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2018/02/22

変わる・変わらない

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Panasonic DMC-G8 LEICA DG SUMMILUX 25mm F1.4 2018.02

14~15歳の時に聴いた音楽というと、たとえばこれですね。(小生の具体的な年齢をお知りになりたければ、発売年で分かるでしょう。)



何日前だったか、目覚めの時、何故かこのアルバム収録の「ばいばいどくおぶざべい」の歌詞の一節を思い出していた。

【挨拶をきりだすのは こちらから】(中島みゆき「ばいばいどくおぶざべい」より)
※歌詞全体はこちら

ライヴハウス出演を馘になったであろう男が、次に店を訪れる頃には、すでに誰からも自分は忘れられているという現実。今更ながらこの節を思い出して妙に痛くなったのだ。

本作発表当時、彼女のファンの多くは、抒情的なフォークの作風を好んでいた筈だったから、本曲に関しては意表をつかれたというより、"かったるい"などという感想も少なからず目にした。なにせ前作『寒水魚』のイメージからさらに趣向が変わったものだから。

ぼくはこの曲、好きだった。今振り返れば、A面全てのバンド・アレンジを彼女自身が担当したのは、後にも先にも本作のみ。しかもこの「ばいばい・・・」は、ベースが細野晴臣ときている。
本作をひっさげたツアー・パンフレットの写真と、この曲の印象が被るのだ。モノクロで、薄暗い舞台袖から客席を少し窺うように佇む彼女。

「ばいばいどくおぶざべい」は、かの有名曲「ドック・オブ・ザ・ベイ」と「ライク・ア・ローリング・ストーン」が、それぞれ平仮名表記で登場。
あらためて詞を読み返すと、冒頭3行目迄と、4行目以降の一人称と二人称の関係性が、一聴しただけですぐには分かりづらい。けれども当時、無意識に聴くだけでも、この歌の悲哀というか、深い情感は伝わってきた。

彼女のミュージシャン絡みの作品といえば、他にすばり「ミュージシャン」があり、こちらも私(女性)とあなた(ミューシジャン男性)が、互いに呼応する形で登場し、関係性でいえばこちらのほうが分かり易い。
「ばいばいどくおぶざべい」は、時代背景的にみて、彼女の経験が基になっているとすれば、まだ彼女のデビュー前のアマチュア時代の出来事となる。
変わりたくない自分と変わりゆく時代。変わらざるを得ない自分。曲名の平仮名表記から漂う拙さが、実はこの物語の救いなんじゃないか。
2018/01/16

混沌のアルバム

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FUJIFILM X-Pro2 XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro 2018.01

色街通りを撮ったら、「紅灯の海」を思い出した。中島さんが竹中直人に提供した曲。

【けがれなき者よ この海に迷い込むな
幼き者よ この海に憧れるな
あてのない明日と しどけない過去の日々が
すれ違うための 束の間の海だ.】
(中島みゆき「紅灯の海」より引用)



1998年作品『わたしの子供になりなさい』収録。当時、この歌が好きで、頭の中で何度も繰り返してた。
しかし、アルバム全体の印象はヘヴィで、中島さんのヴォーカルはクセが強い。メロディ的にぼくが好きなトラックは「紅灯の海」の他、フェイ・ウォンへ提供の「清流」、石嶺聡子へ提供「You don't know」。

今、振り返るとラストの「紅灯の海」~「4.2.3.」への流れは凄まじい。こんな構成のアルバムは、他アーティストで巡り合う事は無いだろう。
「4.2.3.」は、在ペルー日本大使公邸占拠事件をモチーフにした長尺曲。不穏なムードのサウンドは、かつての『グッバイ ガール』収録の、やはりラスト曲「吹雪」に近い(いずれも瀬尾一三編曲)。
"4.2.3."と溜息まじりに歌われる理由とは? 目の前で犠牲になった兵士が担架で運ばれても、"日本人が救出されました!"とばかり声高に叫ぶ日本人リポーターの動向を重く描写する。ぼくはこの楽曲を政治的メッセージとしてではなく、ただ単純に受け止めている。そのテーマはアルバム全体に通じている。
2018/01/12

歌詞カードの愉しみ

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FUJIFILM X-Pro2 XF35mmF2 R WR 2018.01

家を出ると、俄かに目の前をオリエント急行が走り抜けた。走り抜けたといっても、鈍スピードだけど。



こちらも中島さんのシングル。『命の別名』。'98年発売かぁ、もう20年前になるんだ。こちらもドラマ主題歌になっていたが一切視聴せず。彼女らしいテーマをシンプルな詞と旋律で歌い上げる。この後にアルバム『わたしの子供になりなさい』で歌い直したヴァージョンのほうが、よりこなれて迫力が出ているので、ぼくはアルバム版がオススメですね。

