こころの湯/監督:チャン・ヤン

kokoro
以前、友達と映画の話をしていた時、お互い父子モノに涙脆いという話題で盛り上がった。そうして友達が貸してくれたDVDが、この「こころの湯」という中国映画だった。

知的障害の弟(ジャン・ウー)から、父親(チュウ・シュイ)が床に臥したような絵はがきが届き、悪い知らせと受け取った長男(プー・ツンシン)が、久々に遠路はるばる風呂屋「清水池」を営む実家に戻ってくる。ところが急用は無く、父弟ともいつもの暮らしぶりだった。弟は兄の帰省におおはしゃぎする。…

風呂屋を舞台に客の悲喜こもごものエピソードを織り交ぜながら、親子と兄弟の絆をあらためて痛感させる人情物語だ。
なんといっても風呂屋の大将である父親がいい。常連客の中年男が、最近女房と折り合いが悪く離婚したい、と相談にやって来た時の、大将の粋な計らいといったら…。

長男は結婚以来、一度も嫁を連れて帰省したことがない。家業や親の生き方にはかねてから違和感を感じているようだ。
しかし、客を大事に平凡な暮らしを支え、弟とはしゃぎながら風呂場を清掃する父の姿に次第に心ほぐれ、やがて風呂屋の営みを自ら手伝うようになる。

大陸の乾燥地帯では水がとても貴重で、家族が物々交換で水を集めて訪ね回り、娘を嫁入り前には必ず湯浴みさせる、という寓話のようなエピソードの挿入が効果的だ。
また、常連客の老人達が興じるこおろぎ相撲は、風呂屋で繰り広げられる庶民の暮らしを表したエピソードのひとつと受け止めていたが、その辺り、SADAHIKOさんの映画評に詳しく書かれている。

「清水池」は、古ぼけた下町の大衆浴場といった佇まいだが、マッサージや顔剃りなど各サービスが充実していて客は満足そう。何よりもそれらが心のこもった手仕事だから心地良いのだ。

「To tango tis Nefelis」ハリス・アレクシーウ

haris
ギリシャの歌姫、ハリス・アレクシーウHaris Alexiouを知ったのも、やはりワールドミュージック・ブームがきっかけだったと思う。

日本では恐らく、ギリシャの歌手といえば、ナナ・ムスクーリが有名ではないだろうか。僕が自然に耳魅かれたのはハリスの方だった。ギリシャの風景が浮かぶような哀愁サウンドに、ハスキーでふくよかな歌声…。

来日公演は一度きりだったと思う。残念ながら東京会場のみだったので、この時は諦めてしまった。
アテネオリンピックの閉会式に、彼女が出演するのでは?と、深夜頑張って起きていたら、やっぱり登場してくれた。男性歌手の大物ヨルゴス・ダラーラスとの共演。やはりハリスは国民的歌手なのだ。

PVの曲は、ケルト圏アーティスト、ロリーナ・マッケニットの作品。
ハリスのコンサートを聴くために「地球の歩き方」まで買ったのだが、いつ行けることやら。いつか生で聴きたい。



ハリス・アレクシーウのオフィシャル・サイトはこちら

プラダを着た悪魔/監督:デヴィッド・フランケル

prada
本編を観るまでは、てっきり素朴なアンディ(アン・ハサウェイ)がミランダ(メリル・ストリープ)に気に入られて、モデルへと華麗な変貌を遂げていくお話なんだと思い込んでた。
「ワーキング・ガール」を彷彿とさせる、キャリア・ウーマンへのサクセス・ストーリーだ。

本当をいうと、ジャーナリスト志望のアンディがなぜ、畑違いのファッション業界に飛び込んだのか、今ひとつ理解しがたかったのだが、アメリカの場合、転職がキャリア・アップの為に有利になるってこと自体が、まず日本との大きな違いなのだな。

実にファッショナブルな映画。ストーリーに特に内容がなくても、アンの目まぐるしいほどのお召し替えを見てるだけで充分楽しめるほど。まさにモデル並みじゃないか。男が観ても、おしゃれを考えてみたくなる映画だ。目に楽しい。
メリル・ストリープの装いには、何も感じなかったが、彼女のすっぴんを見た時には、なんだか女優根性を感じたね。

登場する男達には、あまり重要な役割がない。
アンディは物理的に忙しくなり、外見的に職業柄ブランド物を着込むようになっただけで、本質的にプライベートを大事にする芯の強い女性であることに変わりない。なのに恋人のネイトは、彼女がすっかり変わってしまったと言いやがる。ちっちゃい男やなあ(笑)。まぁ、結局ヨリを戻せたから良しとしよう。少なくとも、あのキザなエッセイストの男に彼女を取られるよりはいいや。

