軽いのが好き

ヘンな記事タイトルですが、去年発売されたエリゼッチ・カルドーゾ/Elizeth Cardosoのライス盤、MM誌でも評判が良かったので気になっていて、先日購入。
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先にシロ・モンテイロとのデュオ・アルバム『ボッサ・エテルナ』でエリゼッチの歌唱イメージは、ある程度持っていましたが、ソロを聴くまでになかなか至らず。他に、オーディブックで「想いあふれて」だけ聴いていました。

今回まとめて聴いてみて、初期と軽めの歌い口のトラックは気に入って繰り返した。これは好みの問題としかいいようがないのだが、彼女の個性とは別に、僕はポルタメント(ずり上がり・ずり下がり唱法、楽器でいうグリッサンドに近いか)をかける歌手があまり好きじゃないんです。エリゼッチは特に高い音から低い音へのポルタメントの頻度が貫禄がつくにつれ多くなる。それだけ歌のスケールは大きくなるんだけど。そこだけ苦手。

1曲目の初ヒットとなる「愛の歌」から続く初期の歌い口が控え目でロマンティック。「愛の歌」の冒頭からフィーチャーされるサックスがたまらなくムーディー。アレンジメントは諸事情の結果だったそう。でもこれが良かった。
終盤の「想いあふれて」は、まだ無名だったジョアン・ジルベルトが女王エリゼッチに向かって、軽い感じに歌うよう歌唱指導し、周囲をハラハラさせたエピソードがあるそうだが、ジョアンの指導は的を得ていた事になる。

ホーム・パーティのようなライヴ

ケイト・マッガリグルを偲んで購入した、'09年発売DVD作品『A NOT SO SILENT NIGHT』。
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小さなステージに所狭しとファミリーが並んで斉唱する、アットホームなクリスマス・ライヴ。MM誌の最新号を立ち読みしたところ、ライヴ自体は別の会場で行われ、本作はDVD撮影用のライヴ・パフォーマンスだそう。

ケイト&アンナ・マッガリグル名義の作品としては、これが最後。ケイトを囲んで息子ルーファス、娘マーサももちろん出演。このファミリーに馴染みのミュージシャン、チャイム・タネンバウムは姉妹とどういう血縁関係なのだろう。スローン・ウェインライトは明らかにケイトの元夫ラウドンの家族だろう。姉妹の家系図がよく分かりませんが。

編成は姉妹のピアノ、ギター、アコーディオンを基本にしたアコースティック・バンドで、トランペット、サックス、フルートが華を添える。映像的には譜面を見下ろしたまま終始俯いて歌うなど、野暮ったい部分もあるが、リラックスしたいい雰囲気で、衒いなく音楽愛が伝わってくる。

ダミ声でシャンソンを熱唱する女装の歌手は、ルーファスの恋人か? 今や大スターのルーファス、駆け出しの頃は、少々ウェットな歌い口が受け付けなく、断然父っちゃん(ラウドン)のほうが好きだが、声量も増して朗々と風格を現わしている。
そうそう、ちなみにラウドン・ウェインライトⅢ、グラミー賞受賞しましたね。グラミー自体に興味は無いけど、彼が取ったのは嬉しい。公式サイトがリニューアルされていました。

本作では、主役の姉妹はほとんど歌わず、編成を変えながらコラボが続いていくが、醸し出すムードは暖かく、ささやかで羨ましくなる。他にゲストでエミルー・ハリスが。エミルー、年取っても細くて綺麗ですね。まさかルー・リードの姿を観る事が出来るとは思わなかったが、ロックのカリスマの中には歌唱力的にはどうなのかなぁ、としばしば思うことも。

ざっと観たところですが、我が家の数少ないクリスマス音楽ソフトの愛聴作品となること、間違いなし。
↓姉妹のファースト・アルバムより、ラウドン作の「Swimming Song」

Allie Cap from Ann Cook on Vimeo.