カップリングは今や若いシンガーのカヴァーによる追随が続く「糸」。こちらはさらに遡って'92年アルバム『EAST ASIA』からのカット。初期からのファンにしてみれば、よもや彼女の曲があちこちの結婚式で歌われるなど、想像しただろうか。この曲が出る以前は、せいぜい「時代」くらいが穏当だった。が、「時代」にしても"今日は別れた恋人たちも・・・"の件があるから、カップルの祝福に向いてるとは言い難かった。

「糸」が、このビッグ・アーティストにして、なぜここまで年数をかけて世に浸透していったのか。アルバム発売日に合わせて買ったぼくにしてみれば首を傾げるほど、ずば抜けた作品だ。当時の『夜会』テーマ曲として発表された大曲「二艘の舟」をラスト・トラックにするかと思いきや、つづく本ラスがこの「糸」だった。
カラオケを中心に歌詞を知って広まったのだろうか。この歌は歌詞を見る妙味がある。特に最後行。
2018/01/07

敬遠した愛情ソング

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Panasonic DMC-G8 LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6 II 2018.01

正月に、置きピン(予めピントを合わせた箇所に、電車など狙いの被写体を打つ撮り方)の練習がてら、なんとなく撮った一枚。人々が短い間隔の線路をそれぞれ渡っていく姿が気に入っています。手前の男性の顔が写っていますが、トリミングで鮮明じゃないのでどうかご容赦を。



部屋の掃除中に出てきた中島さんのシングル。たしかテレ朝系の刑事ドラマの主題歌だったかと。ぼくは彼女のファンだが、この曲は嫌いで、彼女の全曲の中で最も嫌いといってもいいほど。ハードボイルト系に合わせた作風に無理があったか、終始ちりめんビブラートのヴォーカルに、瀬尾氏の古臭い弦アレンジ。この弦聴いてると、なんだか千家和也氏が提供していた頃の、初期の百恵ちゃんあたりを思い出させる。同ドラマへの提供曲では、それ以前の「たかが愛」のほうが似合ってた。

カップリングは小林幸子へ提供した「幸せ」。この曲もあの豪華な衣装で紅白で歌われたらしいが、興味なくて観てなかった。歌唱は小林のほうが安定しているだけ上手いけれど。このタイプのみゆき曲なら、「笑ってよエンジェル」が好きです。
2017/11/22

小春に捧ぐ?

sanpo171121
Panasonic DMC-G8 LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2 2017.11

中島さんの新譜『相聞』が今日発売なんだけど、事前にFMなどで数曲を先行試聴して、かなりアクの強そうな音だったので、買うのは保留。かつては毎作フラゲしてたほどだったのだが。
全体的にロックサウンド傾向みたいだが、欧米のようにポップス~ロックへと発展したものでなく、彼女の場合あくまでフォークをロック仕立てにした作曲で、いわば言葉に単旋律を乗せたもの・あるいは手癖でギターをかき鳴らして言葉と旋律を同時に作る、といった手法だと思う。
彼女のロック曲は、ちょっとブリッジの印象が弱い。サビはシンプルなコードでいいから、ブリッジ部分は、ちょっとハーモニーに凝っててもいいんじゃないかな。例えば、ある持続音の下にコードチェンジをしていくなどの発想が、彼女にはほとんどなく、アレンジャーが曲の展開の合間に、そうした遊びを加えるといった程度のもので、原曲者自体にその発想があるかないかで、楽曲の構想も大きく変わるのだろうと思う。

唯一、ナイアガラ・サウンド調のアレンジが施された(5)「移動性低気圧」だけ、ダウンロードしようかな。あとは(8)「アリア」かな。興味深い歌詞のほうは、歌詞ネットで全曲鑑賞させてもらった。いずれも唸らされるが、過日の『やすらぎの郷』ドラマを受けて、劇中の感動エピソードに登場した、冨士眞奈美演じる、周囲に嫌われニューヨークに発ち、挫折して帰国した犬山小春に捧げたような曲が散見される。
特に(2)「小春日和」、(3)「マンハッタン ナイト ライン」など、シチュエーションが合いそうなのだ。

【悪気だけでは生きてゆけないものよ
親切だけで生きてはゆけないように
何も何も頼らなければ
あなたを傷つけはしなかったのに
(中略)

二度と誰をも泣かせない 誓うために訪ねて来ただけよ
小春日和を探しています 小春日和を探しています
嘘のぬくもり探しています】
(中島みゆき「小春日和」より引用)

【マンハッタンナイトライン マンハッタンナイトライン
逃げ帰る故郷など とうに無い

急ぎ足で追い抜いて 早口でリエゾンする
この街の人々は 気が良くて 気が多い

たぶん何か話した たぶん何か笑った
それなのに誰ひとり会わなかった気がする】
(中島みゆき「マンハッタン ナイト ライン」より引用)