アンディの仕事の辞め方は、僕の辞め方と似ていた。でもその後、彼女のように転職にあたって、元上司に推薦されるとかは有り得ない。アンディは気を良くしたから、元職場の先輩に電話を入れたり、ミランダに快活に手を振って見せるなど出来るのだ。これが映画と現実とのギャップである。

おしゃれの基本は、やっぱり姿勢とか立ち姿じゃないかな。

あなたがイチバン

carly2

「007/私を愛したスパイ」の主題歌「Nobody Does It Better」のヴォーカルにカーリーが起用されたのは、シンガー&ソングライター以上に彼女がシンガーとして高い評価を受けていたからだろう。ポップ・スタンダードと言っていい名曲だ。カーリー独特のこぶし回しが良い。この時のボンド役は、ロジャー・ムーア。
手元のカーリー・サイモンのCDの訳詞では「誰だって これほどのことはできない(中略) あなたには到底 及ばない人ばかり」(訳:藤野治美 より)と意味深な内容だが、訳の仕方も色々あるもので、映画の字幕では「あなたが一番 他の男はみんなクズ」となっていた記憶がある。

そういえば昔、海外一人旅でホテルチェックインの際、スタッフの美しい女性から突然日本語で「あなたイチバン」と言われてドキッ
よくよく聞けば「One Night」の意味だった。ガクッ

↓映画のオープニング映像(77年)


↓同曲のカーリーのライヴ映像(87年)




悲歌こぼれ話

mary4

You Tubeで未見のメアリー・ブラックの姿を見つけた。アイリッシュ・ルーツミュージックの特集番組の一部だろうか。曲はトラッドで、恋人の戦場からの帰還をひたすら待ちわびる悲しい歌「Siul A Run」。サビ部分はゲール語だ。

ちなみにこの映像で、髪を後ろで束ねているギタリストのオジサン、オーストラリア出身・アイルランド在住のスティーヴ・クーニーという人で、コワそうだけど、とっても親切な方なのだ。

メアリーのコンサート鑑賞のためにオランダに行った時のこと、3日分のチケットをとり、初日のアイントフォーヘン(電気メーカー・フィリップスPHILIPSの本拠地)のコンサート明け、ホテルで朝食を食べていると、なんとメアリーバンド一行とばったり。同じホテルに宿泊していたとは。この時、メアリーはいなかったが、朝食を食べてるバンドマン達に「日本から聴きに来ました。感動しました。」と声をかけると、とても驚き、喜んでくれ、「君はメアリーに会いたいかい?」と訊いてきたのが、スティーヴだった。
「も、もちろん」と上ずりながら、首を何度も縦に振ると、笑って、「じゃ、この後、集合だからレセプション前で待ち合わせよう」と。やはりメアリーも宿泊していたのだ。

撮影NGで、という条件下で引き合わせてもらった。メアリーは3人の子持ちの普通のお母さんだが、溌剌としていて、とっても輝いた女性。僕が「今夜も明日も聴きにいきます」と言うと、とても喜んでくれた。
メアリーと別れの握手をし、次のコンサート地へ向かうべく、一人荷物を転がし始めると、スティーヴが「君、次のコンサートも来るんだろ?だったら一緒に乗っておいで」と。えっ?!「いや、ご迷惑ですから」と躊躇している隙に、彼は僕から荷物をさっと奪い、ワゴン車に積み込んでみんなで一緒に出発GO!(笑)
なんと、ロッテルダムまでメアリーツアーに同行したのであった。なんとも気さくである。



太陽に焼かれてみたい

カーリー・サイモンのアーティスト魂を感じさせる楽曲の一つがこれだ。
ダイレクトな歌詞、力強いヴォーカル。ニューヨークのグランド・セントラル駅(よく映画のロケにも使われる駅)でのライブのオープニング曲で、ミュージシャンが一人ずつ厳かにステージに登場する演出が、なんともカッコよかった。

♪TOUCHED BY THE SUN(Carly Simon)

勇ましくなりたいと 天高くに手を伸ばし
地平線のさいはてに臨めば そこで誰に会えるか知ってる?
偉大な兵士や船乗り 芸術家に夢想家
みな光に、光に近づくべき人ばかり
炎に焼かれる危険にさらされる人たち
私も、私もそこに行きたい
私も、私もなってみたい
太陽のめぐみを与えられた者に
太陽のめぐみを与えられた者に

