木の根はゆりかご

ichou121716例の新規パン屋さん、批判を受けて行列動画を削除し、お詫び文を掲載されていたが、ページ横のツイート欄にはオーナーらしき人の「行列万歳!」といったウハウハの呟きが。みんなこれ見て怒って「段取り悪かったくせに何を」と投稿してるのが解っていないのかな? というか、オーナーのツイートはあくまで業界関係者や個人的な友達向けに誇らしげに発せられたものかもしれない。だとしてもそれを同時に目にした客は怒るわな。近隣にとっても自分の借りてる駐車場を駐輪場にされ、整理券配布されたらどう思うか。

もう何十年前、SNSどころかネットも無い学生時代、百貨店の婦人靴売り場で短期バイトを経験したことがある。初めて最初の靴が無事売れたとき、社員さんから「バイト君、売れた?」と声掛けられ「売れた!」と喜んでいたら、商品棚の向こうに、まだそのお客が残って居て、ぎょっとした顔で振り返られてバツ悪くて、思わず棚の陰にしゃがみ込んで隠れてしまったのを思い出す。
でも、そのころと比べたら、今のSNSはあけすけ、商売の最中に舌出すのも平気かもしれないね。



イチョウの写真は、露出をかなり上げて撮影。コントラストは弱いが、葉がヒラヒラと儚くてそれなりに気に入ってます。
中島さんのこの歌を思い出した。

【私はどこまでゆけるでしょう 空まで昇ってゆくかしら
それともつらい冬が来て 望み叶わずに散るかしら
(中略)
いいえ どこでもない 枝よりもっと遥かまで
木の根はゆりかごを差し伸べて きっと抱きとめる】

中島みゆき「樹高千丈 落葉帰根」より引用

吹く口笛はスプリングスティーン

chaya112816最近知り合った人に、今カメラにハマってると言うと、「自分も一眼買ったんですけど、説明書の途中で撮る前から挫けました」と。どの機種持ってんの?と訊くと、ぼくよりずっといいヤツ持ってやがる! もったいない。何でもきちんと1ページ目から読み進めて、理解できないとそこで全てストップしてしまうらしい。ぼくなんか、途中パッと開けたところから始めるよ、最初からなんてまどろっこしいじゃん、というと、キチッとした性分の相手さんは、へぇ~と有り得ないといったリアクション。まぁ、いきなり上級の撮影テクニックを望んでも、やっぱり解らなくて(→P.1参照)に戻らされるけど。

  

中島みゆき『LOVE OR NOTHING』(1994)は、ご存知TVドラマ『家なき子』主題歌「空と君のあいだに」のヒットを受け、アルバム・ヴァージョン収録し、こちらもヒットしたアルバム。しかし、このアルバムから彼女を知るには、けっこうクセのある歌い口、ガラガラ声に、馴染めない人も居たんじゃないか。

このころの彼女、ジャニス・ジョプリンを意識したフシもあったように思う。また、「流星」には、ブルース・スプリングスティーンの歌を彼女自身が口ずさむ、といった描写も。「桟橋に灯りは点らない」は、最近出たライヴビデオのほうが、よほど聴き易くなってますね。
強力な作品群に、現在でもこのレベルで詞が書ける人が他にどれほどいるだろうと思う。ぼくは特に「ひまわり“SUNWARD”」から「アンテナの街」への流れが音楽的にも好きで、2曲をよく繰り返してた。

【あの遠くはりめぐらせた 妙な柵のそこかしこから
今日も銃声は鳴り響く 夜明け前から
目を覚まされた鳥たちが 燃え立つように舞い上がる
その音に驚かされて 赤ん坊が泣く
たとえ どんな名前で呼ばれるときも
花は香り続けるだろう
たとえ どんな名前の人の庭でも
花は香り続けるだろう

私の中の父の血と 私の中の母の血と
どちらか選ばせるように 柵は伸びてゆく
たとえ どんな名前で呼ばれるときも
花は香り続けるだろう
たとえ どんな名前の人の庭でも
花は香り続けるだろう

