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2019/11/18

パティさんの面影

先日、過去音源に新たにオーケストラを加えた新作がリリースとなったメアリー・ブラックが、アイルランド公共放送の長寿番組である「レイト・レイト・ショー」に出演した最近映像の件を、コメントで教えていただいて、視聴してみた。
やはり、というか予想以上に衰えてしまっている。歌い口そのものは、スタジオ録音とは違った、ライヴならではの従来通りの抑揚の付け方だが、絞り出すので精一杯という印象。
心なしか、オケ団員の面持ちも、"出ないほうが・・・"と言いたげに見えてしまった。演奏後の司会者も幾分取り繕ったような感じで。
アコーディオン奏者が長年共にしてきたパット・クロウリーで無かったのも、少しショック。もう一緒に活動していないのだろうか? スケジュールが合わなかっただけ?
SNSでは視聴者の厳しいコメントもちらほら見受けた。ぼくも音楽には音色も大事な要素と捉えているので、このメアリーのパフォーマンスにはコメントが難しい。絶頂期の実績を知らない人が、この回だけ見れば誤解してしまうんじゃないか・・・。(往年の名ヴァイオリニストが、引退際の理由に"99%しか力を出せなくなったから"とコメントしたのを思い出した。)

ただ、彼女自身は恥じてはいないと思う。プロモーション義務から出演を強いられたのではなく、彼女の人の好さそのものじゃないか。
実際、国内と近隣国間でのコンサート活動は今も継続しているようで、高齢者や彼女のファンが、いわば懐メロ感覚で足を運んだりしてるのだろう。顔を見せるだけでも喜ばれる名士なのだ。
日本国内じゃ、メアリーほどの実力も無い歌手でも、セキュリティ高くて直接会わせてなんかもらえないが、この国民的歌手は、楽屋にもすんなり引き入れてくれた。打ち上げパーティへの誘いには、さすがにメアリーの娘が、ぼくから距離を置いて"あんな知らない日本人連れてっていいの?"と母ちゃんに注意してたようだったが、当のメアリーは"大丈夫でしょ"とケロッとした感じだったね。身長は165㎝も無い位の、日本人女性と変わらない小柄だが、ステージでは朗々と圧倒的に美しい歌い上げだった。

彼女のラスト・ワールドツアーは5年くらい前だったか、最後の来日は東京のみで、これだけぼくは行けなかった。というか、この直前の「レイト・レイト・ショー」出演の彼女の歌に既に兆候をみてとったので、観るのを躊躇ったのだった。この時、彼女自身、自分の力を自覚していた筈で、充分やり切ったと自負できていたと思う。

今回の直近映像を一通り観ながら、ハラハラしつつも、メアリーの歌声に彼女の母親、高齢のパティさんが生前TV出演した際の歌声がふと重なった。パティさんはプロでは無かったが皆音楽一家で、ブラック・ファミリーの活躍も知られる通り。メアリーが、フィジカル的な自覚をもってしても歌い続けるのは、音楽による家族の繋がり-既に子供たちも人気プロである-に、母パティを晩年の人生のロールモデルとして自身に重ね始めたからではないか?

視聴後、夜中にジムトレしながら、自分も衰えたよな、と。もうあんなに意識の中に入り込んできたヴォイスに出会うことなど、今後有り得ないのではないか?と。
それにしても、スペシャルながらこのオケ共演が最後の映像機会になってしまうと残念だ。いつものバッキング・メンバーで聴かせて欲しいね。

2019/10/18

逆効果のディスク

前回記事のバリーのアルバム、当時はネットが無い頃で店頭購入したものだが、あらためてネット・レビューを見ると絶賛されてますね。なんか、今振り返れば、ぼくにとってあの音楽バーだけが、唯一バカにされた場所だったような気がする。何枚か、その店に持ち込んだディスクは、悉くコケにされた。テレーザ・クリスチーナの時なんか、たまたま珍しく居合わせた見知らぬ他の客に向かってマスターが、"こんな音楽だれも聴きませんよね?"と同調を促す。そしてその翌年には、目出度くクリスチーナが来日を果たすという。

