みゆきのB面(2)

hamaya170420

パナに続く二機目として入手したフジのカメラで撮影。フジのモノクロの階調の豊かさに憧れて、つい手を出してしまった。街スナップはパナ機よりフジを持ち出す機会が多い。
パナライカは特に空の青味の濃さなどがお気に入りだが、笹の葉などグリーン系はフジが良いと思った。フジは人の肌色も評判良いが、ポートレイトを撮らせてもらえる相手が居ないので、もっぱら愛猫がモデル。獣毛もきれいに写ります。
携帯性を重視しつつ、結局マイクロフォーサーズからAPS-C機に格上げした訳だが、こうなるとフルサイズ機も一生に一度は手にしたいと思うようになりそう。こんなにハマるつもりは無かったのだが。

昨日の目覚め頃、記事にしたみゆきの「波の上」が脳内でぶり返し、寝床で久々に声に出してみた。サビの"貨物船"と"カモメ"は語呂合わせなのかなぁ、と気が付きつつ。本能的に言葉を紡ぐのか、桜田淳子に提供したヒット曲「しあわせ芝居」の2コーラス目、

【浜辺を見たいのとさそえば
鼻唄まじりに連れてゆく
踊りたいとすねてみせれば
おどけながらあわせてくれる】

行頭の"ハマ"と"ハナ"、"オド"と"オド"の韻は偶然なのだそうだ。この曲、2010年のツアーで中島さん本人の歌唱が久々に聴けて嬉しかった。サックスを交えたボッサ・ノーヴァ風アレンジになってたね。

彼女の名曲ずくしのB面ソングで、「霧に走る」を挙げるのを忘れていた。「かなしみ笑い」のB面でアコーディオン挿入のバラード。当時、もっぱら失恋歌・恨み節といわれた中で、これは貴重なラヴソング。淡く切ない曲調は他のシンガーにも取り上げられて良さそうなものだが。シャンソン風以外に、ちょっとAOR仕立てにしても合いそう。

【次のシグナル 右に折れたら
あの暗い窓が 私の部屋
寄っていってと もう何度も
心の中では 話しかけてる

(中略)

ああ 外はなんて 深い霧 車の中にまで
いっそ  こんな車 こわれてしまえばいいのに】
(中島みゆき「霧に走る」より)

みゆきのB面

white170417

TVドラマ『やすらぎの郷』の八千草さん登場の回、面白かったなぁ。石坂さんとのやり取りで、「先生は"なんとか鑑定団"とかいうTVにもお出になすって・・・」など、リアルをシレッと織り交ぜた倉本脚本の今後に益々期待。



このドラマの主題歌を週のほぼ毎日聴いてるうち、脳内を"みゆき節"がぐるぐる回るようになった。彼女のメロディがこんな風に駆け巡るのは、熱中して聴いた中高時代以来かも。
この「慕情」という曲、AメロからBメロへと繋げるコード展開が、ちょっと引っ掛かるが、かつてスティーヴィー・ワンダーと共演した12インチ・シングル「つめたい別れ」あたりに通ずる、普遍的な彼女らしいメロディだ。特にサビの"もしも"と"ただ"の部分の歌唱が効果をあげる。なんでも7分ほどの大曲だそうで、全体を聴くとまた印象は変わるかもしれないが。

前述の「つめたい別れ」など、彼女の初期シングルを集めたボックスが、『Singles』(3CD)。ポニキャニ発だが、現在はヤマハから再発されている。たぶんリマスターはされていない筈。
今では、シングルまでは買わなくなったが、当時の彼女のシングルはアルバムに再収録されることがあまりなく、「悪女」はアルバムでは別ヴァージョン、続くヒット曲「誘惑」「横恋慕」はアルバムに入らずじまいという、今思えばシングルもダブリなく購入の甲斐があったのだ。
そしてB面の曲がまた勿体無いほど良いのだ。もちろんこちらもアルバム未収録ばかり。「ほうせんか」「波の上」「忘れな草をもう一度」「やさしい女」「杏村から」など、これだけでも別途オリジナル・アルバムが成立するんじゃないか。

