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2019/11/30

苦境の境界

temple191129
FUJIFILM X-T30 XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS 2019.11

中島みゆきさんの『夜会Vol.20 リトル・トーキョー』ブルーレイを鑑賞。彼女の夜会ビデオは数作ぶりの購入。
ゆうべ一通り初めて観たんだけどエネルギッシュだった。トレイラーのテロップ通り、笑いあり涙あり、でした。ハイライトの「リトル・トーキョー」のダンス、あれ皆で相当練習したんでしょうね(振付担当はラッキィ池田、他)。ああいう勢ぞろいでのレヴュー的な場面は、かつて無かったんじゃないでしょうか。



むかし夜会Vol.11『ウィンター・ガーデン』を出張ついでに文化村で観た帰り、立ち寄ったバーで偶然鑑賞帰りの客と居合わせた折、その人が"途中で拍手する顰蹙者が居たね"と言ってて、確かに当時から夜会は最後まで集中して観てから喝采をおくるのが暗黙のマナーになっていた。今回は、北のホテルに誂えたパブのステージに、キャストが思い思いに演奏するシーンがあり、客席から都度拍手するムードが出ていたのが良い。
既発表曲が組み込まれたのもリラックスできる要素だった。ぼくは『今晩屋』『橋の下のアルカディア』あたりから、全曲書下ろしまで縛らなくても…と思い始めていただけに、「野ウサギのように」「思い出だけではつらすぎる」「テキーラを飲みほして」「紅灯の海」の挿入は嬉しかった。そしてキャストによるリード・ヴォーカルの配分も自然に受け止められ、本人が全編歌い切らないことへの不満は不思議と無かった。ヅカ出身の植野さん、だいぶ歌上手くなったね。
とりわけ助演の渡辺真知子さんの役割も効いた。聴くのは久々だがさすが音程が良いですね。

観劇にあたり意味性を同時に追求するのが大変な夜会、今作はそれをおいても歌のアンサンブルで充分楽しめる。これほどのステージを完成させたなら、コンサート・ツアーが終了してしまうのも納得できる。残念ではあるが、彼女をこき使っちゃ申し訳ないでしょ。
終盤の「月虹」には驚き。この世の者では無い歌のようで。まさに幽霊役なんだけど。とんでもないシーンを目にしてしまった。
何故、この設定でこの筋書きなのか、一気に謎は解けないが、ヒロインは生きた霊として、また、動物が人間のように振る舞う。自然界と人間界の区分。このかんを行ったり来たりするように観ているうち、現実の自分の苦境が小さなものに見えてきたような気がした。
2019/11/27

アルバムより映像?

朝のウォーキングに出てみると、マンションのゴミ捨て場に50㎝ほどの高さのCDラックが放置されていた。これは使えるかも、と拾ってみた。例の引越し家族が置いてったのかな。けどこれ、ご家庭特有の匂いが染み付いているので、しばらくベランダに出して曝しておく。



中島さんの新作夜会『リトル・トーキョー』映像作品が本日発売とのことでロング・ヴァージョンのトレイラーがアップ。
先日、全国ツアーとしてはラストとして日程発表された彼女、来年発売予定のアルバムの収録曲の一部を聴いた限りでは、彼女もだいぶ喉が辛そうだな、と感じていたのだが、本トレイラーを視ると、よく出ているみたい。買おうかどうか迷う。

最近の手持ちCDのDSD取り込み作業で、唯一アップサンプリングの効果が感じられないのが彼女のアルバムなんだよね。ポニーキャニオン時代の音のほうが良い。彼女が自身、取締役となるヤマハミュージックコミュニケーションズに移籍してからの独立レーベルとなって以降、最近の音のほうが硬くペラペラに感じられるのはどうしたものか。盤製造上の違いでもあるのかしらん?

今回の映像を聴くと、彼女はサラウンド再生での音像のほうが、臨場感があり向いているのかもしれないと思った。オリジナル・アルバムもマルチチャンネル録音が、スケール感的に合ってる人なのかも。
2019/10/26

37年越しのパールピアス

mora qualitasについては、早々に見限って解約したものの、自分の環境で再生不能なのが納得いかず引き摺っていた。
それでもう一度、別のクレカで登録し直し試行錯誤。バッファリングっていうの? 動画などでストリーミングが滞った時、グルグルまわってるヤツ、あの状況が繰り返される。
どう考えても通信上の問題としか考えられず、通信速度に問題無い筈だが、弄る箇所も見当たらず、ヤケで(またヤケ?)Wi-Fiのルーターのコンセントを引き抜き、突き刺し直してみたら、一転、スムーズに! 問題無く再生できた。

やはりハイレゾだけあって負荷はかかるんだろうね。対応OSで挫けた人も少なくなさそう。ひとまず、PC用のCREATIVEのスピーカーからユーミンの『Pearl Pierce』(Remastered 2019)、96kHz/24bitを聴いてみた。なるほど、評判通り良い音。確かにAmazonを凌いでいるかもしれない。

さらにUSB DACに繋いで、普段のオーディオ出力のリスニング形態で確認してみようとした。が、またここで初歩的な問題を抱える。
先日買ったばかりの中華製DACのデバイスが正常に認識しないのだ。本領発揮すべきところで。CDプレーヤー等との再生機器との接続~出力には全く問題無いんですが、USBだけは"このデバイスに必要なドライバーのデジタル署名を検証できません。ハードウェアまたはソフトウェアに最近加えられた変更により、正しく署名されていないファイルや破損したファイルがインストールされた可能性があります。・・・"とのメッセージ。接続不能。
日本語サポート窓口も無いし、まだ返品期間内であるので、互換性の問題を理由に返品手続きを済ませた。これに懲りて、コルグの製品に乗り換えてみる。