強い意志が素敵

今月CD&DVD買い過ぎ。やばい。
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大貫妙子さんの新作DVD『Gratefully Yours ~PURE ACOUSTIC 2009 at JCB HALL~』は、'09年に開催されたピュア・アコースティック・ライヴの映像化作品。僕は友達と大阪公演を生で観ましたが、本作は東京JCBホールでの模様。

このDVD発売に先駆け、BSでライヴ放送があったため、内容にどういった違いがあるのか気にはなっていました。
素晴らしい。
BS放送分とライヴ映像の編集部分は基本的に変わりがないが、本作はモノクロを基調にし、後半からカラー映像が交差する(オープニング曲の「Monochrome & Colours」に引っ掛けたのかな)。
ちょっとフィルム・ノワール的なタッチを思わせ、僕は未見だが彼女の過去映像作品『カイエ』にも通ずる世界なのかもしれない。音質はもちろんグンとアップ。リバーブのきめ細かさが放送とは違う。

途中、挿入されるグリーンを背景に語る彼女のインタビュー映像は、BS放送時とは違うものになってる。
音楽DVDはとかく編集の面で評価が分かれるところで、「一気にコンサート映像だけを観たかった」という意見はありがちだが、生のライヴを聴いた自分にとっては、こうした違ったアプローチをしてくれるほうが楽しい。
実際、ライヴ時のMCをそのまま映すのも不粋だし、曲だけを一気に流すのもどうかと。DVDにランダム再生機能があるなら、曲だけ収録でもいいが。

Disc2は、ネイキッド・ソングとして数曲のロケーション先のアカペラ映像が収録されているが、僕の希望としては、ギリシャのDVDのように、DVD+CDという形態でライヴ内容のインタピュー部分をカットしたCDを付属してほしい。音源のみでも遜色ないもんね。

挨拶文に「一公演分のみの収録に不安があった」といった事が書かれていたが、どうして素晴らしい演奏だった。大阪公演も完璧だった。
記事タイトルに表したように、彼女の音楽姿勢は強い意志を感じさせるが思わせぶりでもなく、押しつけがましくもない。はかないのに凛としてる。独特の立ち位置で、他に類をみない形態のバンドだ。(この形態をクラシック版のように捉えている人もいるかもしれないが、れっきとしたポップス・バンドのアコースティック・スタイルなのだと解釈する。)

取り立てて声を張り上げる訳でもなく、音を伸ばす訳でもない。彼女はバンドの音をよく聴いている、それがよく伝わる。ポップスでじっくり和声を楽しめるのも、このスタイルの特長だ。

大貫妙子「Pure Acoustic Live」フォトギャラリー

清しき小アジア

今回のギリシャ旧作の買い物は本当に満足してる。先のダラーラスの『ラテン』に続き、こちらは'72年作、'04年リマスター・リイシューのヨルゴス・ダラーラス&ハリス・アレクシーウによる、『小アジア』(輸入盤)。
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1枚ものなのにボックス仕様。リマスターにあたり、ダラーラスのディスコグラフィーを掲載したカラー・ブックレットも添付されていて、豪華。にしてもダラーラスのリリース量には圧倒される。とてもじゃないが集め切れない。

今後のギリシャものの購入は、こうした旧作のマスト・アイテムだけにしようかと思う。そもそもブログ始めるまでに、'90年前後からワールド系に興味を示したものの、ブランクもあって、まだまだ振り返り切れていないんですよね。

このアルバム、若かりし時代のダラーラスとハリスの歌声が聴かれるのだが、ダラーラスは既に7.8枚のアルバムを出し風格を漂わせ、現在と変わらぬほどの歌唱力。ハリスは、これがデビュー作となり、初々しいがこちらもしっかりした歌唱力が既に備わっている。
本作の経緯が知りたく、またしても頼りとなるのが、日本盤『ベスト・オヴ・ハリス・アレクシーウ』の中村とうようさんの解説。以下、抜粋させていただくと、
【全曲アポーストロス・カルザーラス作曲、ピサゴーラス作詞、小アジア半島(今のトルコ)へのギリシャ人の移住と帰還をテーマとする11曲を特集した意欲的なアルバム。】

ハリスは、当初予定された歌手のピンチヒッターで起用されたそう。もしこの機会がなかったら、我々はハリスの歌声に触れることができなかったかもしれない?
ダラーラス&マリネッラの傑作『MAZ』収録のオリジナルがここでも聴ける。『MAZ』は選曲の点でダラーラスの活動の集大成でもあるのだろう。

↓かねてから動画で気に入りつつ、どのアルバム収録なのか分からなかった、ハリスの慈愛のこもった歌曲。それが本作のラストで巡り逢えた。
(ハリスの声って時々、水前寺清子みたいに聴こえる。)