特にアレンジャーが瀬尾さん一人に絞られた現在、この当時の絢爛なメンツは、今だからこそ再評価したい。アルバム『臨月』『寒水魚』『予感』などで関わったアレンジャー陣を再起用するアルバムを出してくれたら、、なんてもはや叶わぬ夢ですね。

【懲りもせずに明日になれば 誰かに惚れて
昨日をくぐり抜けた 顔つきになれるだろう
でも今夜は 少し今夜は イカレたハート
傍にいてくれるのは 優しすぎるTanquerey

遠いエデン行きの貨物船が出る
帰りそこねたカモメが堕ちる
手も届かない 波の上】
(中島みゆきシングル「あの娘」B面「波の上」より)

木の根はゆりかご

ichou121716例の新規パン屋さん、批判を受けて行列動画を削除し、お詫び文を掲載されていたが、ページ横のツイート欄にはオーナーらしき人の「行列万歳!」といったウハウハの呟きが。みんなこれ見て怒って「段取り悪かったくせに何を」と投稿してるのが解っていないのかな? というか、オーナーのツイートはあくまで業界関係者や個人的な友達向けに誇らしげに発せられたものかもしれない。だとしてもそれを同時に目にした客は怒るわな。近隣にとっても自分の借りてる駐車場を駐輪場にされ、整理券配布されたらどう思うか。

もう何十年前、SNSどころかネットも無い学生時代、百貨店の婦人靴売り場で短期バイトを経験したことがある。初めて最初の靴が無事売れたとき、社員さんから「バイト君、売れた?」と声掛けられ「売れた!」と喜んでいたら、商品棚の向こうに、まだそのお客が残って居て、ぎょっとした顔で振り返られてバツ悪くて、思わず棚の陰にしゃがみ込んで隠れてしまったのを思い出す。
でも、そのころと比べたら、今のSNSはあけすけ、商売の最中に舌出すのも平気かもしれないね。



イチョウの写真は、露出をかなり上げて撮影。コントラストは弱いが、葉がヒラヒラと儚くてそれなりに気に入ってます。
中島さんのこの歌を思い出した。

【私はどこまでゆけるでしょう 空まで昇ってゆくかしら
それともつらい冬が来て 望み叶わずに散るかしら
(中略)
いいえ どこでもない 枝よりもっと遥かまで
木の根はゆりかごを差し伸べて きっと抱きとめる】

中島みゆき「樹高千丈 落葉帰根」より引用

吹く口笛はスプリングスティーン

chaya112816最近知り合った人に、今カメラにハマってると言うと、「自分も一眼買ったんですけど、説明書の途中で撮る前から挫けました」と。どの機種持ってんの?と訊くと、ぼくよりずっといいヤツ持ってやがる! もったいない。何でもきちんと1ページ目から読み進めて、理解できないとそこで全てストップしてしまうらしい。ぼくなんか、途中パッと開けたところから始めるよ、最初からなんてまどろっこしいじゃん、というと、キチッとした性分の相手さんは、へぇ~と有り得ないといったリアクション。まぁ、いきなり上級の撮影テクニックを望んでも、やっぱり解らなくて(→P.1参照)に戻らされるけど。

  

中島みゆき『LOVE OR NOTHING』(1994)は、ご存知TVドラマ『家なき子』主題歌「空と君のあいだに」のヒットを受け、アルバム・ヴァージョン収録し、こちらもヒットしたアルバム。しかし、このアルバムから彼女を知るには、けっこうクセのある歌い口、ガラガラ声に、馴染めない人も居たんじゃないか。

このころの彼女、ジャニス・ジョプリンを意識したフシもあったように思う。また、「流星」には、ブルース・スプリングスティーンの歌を彼女自身が口ずさむ、といった描写も。「桟橋に灯りは点らない」は、最近出たライヴビデオのほうが、よほど聴き易くなってますね。
強力な作品群に、現在でもこのレベルで詞が書ける人が他にどれほどいるだろうと思う。ぼくは特に「ひまわり“SUNWARD”」から「アンテナの街」への流れが音楽的にも好きで、2曲をよく繰り返してた。

