が無いだろう。

もちろんこの手のドラマには矛盾も生じがち。検事や刑事はアリソンの能力に頼ってばかりで、ほとんど無能だが、そうは見えない細部の描写(法廷シーンなど)が、なされている。
アリソンの夢も最初は謎だらけなので、いちいち検事局で騒がず、「ゆうべはほんの一部だろう、今夜また続きを見たら、まとめて教えてくれ」と言ってのければそれまでだが、彼女が毎度アクティヴにならなければ、夢の続きは見られない、というこじつけも可能だ。

厳寒のハピネス

発売当時に購入したまま、ほとんど聴いてなかったジョニ・ミッチェル『風のインディゴ』を取り出しました。'94年作。
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前作『ナイト・ライド・ホーム』が好きすぎて、こちらを冷遇していたらしい。今聴くと季節柄マッチする。放置を後悔。ジャズ、打ち込みを経てアコースティック回帰したこのころは、一種の幸福感が感じられる。
なんか、彼女って原始人だなと思う。厳冬に強い樹木みたい。実際、長寿の家系らしいが。
http://grooveshark.com/s/Joni+Mitchel+How+Do+You+Stop/452d4Y?src=5

ブラームスの弦六

これは昨年頃買ったコチアン四重奏団&スメタナ四重奏団メンバー演奏の、ブラームス 弦楽六重奏曲、第1番&第2番です。
brahms

クラシックを薄く浅く聴いていますが、中でも声楽・オペラは今後も取り上げる可能性は低いと思います。発声に関してはポピュラーに傾倒しているので。声楽の声量は素晴らしいが、自分にとって身近な感動をすぐさま声にする場合、あのような発声にはならないから。
インストだと、器楽曲・管弦楽曲・交響曲の範囲にとどまるかな。ヴァイオリン・ソナタやチェロ・ソナタにはあまり興味は向かない。

弦の小編成も四重奏だと少し物足りなくて、この六重奏くらいの厚みは好き。
そしてブラームスは、自分にとってロマン派の中でもっとも得意ではない作曲家。去年、指揮者ザンデルリンクが死去した時、交響曲全集を買ったばかりで何か記事にしようかと思ったけど、肝心のブラームスにピンとこなくてスルーした。
ブラームス・コンプレックスは長く、某課題曲としてピアノ教師に選定されたブラームスのピアノ曲が理解出来ず、暗譜に苦心し、結局ラジカセで録音しつつ、聴き返しながらまとめていった。他の作曲家なら大抵好んで覚えられるのに。(皮肉にも、自分の弾き方をモニターしたやり方がよかったのか、課題は意外にもパス。当時から、自分はテクニックの無い人として周囲に囁かれていた。)

最近になって出会ったこの弦六、小編成ゆえ重厚さは軽く、ロマンティック。和声にあまり敏感でない自分には、やはり1番2楽章のような旋律に耳を惹かれる。映画音楽に似合いそうと思ったら、ルイ・マルの『恋人たち』で使われたそう。

↓他の演奏家による

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プロフィール

 シャケ/YASUHISA

Author: シャケ/YASUHISA
男性 昭和40年代生まれ

愛猫カオ(ロシアンブルー)と同居
常にマイブームがないと生きていけない

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