ギリシャ人が歌う、ラテン

ラテン。
高校時代、クラスの同級生達がヴァン・ヘイレンだの、レッド・ツェッペリンだの話題をしてる最中に、たった一人、フリオ・イグレシアスの話題を持ち出して浮いてしまった気まずさが懐かしい。
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ギリシャのCDは高いから、一旦打ち止めにしようかと思いかけてたら、旧作の中でも特に欲しかった2枚の入荷情報を見てしまい、即購入。妙子さんのDVDは今月見送ることにした。

そのうちの一枚、ヨルゴス・ダラーラスがラテンを歌いまくる、その名も『Latin』。'87年作品の'03年リマスター盤。
このアルバム、imeemに全曲アップされていた(違法アップだと思うけど)ので、内容の素晴らしさは、あらかた知っていました。(imeemって、いつのまにか消滅していたんですね。アクセスすると勝手にマイスペにジャンプしてしまう。)
全24曲。素晴らしすぎる。ネット試聴ではモッサリしてたが、ステレオではリマスター効果もあってか音質も抜群にいい。

ラテンを歌うダラーラスって、最もイキイキしているように聴こえるのは気のせいかな。彼のオリジナル・アルバムにはラテン・フレーヴァーが時折顔を覗かせる。レンベーティカを基盤にライカまで圧倒的歌唱でうならされるが、僕はちょっと彼が他ジャンルに挑んだりする作品が、リラックスしているようで好きになるようだ。アルバニア音楽に挑んだ『寂れた村』とかね。

マリネッラとのデュオ・ライヴ『MAZ』で歌われた曲が、このオリジナルではグリケーリアとの歌唱。ダラーラスの「ラ・バンバ」やマンボが聴けるなんてねぇ。
演奏もきめ細かく、楽しい。ダラーラスはしなやか、かつ張りつめた歌い口で、ファルセットもよく響く。あまりの申し分なさに畏れ入る。名品。

→試聴はエル・スールからどーぞ。

メアリーのコンサート・レポート記事

ミュージック・プラントさんのオフィシャル・ページに掲載されている、小生のメアリー・ブラックのコンサート・レポートの件、このほどリンク了解とりましたので、以下ご案内します。
いま読み返すと、かなり饒舌ですね。楽しかったもんねぇ。

オランダ・ツアー・レポート
オーストラリア・ツアー・レポート

海外旅行経験は少なく、出不精といってもいいくらいなんですが、コンサート観たい!と思い立ったら、いてもたってもいられなくなるのです。
特にオランダは、人との出会いにも恵まれて、幸運だったなぁ。M.プラントの野崎さんとは、それまでメールだけのやり取りだけで、メアリーのロッテルダム公演の楽屋でようやく初顔合わせ。「はじめまして!」と興奮気味に挨拶してたら、居合わせたメアリー・バンドの人達に笑われちゃいました。日本人同士が何故ここで初対面なの?って(笑)。

↓オランダ旅行
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ドロレスを彷彿

前回記事で、幼少時に「手のひらを太陽に」をダークダックスの歌唱で親しんだ、と記しましたが、ボニー・ジャックスの誤りだったかも…。レコードが今手元に無いもので。どっちだったかなぁ。

去年末、中古で購入したCD。500円也。
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'00年、ニーヴ・パーソンズの『イン・マイ・プライム』。アイリッシュ・トラッド・シンガーです。
ニーヴ・パーソンズについては、当初ウチが映画記事を書いていた頃に、コメントして下さった方から「ドロレス・ケーンに似てますよ」と教えてもらって、いつか聴いてみようと。
ところが解説を読むと、トラッド・バンド、アーカディにフランシス・ブラックの後任として、アルバム『メニー・ハッピー・リターンズ』にヴォーカル参加しており、そのCD持ってるんだワ(笑)。いつのまにか彼女の歌声を聴いていたらしい。

今回、初めてソロ・アルバムとして入手した訳だが、そうねぇ、今、自分の琴線にはあまり触れませんでした。
もちろん歌はうまいですし、安定してる。声質やノドに溜めたような節回しが、やはりドロレスを彷彿させる。'90年代にドーナル・ラニーのプロデュースで復活したモレート・ニ・ゴーナルにもやや似てる。
個性の違いを認めつつ、やっぱりドロレス・ケーンのコクと深みを知ってしまっているせいか、普通に聴こえてしまうのです。

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 シャケ/YASUHISA

Author: シャケ/YASUHISA
男性 昭和40年代生まれ

愛猫カオ(ロシアンブルー)と同居
常にマイブームがないと生きていけない

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