ユーミンのこのアルバムはリアルタイムに聴いていた。今年の一連のハイレゾのサブスクの流れで一斉に全作リマスターされたんだね。当時より聴こえも良く、本作のすっきりしたドライなサウンドが、よくよく聴けば緻密に練られているのに気づかされ、正隆氏の手腕にあらためて驚かされる。
2019/09/20

嵐野先生のCMワークス

先日、拙宅にて過去にお世話になった先生がレコード・コレクターズのインタビュー記事に載っていた件を余談で少し触れました。
その方は、嵐野英彦(ひでを)先生という作曲家で、拙宅記事で偶々触れたのをきっかけに、ぼくは先生が数年前に亡くなられたことを今になって知った。レココレの記事は5.6年前だったか。拝読した頃は先生お元気そうで何より、と安心していたのだが。

当ブログが、私的に好きなことを散漫に書き付けるだけの匿名運営に過ぎないことから詳述は控えるが、10年以上前、こちらが東京出張の際、先生には授業と試験関係の依頼でお世話になり、娘さんにも伴奏担当していただくなど、父子揃って東京で毎回お会いしたものでした。
ご無沙汰したままタイミングをすっかり逸してしまったが、お悔やみと感謝の意を一言でも伝えずにはいられず、ひとまずメールで娘さんと久しぶりに連絡を取らせていただいた。

一癖二癖あるあまたの教員を相手にしてきた経験上、当初、お会いする迄は事務方としてつい身構えてしまいがちだったのだが、品の良い朗らかなお人柄で、会場先の黒板に五線が無いことが判明し、平謝りするこちらに「大丈夫です。私はプロですから、どんな状況でも対応できます。」と仰って下さり助けられたのだった。先生の授業を受講した人たちは、皆ニコニコしていてその充実ぶりが窺えた。他の担当者では見られなかったほどだ。
今となってはもっと雑談する時間が取れていればなぁ、と。ぼくが個人的にフォーキーな曲を書いてることを話すと、「フォーク音楽はいいね!」と気さくに応えて下さったのを思い出す。



先生を偲んで、今般CD入手可能な『スキャット、ボッサ&シンギング・インストゥルメンタル~嵐野英彦CM WORKS』(2011)を取り寄せた。
ブックレットには収録CM曲の各放送年の記録が載っていないが、ぼくの世代では憶えのないものがほとんどで、恐らく昭和40年代くらいまでの音源ではないかと。
提供先企業商品は、味の素ハイミー・東京ガス湯沸かし器・浅田飴クール・森永レモンタップ・大関清酒 多聞・S&B ゴールデンカレー・武田薬品ハイシー・モロゾフ チョコレート・中外製薬 グロンサンC、等々全44曲。うち2曲は安田章子への書下ろし歌曲のボーナストラック。
演奏者には、安田章子・梓みちよ・伊東ゆかり・朱里エイコ・ハニーナイツ・ボニージャックス・天地総子、他。

解説には長いキャリアにおけるほんの一部作品に過ぎない、とある。また先生自身によるエピソード披露もあり、時間に厳しいコマソンでは30秒仕上げなら、実質28.5秒になるなど背景が興味深い。
ジャズやラテンなど取り込んだ歌謡性が懐かしい。特に小西六(コニカ)CMの「さくらカラーN100」(歌:中沢ただし)など、優美なメロディでコマソンに留めておくには勿体ないと思った。
2019/05/06

出自を問わない歌たち

miyuki190505

鼻が少し楽になったので、1件くらい連休らしい予定を過ごそうと、先週末から公開の『中島みゆき 夜会工場 VOL.2 劇場版』を鑑賞。5月GWで、中島さんの映画を観ようとは、自分の中高生時代には考えられなかったイベントだ。

なんばパークスでの鑑賞で、以前、同じく彼女の『夜会』を観た時より、音響は改善された印象。以前は音割れが酷かったのだ。
この手の興行は、大抵、初日にファンが集まり易そうだが、それにしてもまばらだ。それでも近年、ソフト発売が先行しているにも関わらず、続けざまに何本も劇場公開しているのだから、収入的な心配は無用らしい。

この『夜会工場』は、過去の『夜会』のダイジェスト・コンサート。Vol.1はぼくは生で鑑賞、このVol.2がチケット外れて、ソフトを買おうとしたが、このガラ・コンサートは本人歌唱率が低いため、いったん見送って、劇場で初見することにしたのだ。そういうファンが他にもいそうだ。

こちらのVol.2を観終わった印象、予想より良かった。といっては失礼なくらい、演者は大変そう。目まぐるしい舞台転換は、前回同様だが、要所で本人の歌唱をきっちり聴かせていて、ブラッシュアップされた。特に律儀に発表順に曲目を追うだけでなく、アンコールとして、新たに追加した『シャングリラ』や『問う女』からの曲目が、腰を落ち着けてのテーマの説明の役割を果たしていて、さらに『夜会工場』のためのテーマ「産声」と畳み掛けられると、圧巻の歌唱に、歌唱率の不満など飛んで行ってしまう。

サウンドに関しては、拙宅にて何度も記してる通り、さすがプロフェッショナルで入念に作り込まれているが、ハード過ぎて自分の好みではない。ここまで分厚くするなら、もうちょっとポップセンスも欲しいが、そこはみゆきだから、、器用貧乏ならぬ貧乏器用が憎めない。
他の演者も好みは分かれるだろうが、芝居しながらブレることなく歌い切れるし、みゆきのキーのまま男性歌手が歌ってて、大変だったろう。どうやらこの各人のソロを活かした構成が、次の新作夜会の予備軍としての役割も果たしたようだね。