とにかく客が来ない店で、一度"アジア人観光客にもPRしてみてはどう?"と意見してみても、"それは絶対イヤだ"と頑な。
閉店の決定後、店を訪れた際、少しおちょくってみた。"ぼくが通い出した店は、大抵つぶれるんだわ"と言うと、"ええーっ、ウッソー?!"と、のけ反りつつ、そういうジンクスは信じ込みたがっていた。ぼくが贔屓にしてきた店は、何処も今も続いてるけどね。



何でもmoraもハイレゾ配信開始するそうですね。ぼくはAmazonに落ち着くかなぁ、Echo Linkがあるから。これ、良い音出しますよ。
アレクサ対応の機器設置が前提となるために、オーディオファンにはスルーされそうだけど。かくいうぼくも、たまたま前世代のEchoスピーカーを安く買ったタイミングで、AmazonからHD配信サービスが始まり、ついでの連携でEcho Linkを揃えたまでで、そんなに期待してはいなかったのだ。

手持ちCDの音は、このEcho Linkと、つい先日入手したヘッドホンアンプの両方から出力して、好みに合うほうをエクセルにメモしていってる。かなりヒマがかかりますが。
大抵は、ヘッドホンアンプを介したほうが優位なのだが、稀に逆効果に感じたものが、画像のメアリーの『By the Time It Gets Dark (30th Anniversary Edition)』。

30年越しの再編集のためか、DACアンプを通してでは、ツギハギ感が丸分かりで、特にヴォーカルに烈しくリミッターをかけた痕跡あり。声が張り上がった箇所で、抑制した不自然な加工音がする。聴こえすぎの問題。
こういうディスクは、かえってスペックの高くない環境で聴くほうが良いみたいだ。稀なケースだろうね。
2019/10/11

メアリーのOrchestrated



メアリー・ブラックの過去録音にアイルランド国立交響楽団(RTE_NSO)によるフル・オーケストラ・アレンジを追加した新作『Orchestrated』が本日発売、Spotifyで早速試聴しました。

全11曲通して聴くと、さすがにちょっと疲れた。数曲ずつチョイスして聴くくらいでいいかな。編曲・指揮のブライアン・バーン氏は、良い仕事をしたと思う。
ダビング自体は、ポピュラー界では当たり前の事なので、ぼくはカーペンターズの新作『ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団』も高評価してる。
ただ、メアリーの場合、予想した通り、オリジナルのリズム隊が抑制されているので、後からダイナミズムの追加するには限界を感じる。オケの打楽器要員によって、新たにドラムセットをホールトーンで演奏追加するわけにはいかなかったのだろうか。もしくは、そこまでしてしまっては、オリジナルのメンバーの演奏に失礼にあたるとの判断があったのか。

メアリーのヴォーカルは、経年隔てた音源とのドッキングによる不自然さを除いても、意外とフルオケとマッチしない声なんだな、と。歌い口があっけらかんとし過ぎているのだ。もちろん歌の巧さを再認識する機会にはなったのだが。やはりフォークの歌い方なのだ。
マルシア・ハワードとのデュエットにフルオケ追加した(4)「Poison Tree」での、マルシアのハスキーな声質が意外とオケにマッチしているところをみると、ポップス畑のシンガーとオケとの相性は、けして声量ではなく、むしろ声質との相性なのか、とも思う。
かのジョニ・ミッチェルの大作『トラヴェローグ』にしても、晩年のあのボソボソ語りの歌い口がサウンドの核を成していたのだから、今思うとすごい説得力だ。

逆に今作のメアリーの件で、原曲アレンジャー&ギタリストであるデクラン・シノットの凄腕も再認識。メアリーの特性をよく理解し、アコギを基調に隙間を作った抑制が利くアレンジは、アコースティック・サウンドにして映像美のようなインパクトをもたらした。

今作、最も大化けしたのは、既にシングルカットされている(2)『カロリナ・ルー(Orchestrated)』か。追加録音によって、リミックスによりオリジナル音源よりもヴォーカルが生々しいものも多いのでファンにとって聴き物ではある。関心ある人には歌モノのオーケストレーションの参考になるだろう。
2019/10/03