あのひまわりに訊きにゆけ あのひまわりに訊きにゆけ
どこにでも降り注ぎうるものはないかと
だれにでも降り注ぐ愛はないかと
(後略)】
中島みゆき「ひまわり“SUNWARD”」より

「アンテナの街」は、フォークソングを無理にロック仕立てにしがちな傾向と違い、アレンジのマッチングよろしい爽快さ。"口さがない"という表現も、今使える人は少ないような。
「風にならないか」も好きだった。大曲「YOU NEVER NEED ME」でクライマックスを迎えるや、長いブランクのあと始まる「眠らないで」まで洒落込んでいる。

逃げ口の入り口

sitennouji112016こないだ散髪屋の待合いで週刊文春をめくっていたら、ツチヤ先生のコラムに、親子が会話してる一コマ漫画が載っていた。以下うろ覚えだが・・
子「なぜ大人は結婚して子供をつくるの?」
親「軽薄だからよ」
これを見て、親しい人が自分を貶めてイキイキした表情を浮かべることや、(自分が過去に何かしでかしたっけ?)と、胸に手を当てて首を傾げる時も、この一言で片付ければ良いことにした。「人間は軽薄なのだ」と。

二時間もののフル・コンサートには、"カオスの時間帯"というのがあって、誰のライヴでも最初は物珍しさもあって観客は集中して聴くが、10曲程度、一時間くらい過ぎたあたりから、アーティストの淡々としたギグに真に没入できるかどうかで、本当に好きかどうかが分かれる、と思う。
中島さんのライヴビデオ作品『「一会」(いちえ)2015~2016』の三部構成のうち"Bitter"で、そのカオス、つまりアーティストの真骨頂が訪れるのだが、メッセージ性に重きがおかれており、ぼくは音楽的に引いてしまった。
が、"Bitter"オープニング「ベッドルーム」は、収録アルバムは嫌いで売り飛ばしてしまったが、映像での彼女の表現を受けて、いま最も身近に感じるようになった。彼女の詞は、初期のほうが情感があって好きだが、こういう視点を持ってくれるから、今でも気に留めていられるのだ。

【粗略に扱ってかまわない人間が
ないがしろに扱ってかまわない人間が
あなたの国にはまさか いないですよね
名誉の傾きを取り繕うために
庇護なき人を選び 踏み石にする技が
あなたの国にはまさか ないですよね
誰にも見られていないベッドルームは
あなたにあなたが見えるベッドルームだ
あなたが鎧戸を固く閉めきる闇は
あなたがあなたの中の鎧戸を開け放ってしまう闇だ
寝心地は最低 居心地は最高
心の中のベッドルーム
寝心地は最低 居心地は最高
心の中のベッドルーム

(中略)
あなたがあなたの国の王であるように
他人も他人の国の王であり続けられますように
寝心地は最低 居心地は最高
心の中のベッドルーム
寝心地は最低 居心地は最高
心の中のベッドルーム
(後略)】

中島みゆき「ベッドルーム」より引用

一会の秋

oldpainter111316先日の日曜日は、北浜~中之島公会堂あたりをぶらついた。撮影のためだけに地下鉄に乗って出かけるなんて初めて! ただ、この日は曇天で、帰宅してデータをPCで確認すると、晴天日より彩度が落ちるのが気になり、アプリで補正を試みたのだが、いじるほど余計ヘンになるばかり。妥協して撮ってだしにしておいたが、このへん、他人様のを見習う必要がまだまだありそう。



中島みゆきのライヴ映像作品、『中島みゆきConcert「一会」(いちえ)2015~2016 [Blu-ray]』を入手。このツアーは、ぼくがチケ申し込み落選で見逃していただけに、楽しみにしていた。
元気いっぱい・声でまくりで、中学・高校時代に熱心に聴いたアーティストが、今でも頑張っていることに頭が下がる。本編は"Sweet""Bitter""Sincerely Yours"の三部構成。

