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2019/05/06

出自を問わない歌たち

miyuki190505

鼻が少し楽になったので、1件くらい連休らしい予定を過ごそうと、先週末から公開の『中島みゆき 夜会工場 VOL.2 劇場版』を鑑賞。5月GWで、中島さんの映画を観ようとは、自分の中高生時代には考えられなかったイベントだ。

なんばパークスでの鑑賞で、以前、同じく彼女の『夜会』を観た時より、音響は改善された印象。以前は音割れが酷かったのだ。
この手の興行は、大抵、初日にファンが集まり易そうだが、それにしてもまばらだ。それでも近年、ソフト発売が先行しているにも関わらず、続けざまに何本も劇場公開しているのだから、収入的な心配は無用らしい。

この『夜会工場』は、過去の『夜会』のダイジェスト・コンサート。Vol.1はぼくは生で鑑賞、このVol.2がチケット外れて、ソフトを買おうとしたが、このガラ・コンサートは本人歌唱率が低いため、いったん見送って、劇場で初見することにしたのだ。そういうファンが他にもいそうだ。

こちらのVol.2を観終わった印象、予想より良かった。といっては失礼なくらい、演者は大変そう。目まぐるしい舞台転換は、前回同様だが、要所で本人の歌唱をきっちり聴かせていて、ブラッシュアップされた。特に律儀に発表順に曲目を追うだけでなく、アンコールとして、新たに追加した『シャングリラ』や『問う女』からの曲目が、腰を落ち着けてのテーマの説明の役割を果たしていて、さらに『夜会工場』のためのテーマ「産声」と畳み掛けられると、圧巻の歌唱に、歌唱率の不満など飛んで行ってしまう。

サウンドに関しては、拙宅にて何度も記してる通り、さすがプロフェッショナルで入念に作り込まれているが、ハード過ぎて自分の好みではない。ここまで分厚くするなら、もうちょっとポップセンスも欲しいが、そこはみゆきだから、、器用貧乏ならぬ貧乏器用が憎めない。
他の演者も好みは分かれるだろうが、芝居しながらブレることなく歌い切れるし、みゆきのキーのまま男性歌手が歌ってて、大変だったろう。どうやらこの各人のソロを活かした構成が、次の新作夜会の予備軍としての役割も果たしたようだね。
2019/04/13

生きる手だては

mono190412
FUJIFILM X-Pro2 XF35mmF1.4 R 2018.02

この写真を撮ったビルの上から、今月初め飛び降りがあったらしいんだよね。幾つの人か知らないけど可哀そうに。年度変わりの関係で辛いことがあったのだろうか。

今年の花粉症状にかねてからの慢性蓄膿のダブルパンチで、ついにCTスキャンを受けることにした。この段でまだ悲観することは無いのだが、手術になるのでは、という不安で気が重い。何年か前、翼突管神経切断術を受けたばかりなのに。父も生前に口腔外科で歯の上に溜まった膿を除去する手術を受けていて、骨格的に溜まりやすい家系なのかもしれない。



元号が変わるまでに日本の歌謡&フォーク史に残る盤からピックアップしてみようと、中島みゆき『親愛なる者へ』(1979)を取り出してみた。
そういえば、この春から昼帯で去年の倉本ドラマの続編の放送が始まり、また中島さんがさらに2曲書下ろし、計3曲の主題歌が起用されるらしい。新曲は聴いてみたいが、ドラマの内容には期待薄で、観る気がしない。作家の個人的な恨み節の部分に、だんだん付き合い切れなくなってきたからだ。今年さらに年間放送に拡大しているそうだが、視聴者をキープできるだろうか。

本アルバムは彼女の通算5作目、リリースから数年後にぼくはLPで初めて手にした。LP盤の歌詞カードには、彼女自身による手書きのメロ譜とギター・コードが各曲付されていて、実にシンプルなコード使い。サウンドも含め、アマチュアにとって、表現次第で誰でも幾通りでも作れるという励みになりそうなほど、基本コードばかり。
個人的には、メロディ先行で聴くタイプで、当時は「小石のように」の軽快さが好きだった。後のコンサートでは、フルートをフィーチャーし、せせらぎのようなアルペジオに乗せた別アレンジで印象的だった。「根雪(ねゆき)」は、フルコーラスのギター弾き語りの後、オーケストラによるフィナーレに鳥肌が立つ。

真骨頂は、まだ20代半ばだった彼女の言語表現。終曲の「断崖-親愛なる者へ-」から。珍しく8ビートが被さり、サックスが徐々に煽り立てる。

"生きる手だては あざないものと
肩をそらして 風を受けながら
いま 崩れゆく 崖の上に立ち
流し目を使う 昔惚れてくれた奴に、ああ情けないね"

この気風、なんと40年後の今なお一貫しているのだ。

"だけど 死ぬまで春の服を着るよ
そうさ 寒いとみんな逃げてしまうものね"

"そうさ 死んでも春の服を着るよ"

中島みゆき「断崖-親愛なる者へ-」より引用
2019/01/17

パールカラーの街灯り

nagai190116
FUJIFILM X-Pro2 XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro 2019.01

