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2020/06/28

誰かの自分事

20200627

レコードプレーヤーを導入する直前に海外注文していたCDが幾つか届き、聴いてみてはいるんだが音が硬くて萎えてしまう。CDってこんなにレンジ狭いんだっけ、と。内容は予め試聴しているから気に入ってるんだけど。

こちらは随分前に実家から持ち出して来たLP。ほんの10枚足らずの持ち込みだったから、よほど気に入ってたのでしょう。松任谷由実『OLIVE』(1979)。
去年、彼女の旧作が一気にリマスター化されサブスクで聴けるようになり、本作など幾つか自分のお気に入りは別途ハイレゾ購入しようかと考えてたんだけど、アナログで充分聴けるね。
本盤は、メロディの楽しさがぎっしり詰まってる。'80年代に入ると彼女のアルバムは、ヴォーカルにエフェクトがかかり、幾分抑制されるようになったが、こちらはデーンと素のまま聴かせているのに好感。まるで古典的な甘さのケーキをたっぷり奢ってもらってるよう。

何度聴き返しても唸らされるのがA-(3)「ツバメのように」。拙宅でのこの曲に関する過去記事について、最近になって元歌がありますよとの情報をお寄せいただいた。
そのフレンチ曲を初めて動画試聴してみた。歌詞のシチュエーションはそのまま、曲調はあえて明るいフォークで深刻さを浮き彫りにした表現だったが、音楽的にはユーミンのほうが興味深い。
ユーミンのほう、あらためて聴くとティンバレスが効果的。このラテン・パーカッションが、虚空に響くようで歌詞内容とマッチしてるのだ。クールな低めの歌い口に旦那さんの洒落たアレンジが効く。

この飛び降り自殺女性について語られた歌詞、確かにシチュエーション自体はそっくりだが、視点とデリカシーの表現はユーミンが勝るように思う。
元歌で野次馬が"あまり美人じゃない"と言う、死人に対する残酷なくだり。ここがリフレインでくどいのだが、ユーミンのは冒頭のみの状況説明に留められている(死に顔はきっと目を開けた状態だったということですね? 目を閉じていたなら顔立ちの区別付きませんよね)。

また、元歌は全体通してドキュメンタリーのような目の前の出来事をつらつらと描写した印象だが、ユーミンは女性同士のシンパシーとして自分事に引き寄せた視点がより魅力的。
2コーラス目 【裏切った恋人のせいじゃない】
この一行だけで、語り手と自殺女性が知り合いまたは友人関係であったことを示し(はたまた赤の他人への同情かも)、かつ自殺原因を単純化しない表現意図も簡潔に込められている。

死後さえも一瞥されるだけの世の残酷さと、幕引きを図った彼女を羨望する語り手の心情をも窺わせる作りが素晴らしい。これらがいっけん平易な言葉で淡々と綴られているのだ。
2020/01/09

みゆきのコントラアルト

20200107
SONY DSC-RX1R Carl Zeiss Sonnar T*35mm F2 2020.01

久々に写真サイトのFlickrに選ばれたと思ったら、こんな地味なスナップが。正月の桜ノ宮あたりを散歩しながらのショット。



中島さんの新作『CONTRALTO』を入手。映像作品の『夜会 リトル・トーキョー』の印象が良かったので久々にレンタルを待たずに聴いてみた。
ドラマのタイアップによるテーマ性を持ちつつ、穏やかな寓話的要素と尖った声質が、瀬尾氏のサウンドのバランス感覚で届けられる。みゆきさん、やはり声がしんどそう。
音質が悪く感じられるのは、彼女の現在のヴォーカルのトーンに合わせると、必然的にバッキングが抑制を余儀なくされるためか、非常にくぐもった、籠ったような聴感だ。
歌詞世界は達観した名人芸だが、曲はどうかな。変わらない良さもあるが、あえて言葉を削いでハーモニーを熟成させるなど作曲家としての手腕も発揮してほしい。
2019/12/29

無国籍のメルヘン

kao191229
SONY DSC-RX1R Carl Zeiss Sonnar T*35mm F2 2019.12

猫ちゃんが飼い主の寝床に潜り込む季節になった。こちらが床に入ると後からベッドにぴょんと飛び上がり、肩に凭れ掛かってきたと思ったら、もうスヤスヤ。可愛いけど頭けっこう重いんだわ。寝返り打てず痺れ我慢しながら、獣と並んでいると落ち着く。頼ってるのはどちら?