【あの遠くはりめぐらせた 妙な柵のそこかしこから
今日も銃声は鳴り響く 夜明け前から
目を覚まされた鳥たちが 燃え立つように舞い上がる
その音に驚かされて 赤ん坊が泣く
たとえ どんな名前で呼ばれるときも
花は香り続けるだろう
たとえ どんな名前の人の庭でも
花は香り続けるだろう

私の中の父の血と 私の中の母の血と
どちらか選ばせるように 柵は伸びてゆく
たとえ どんな名前で呼ばれるときも
花は香り続けるだろう
たとえ どんな名前の人の庭でも
花は香り続けるだろう

あのひまわりに訊きにゆけ あのひまわりに訊きにゆけ
どこにでも降り注ぎうるものはないかと
だれにでも降り注ぐ愛はないかと
(後略)】
中島みゆき「ひまわり“SUNWARD”」より

「アンテナの街」は、フォークソングを無理にロック仕立てにしがちな傾向と違い、アレンジのマッチングよろしい爽快さ。"口さがない"という表現も、今使える人は少ないような。
「風にならないか」も好きだった。大曲「YOU NEVER NEED ME」でクライマックスを迎えるや、長いブランクのあと始まる「眠らないで」まで洒落込んでいる。

逃げ口の入り口

sitennouji112016こないだ散髪屋の待合いで週刊文春をめくっていたら、ツチヤ先生のコラムに、親子が会話してる一コマ漫画が載っていた。以下うろ覚えだが・・
子「なぜ大人は結婚して子供をつくるの?」
親「軽薄だからよ」
これを見て、親しい人が自分を貶めてイキイキした表情を浮かべることや、(自分が過去に何かしでかしたっけ?)と、胸に手を当てて首を傾げる時も、この一言で片付ければ良いことにした。「人間は軽薄なのだ」と。

二時間もののフル・コンサートには、"カオスの時間帯"というのがあって、誰のライヴでも最初は物珍しさもあって観客は集中して聴くが、10曲程度、一時間くらい過ぎたあたりから、アーティストの淡々としたギグに真に没入できるかどうかで、本当に好きかどうかが分かれる、と思う。
中島さんのライヴビデオ作品『「一会」(いちえ)2015~2016』の三部構成のうち"Bitter"で、そのカオス、つまりアーティストの真骨頂が訪れるのだが、メッセージ性に重きがおかれており、ぼくは音楽的に引いてしまった。
が、"Bitter"オープニング「ベッドルーム」は、収録アルバムは嫌いで売り飛ばしてしまったが、映像での彼女の表現を受けて、いま最も身近に感じるようになった。彼女の詞は、初期のほうが情感があって好きだが、こういう視点を持ってくれるから、今でも気に留めていられるのだ。

【粗略に扱ってかまわない人間が
ないがしろに扱ってかまわない人間が
あなたの国にはまさか いないですよね
名誉の傾きを取り繕うために
庇護なき人を選び 踏み石にする技が
あなたの国にはまさか ないですよね
誰にも見られていないベッドルームは
あなたにあなたが見えるベッドルームだ
あなたが鎧戸を固く閉めきる闇は
あなたがあなたの中の鎧戸を開け放ってしまう闇だ
寝心地は最低 居心地は最高
心の中のベッドルーム
寝心地は最低 居心地は最高
心の中のベッドルーム

(中略)
あなたがあなたの国の王であるように
他人も他人の国の王であり続けられますように
寝心地は最低 居心地は最高
心の中のベッドルーム
寝心地は最低 居心地は最高
心の中のベッドルーム
(後略)】

中島みゆき「ベッドルーム」より引用

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 シャケ/YASUHISA

Author: シャケ/YASUHISA
男性 昭和40年代生まれ

愛猫カオ(ロシアンブルー)と同居
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