スペクタクルなカロリナ・ルー

Echo LinkでAmazon Music HDを聴くようになって、サブウーファーに同じように低音を振ろうと、手持ちCDプレーヤーをEcho Linkに繋いでみた。低域の輪郭が出て繰り返し聴いてきたCDが新鮮。
この環境で同じアルバムをCDとストリーミングで音質比較してみたが、ほぼ同等の感触。ストリーミングの高域にやや響きの不満が残るが、イコライザーで試行錯誤してみる。
先日から始まったばかりのこのサービス、感想は様々のようだが、音が悪い、という意見はどうかな。音源そのもののクオリティにバラつきがあるのであって、全体が提供する質はCDのクオリティ以上のものだ。
中には手持ちアルバムより品質が落ちるものも紛れてる。また、ジャケと中身のプログラムが全然違うとか。一気にこれだけ扱えば、ムラも出てくるのは仕方ないか。問い合わせて修正してくれればいいが。

アプリも少しずつ不満は出てきた。アルバムの曲をいったんランダムに再生すると、なぜか元の曲順に戻らなくなってしまう。アルバムの購入リンクは不要。このサービスのユーザーが、MP3をわざわざダウンロードするだろうか?



メアリーの近日発売の『Orchestrated』からシングルカットの第2弾、「カロリナ・ルー」。これは大胆に追加アレンジしてきましたね。
彼女の公式サイトには既にトラックリストが発表されていて、ぼくのバラード中心の選曲の予想に反し、オーケストラとの相性が想像できない意外な曲も含まれている。
基本的にオリジナル録音に基づいているはずだが、トラック(1)のジョニ・ミッチェルのカヴァーは、頭出しだけサンプルが聴けるが、新録みたいに聴こえる。

今回の「カロリナ・ルー」、出だしからオケの爆音にびっくり。エンディングはサイズを追加し、アイリッシュ・ダンスのテイストで締める。尤もオリジナル当時の録音において、メアリーはオケのスケールで歌ったのではないから、非常にヴォーカルが淡々として聴こえるし、オリジナルのリズム隊は、もはやリズムボックスと化したかのように引っ込んでいる。それでも、追加アレンジの手腕もなかなかのものですな。
2019/09/09

ノー・フロンティアーズ30周年

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FUJIFILM X-T30 XF56mmF1.2 R 2019.09

メアリー・ブラックの1989年の名盤『ノー・フロンティアーズ』発売からちょうど30年。このアルバムの前作『暗くなるまえに(国内盤邦題)』については、リミックスとリマスタリングに、ボーナストラックを加えた30周年スペシャルエディション盤が出ていた。

『暗くなるまえに』は、当時の録音にリバーブ過剰など問題点があったため、メアリー本人をはじめスタッフに最新テクノロジーで修正したいという思いが募っていたものと想像する。
が、『ノー・フロンティアーズ』は、今と比較すれば録音の古さは否めないものの、アナログの温かみが活きた優れたバランス仕上がりで、あれはもう弄りようも無い。だからスペシャルエディションは出ないだろう、と。

早朝、全米OPテニスの男子決勝を観ていたら、メアリーからの告知ツイート。なんと、「ノー・フロンティアーズ」のオーケストラ・アレンジを追加した新作アルバムが発売されるという。

画像のみ
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先行シングルのみ、Amazon MusicとSpotifyでひとまず確認できました。選曲・アレンジ・プロデュースはBrian Byrne氏となっている。楽団はアイルランド国立交響楽団(RTE_NSO)。
一応、30周年を意識して企画されたものだろう、ただ、メアリーと従来スタッフ側は制作にノータッチと思われる。追加録音に際してのマスターテープの貸し出しなどの事務レベルの関りのみと推測する。※追記、ツイートを読み返すと、選曲にはメアリーも関わっているとありました。

さて先行の「ノー・フロンティアーズ」。パソコン用の小さなスピーカーでの試聴なので細部まで聴いてはいないが、ユニークな試みなんじゃないでしょうか。オリジナル音源に愛着がある者にとって、ティンパニの挿入など多少の違和感はあるものの、きれいにフィーチャーされている。
尤も、メアリーのバンドは、そもそもスネアドラムをスティックでは無く、ブラシで、アフタービートは、ハイハットのフットペダルと、抑制を利かせていただけに、まるでドラミングを抜いたままティンパニを上乗せたようで、全体のリズムデザインとしては無理をしているようで、テンポのある曲に関しては、割り切って聴くしかないか。「Bright Blue Rose」あたり、似合いそうじゃないか?
他の選曲も楽しみだ。フルでサブスクリプションにアップされますかねぇ。

▼Mary Black - No Frontiers Orchestrated
https://youtu.be/9QrGbb7Mfho