暖かくなったら神戸のクルーズ船に乗って夕時の灯台を撮ってみたい。むかし家族と従業員で回ったルミナス神戸のディナーを思い出す。



先日、編曲家の船山基紀さんの誕生日の件のツイートが流れてきた。船山氏の作品でパッと思いだしたのが百恵ちゃんの「パールカラーにゆれて」。シングルで持ってますが、ラテン歌謡を匂わせて好きな曲でした。「横須賀ストーリー」と「赤い衝撃」の間のシングルだったんだね。作詞は千家和也、作曲は佐瀬寿一。

今聴くと、シングルの録音はテンポが速すぎて情感がやや殺がれた感じ。当時の尺に合わせざるを得ない事情だったのでしょうか。以下、夜ヒット出演時の動画が観られたが、こちらの落としたテンポ感が良いですね。エレキギターのオブリガードが金管に置き換えられてるのもイイ。シングルのほうはサビのリピートを割愛して、簡潔に1コーラスと2コーラス同じ尺でバチッと終わらせても良かったんじゃないか。

2018/11/12

工場ビデオ

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FUJIFILM X-Pro2 XF56mmF1.2 R 2017.12

アレルギー期に砂糖を摂り過ぎるのはNGのようで、牛肉の甘露煮と、割引につられて手が出たおはぎ2個で見事撃沈。まだ10月のような陽気のせいで拷問が長引く。



中島さんの『夜会工場』の映像版が発売予定(以下にトレーラー)。これは既知の通り『夜会』のダイジェスト・コンサート版で、このVol.2が最初の発売。ぼくはVol.1を大阪で、Vol.2はチケットはずれて観られなかった。
なので、入手したいところだが、ちょっと手が出にくい。このコンサートの構成は、文字通り過去に催された演目のクライマックス・シーンを集めたものだが、舞台セットと衣装の転換にかまけて、本人の歌がじっくり聴けない点が馴染めないのだ。

繋ぎで他の登場人物が代わって歌う場面が多すぎて、フル・コンサートのつもりで観にやってきた人は大いに不満を感じるだろう。尤も、舞台劇の観点でみれば、けして彼女の独り舞台ではなく全キャストによる配分によるものなのだろう。が、それが自分などには、オリジナル本編を超える満足は得られませんよ、と言われてるみたいで・・・。果たしてこのような構成が、新作『夜会』(渡辺真知子さんが共演するらしい)への動員に繋がるのか疑問だ。

よって、トレーラーを観れば、あたかも彼女のソロ・コンサートのようであるが、全編中の何割かに留まるはず。だから買おうかどうか迷う。かつてコクーンで実際に鑑賞した『金環蝕』の中で歌われた「EAST ASIA」の再現は観てみたい気もするが。

2018/10/03

In Rainy Sky

october181001
Panasonic DC-G9 LUMIX G MACRO 30mm F2.8 2018.10

せっかく陽水さんが聴き放題になったのに、各アルバムの冒頭数曲聴いて止めてしまう。どうもフォーキーな曲に耳を傾ける気分になれないみたい。もちろん「少年時代」のメロディは好きだし、アルバム『LION&PELICAN』も大好きなんだけど。昭和歌謡は、ハーモニー自体はシンプルなのに、結構こってりと楽器群にオブリガードを付けて、カラフルに聴かせるものが多く、これが今となっては忙しくかえって古びて聴こえてしまう。
陽水さんのロックって、フォーキーですよね。



それで陽水さんはいったんスルーして、こちらも一挙配信となったユーミンのほうは、Deezerでも全曲聴ける。このクラスの国内アーティストでDeezerてんこもりはユーミンが初でしょう。すごいわ。
でも、色々聴くほどに、やはり手持ちのレコードの曲に戻っていく。『OLIVE』(1979)は、才気ほとばしるメロディと歌詞が揃う。このアルバムについては、過去にも取り上げ済みだが、ぼくは彼女の全曲の中で、本収録「ツバメのように」が一番好きかもしれない。

親しかった知り合い女性の自殺を歌った内容だが、今聴いても洒落たサウンドで、たとえば近い内容を歌った中島みゆきの「十二月」と比較するのも興味深いかも。
ユーミンのほうは、メジャーとマイナーを巧みに使い分けながら、さらりと歌って一見シリアスに聴こえないくらいだ。今般あらためて歌詞を確認すると、知人の自殺理由は"裏切った恋人のせいじゃない"となってるんですね。誰かのせいじゃないんですね。じゃ何故彼女は死んだのか? これが作品をいっそうミステリアスにしている。
また、一人称である私(ユーミン自身?)が、飛び降りた彼女について"生きてゆく私には 綺麗だわ"と呟くところも、密かに自殺願望を覗かせるようで、深い物語だと感じ入る。

J-popは、なまじ日本語が耳に付くぶん、メロディのフレーズと言葉の文節が合っていないと、居心地悪くなったりするが、特に本曲など、歌詞カードを読まずとも物語が明快にスッと入ってくる。後年、ビデオクリップ化された『コンパートメント』では、同曲の映像も最後まで凝ってる。VHSからDVDリイシューされた際、パッケージのデザインを新しくしたんだね。