観覧車を舞台セットに、本人はもちろん、全ミュージシャンまでコーディネイトされた衣装がカラフルで、特に軽めに進行する第一部は、過去を凌ぐ映像出来栄えと感じた。
「やまねこ」('86年)が、ライヴ映像で観られるとはねぇ。立ち姿と表情の美しさに驚く。今ツアーからプロンプター使用だが、観ていてそれほど気にはならない。
「MEGAMI」は、これも'80年代のツアー『野ウサギのように』を思い出す。個人的にベストのライヴ(朗々と歌った「誰のせいでもない雨が」が忘れられない)。

話は本編に戻って、第二部のオープニング「ベッドルーム」は、彼女がミニスカートで足を開いて凄む表情から、オリジナル・アルバムより身近になった。
しかしこの後あたりから、自分の趣味からは逸れていく。特に「阿檀の木の下で」の演奏中での空爆音のSEなど、演出と理解しつつも、音楽を壊してしまっていて好きになれない。意図的であることは汲んではいるつもりだが。この本領発揮というべきハイライトで、あまり馴染めず歌声も荒れてきて、選曲の重さとともにしんどくなる。終盤ではまたキリッと持ち直して清清しい歌い口に浄化される感覚に。彼女は「流星」のようなタイプの楽曲が最も歌いやすそうですね。
そうそう、パーカッションに三沢さんが入ったんだね。軽さも生んで、第一部では特に活かされていた。

2016年の"昭和"

kao101316ほとんど邦楽にはそっぽを向いている僕ですが、Spotifyのおすすめプレイリストに"オーセンティック・カヴァーズ"というJ-popのカヴァー集があって、今のシンガーがかつてのヒット曲を歌っているのだ。
トップバッターの原田知世さんの竹内まりやカヴァー「September」が良かったので、早速、収録の新作『恋愛小説2~若葉のころ』を試聴。プロデュース&アレンジは、ギタリスト/作曲家の伊藤ゴローが担当。



1. September
2. やさしさに包まれたなら
3. 秘密の花園
4. 木綿のハンカチーフ
5. キャンディ
6. 年下の男の子
7. 異邦人
8. 夏に恋する女たち
9. 夢先案内人
10. SWEET MEMORIES

全曲、一緒に口ずさめるワ。もちろんアレンジは新たになっていて、限られた音数に、ダウナー気味のリズム、ボッサ・ノーヴァ感覚のコード進行に変わっていますが、いわゆるやりすぎ感はなく、少しずつパターンを変えながら、知世さんはそのまんま自然体で口ずさんでいる感じ。

「年下の・・・」などは、レイジーなムードで驚き。曲に合わせて"WOW!"とコーラスするつもりで構えていただけに。すっかりソロ・ヴォーカル向けの作りになってます。
「異邦人」はどうするのかな、と期待したところ、ボッサ風にサックスのオブリを交えた中庸的なアプローチで、これも新鮮。要所で知世さんのファルセットが効いています。
大貫さんのカヴァー「夏に恋する女たち」では、意外にもリズム・セクション抜きで、アルバム中かえって際立つ。
「夢先案内人」、これまた大胆にコードを変えて印象的に。いずれも原曲当時の直球のフォーキーなタイプの楽曲が、いやみなくお洒落なミデイアム・テンポに仕上がっています。楽しめた。ラスト・トラックだけでもサックス抜きにして、ストリング・グループを薄く入れたら、グレードアップしそう。
そうして逆に、あの時代の、萩田光雄氏のスペクタクルな「異邦人」のアレンジなどに、再び焦がれたりもするのでした。

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 シャケ/YASUHISA

Author: シャケ/YASUHISA
男性 昭和40年代生まれ

愛猫カオ(ロシアンブルー)と同居
常にマイブームがないと生きていけない

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