懐かしいアルバムにたどり着いた。杏里の『哀しみの孔雀』(1981)。当時ラジオのエアチェックで親しんだ。
大貫さんのサポートメンバーとしてお馴染みの森さんが、角松さんのメンバーでもあり、SNSの呟きをきっかけに角松さんをSpotifyで試聴しようと。が、1枚もラインナップが無く、リンクの関連アーティストに杏里さんが出てきたわけ。実にネット以前以来の再会になる。

クレジットを検索して鈴木慶一プロデュースと知る。初期3枚目となる本作は、歌謡曲寄りのメロディだが、フレンチの香りもする洗練されたサウンド。ヴォーカルは初々しく、まだあどけない。
赤い靴が歌詞に出てくるのを覚えていた。4ビートの「白いヨット」はイメージが強く、無国籍のお伽噺を聴くよう。リイシューによりボーナストラックが加えられているが、ラストはタイトル曲の不思議な余韻をもって終えたい。

▼白いヨット
https://youtu.be/DbsxR2-sPg4
2019/11/30

苦境の境界

temple191129
FUJIFILM X-T30 XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS 2019.11

中島みゆきさんの『夜会Vol.20 リトル・トーキョー』ブルーレイを鑑賞。彼女の夜会ビデオは数作ぶりの購入。
ゆうべ一通り初めて観たんだけどエネルギッシュだった。トレイラーのテロップ通り、笑いあり涙あり、でした。ハイライトの「リトル・トーキョー」のダンス、あれ皆で相当練習したんでしょうね(振付担当はラッキィ池田、他)。ああいう勢ぞろいでのレヴュー的な場面は、かつて無かったんじゃないでしょうか。



むかし夜会Vol.11『ウィンター・ガーデン』を出張ついでに文化村で観た帰り、立ち寄ったバーで偶然鑑賞帰りの客と居合わせた折、その人が"途中で拍手する顰蹙者が居たね"と言ってて、確かに当時から夜会は最後まで集中して観てから喝采をおくるのが暗黙のマナーになっていた。今回は、北のホテルに誂えたパブのステージに、キャストが思い思いに演奏するシーンがあり、客席から都度拍手するムードが出ていたのが良い。
既発表曲が組み込まれたのもリラックスできる要素だった。ぼくは『今晩屋』『橋の下のアルカディア』あたりから、全曲書下ろしまで縛らなくても…と思い始めていただけに、「野ウサギのように」「思い出だけではつらすぎる」「テキーラを飲みほして」「紅灯の海」の挿入は嬉しかった。そしてキャストによるリード・ヴォーカルの配分も自然に受け止められ、本人が全編歌い切らないことへの不満は不思議と無かった。ヅカ出身の植野さん、だいぶ歌上手くなったね。
とりわけ助演の渡辺真知子さんの役割も効いた。聴くのは久々だがさすが音程が良いですね。

観劇にあたり意味性を同時に追求するのが大変な夜会、今作はそれをおいても歌のアンサンブルで充分楽しめる。これほどのステージを完成させたなら、コンサート・ツアーが終了してしまうのも納得できる。残念ではあるが、彼女をこき使っちゃ申し訳ないでしょ。
終盤の「月虹」には驚き。この世の者では無い歌のようで。まさに幽霊役なんだけど。とんでもないシーンを目にしてしまった。
何故、この設定でこの筋書きなのか、一気に謎は解けないが、ヒロインは生きた霊として、また、動物が人間のように振る舞う。自然界と人間界の区分。このかんを行ったり来たりするように観ているうち、現実の自分の苦境が小さなものに見えてきたような気がした。
2019/11/27

アルバムより映像?

朝のウォーキングに出てみると、マンションのゴミ捨て場に50㎝ほどの高さのCDラックが放置されていた。これは使えるかも、と拾ってみた。例の引越し家族が置いてったのかな。けどこれ、ご家庭特有の匂いが染み付いているので、しばらくベランダに出して曝しておく。



中島さんの新作夜会『リトル・トーキョー』映像作品が本日発売とのことでロング・ヴァージョンのトレイラーがアップ。
先日、全国ツアーとしてはラストとして日程発表された彼女、来年発売予定のアルバムの収録曲の一部を聴いた限りでは、彼女もだいぶ喉が辛そうだな、と感じていたのだが、本トレイラーを視ると、よく出ているみたい。買おうかどうか迷う。

最近の手持ちCDのDSD取り込み作業で、唯一アップサンプリングの効果が感じられないのが彼女のアルバムなんだよね。ポニーキャニオン時代の音のほうが良い。彼女が自身、取締役となるヤマハミュージックコミュニケーションズに移籍してからの独立レーベルとなって以降、最近の音のほうが硬くペラペラに感じられるのはどうしたものか。盤製造上の違いでもあるのかしらん?

今回の映像を聴くと、彼女はサラウンド再生での音像のほうが、臨場感があり向いているのかもしれないと思った。オリジナル・アルバムもマルチチャンネル録音が、スケール感的に合ってる人なのかも。