いつも人生という名の道の 安全な側を歩きたがる私
自分で自分を寝かしつけて 心の痛みをやわらげる
でも本当は分かってる 賢者たちから学ぶべきだと
生きていく権利を勝ちとり 欲望の翼をひろげ 夜空を飛び回るの
いつか世間に言わせたい 彼女は気が違っていたのだと
私も、私もそこに行きたい
私も、私もなってみたい
太陽のめぐみを与えられた者に
太陽のめぐみを与えられた者に


(対訳:川越由佳 より) ※原詞はこちら



収録アルバムはこちら

マイ・テーマソングだった

カーリー・サイモン関連の記念すべき最初の記事で、代表曲「うつろな愛」と「レット・ザ・リバー・ラン」を取り上げましたが、You Tubeで「レット・ザ・リバー・ラン/Let the river run」のプロモーション・ビデオを見つけたので、貼り付けました。よかったら視聴してみてください。
映画「ワーキング・ガール」の主題歌に起用された曲で、このPVでは、映画の本編に出演していないカーリーが、主演のメラニー・グリフィスと共演しています。また、ハリソン・フォード、シガニー・ウィーバーの姿もチラリ。

学生時代、就職活動時期のマイ・テーマソングでした(笑)。
家でこの曲聴いてから、面接に出かけたものです。



アイドルから教わった

carly1

カーリー・サイモン/Carly Simonの曲を聴いたのは、幼稚園の頃だった。その頃から洋楽聴いてたの?と言われそうだが、実は彼女の歌声で知ったのではなく、当時、日本のアイドルだった歌手がカバーしていたのである。
それは、アグネス・チャン

姉がアグネス・チャンのアルバムを持っていて、当時のアグネスは、まだデビューしたての頃で、持ち歌が少なかったのだろう。アグネスに同じレコードレーベルの外国曲を歌わせていたのだろうと思う。カーペンターズの曲とかもあった。
カーペンターズの曲も好きだったが、ベースのみの雰囲気物のイントロが耳を惹いたのだ。それがカーリー・サイモン作の「うつろな愛/You're so vain」だ。

カーリーを知らない人には、映画「ワーキング・ガール」の主題歌を歌っていた人だと言えば、思い出すだろうか。ビールのCMやあちこちで起用されていて、かつて日本のドラマ「ホテル」の島田歌穂が歌う主題歌にもなった「レット・ザ・リバー・ラン」である。聴けば絶対ご存知のはず。

「うつろな愛」は、プレイポーイの彼のことを歌った大ヒット曲で、当時は彼女のそのお相手はミック・ジャガーだとか(実際この曲のバック・ヴォーカルをやってる)、ウォーレン・ビーティだとか、とかく話題になったらしい。
高校生の頃、ようやく本家のアルバムを聴く機会があり、はじめの頃は、いかにもアメリカンな大味な歌い方だと感じて、アグネスの方がいい!とか思っていたが、聴くほどにカーリーのフィーリングの豊かさに気づき、今や大ファンである。(アマゾン視聴可能)





究極のラヴソング

mary3ボブ・ディランはやっぱりいい。最近になってわかるようになってきた。メアリー・ブラックは、ライブで彼のことを「フォークの神様」と呼んでいたが、「ラヴソングの神様」でもあると思う。
メアリーがカバーしたディランの歌は、人を好きになることはあっても、なかなかその先に踏み込まない僕を刺激する。

♪To Make You Feel My Love
(Bob Dylan)

雨があなたの顔に吹きつけ
世の中のすべてがあなたを悩ますとき
あなたを暖かく抱きしめてあげるわ
あなたに私の愛を感じてもらうために

夕闇が辺りを暗くし、星が現れ
あなたの涙を乾かす人が誰もいないとき
私はあなたを百万年だって抱いていてあげる
あなたに私の愛を感じてもらうために

(中略)

飢えてもいいし、青黒い痣ができてもいい
通りを這って歩きましょう
ええ、どんなことだってするわ
あなたに私の愛を感じてもらうためなら

(中略)

あなたを幸せにできるわ
あなたの夢をかなえてあげる
私はどんなことだってする
あなたのために地の果てまで行く
私の愛を感じてもらうために


(メアリー・ブラック「フル・タイド」訳:五十嵐正 より)
※原詞はこちら

full tide

※視聴は。この商品にご興味おありの方はこちらをご覧下さい。

Pagination

Utility

別宅のご案内

sake moge Flickr(オリジナル写真集)                   ●手さぐりのリボン結び(オリジナル楽曲集)

プロフィール

 シャケ/YASUHISA

Author: シャケ/YASUHISA
男性 昭和40年代生まれ

愛猫カオ(ロシアンブルー)と同居
常にマイブームがないと生きていけない

月別アーカイブ

全記事(数)表示

全タイトルを表示