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2018/10/30

もしも時代が違っていたなら

kintetu181029
SIGMA DP2 Merrill 2017.12

オランダでは、今時の子供たちは、同性婚が無い時代があったの?と大人たちに訊くという。職場の同僚に、「私、結婚するの」と打ち明けられれば、「相手は男性?女性?」と会話するのが流れだそう。

ヒュー・グラントが初めてTVドラマシリーズに主演したという『英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件』をWOWOW視聴。青年ノーマンと肉体関係を持った国会議員ジェレミー・ソープが、同性愛が違法とされていた当時、その揉み消しに青年の殺害を目論んだ、実際の事件に基づいた。

▼WOWOWより(画像のみ)
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英国ドラマは'60年代頃のビジュアル再現が楽しい。グラントのヒヒジジイぶりが見もの。ドラマに登場する主要3人物が同性愛者で、冒頭から、ソープ(グラント)が政治家仲間と、その指向(ここでは嗜好的な会話ぶりだ)について語り合う。そして国民カードを紛失し、家も金も無い知人の青年に情をかけるところから愛憎物語が展開する。

複雑さが無いのでドラマ的な楽しみは今一つだが、タブーとされた当時の政治家の揉み消しは、今やブラックユーモアともいえるドタバタ劇だ。事実通りに描写されているなら、調子者の素人の殺し屋に依頼してしまい、派手に未遂する流れには笑いさえ込み上げるほど。

さて、その暗殺未遂事件の裁判、ラストにおいて裁判長が陪審員にソープらの無罪を誘導するシーン、ノーマンの立場で観れば切ない。現代的な視点では尚更だ。
自宅バルコニーで祝杯を上げるグラントの演技に、彼がキャスティングされたのに納得。滑稽なハンサム。ノーマン役の俳優も、生命力を孕んだ弱者ぶりが見事。
2018/10/23

ズレにみる愛と死

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Panasonic DC-G9 LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2 2018.10

風邪は良くならない。夜中に腕が痺れて手の感覚が無くなる。これも蓄膿のせい。今回の風邪で出尽くして欲しい。



WOWOWにて海外TVドラマ『アフェア 情事の行方』シーズン3を全話視聴終了。妻子を捨てウェイトレスと結婚した主人公ノアが、轢き逃げ事件による服役からの出所以後のストーリー。

このシーズンは全体的に物語が停滞した印象を受け、少々ダレたような印象も受けたが、ファイナルシーズンを見据えた上での、キャラクターの掘り下げに取り組んだものとみるべきだろう。
随所に、服役中のノアが同郷出身者の看守からの虐待によるPTSD、さらにケガの痛み止めによる依存症からくる看守のストーカーの妄想シーンが挿入され、従来シーズンとは異なったサスペンスフルな演出。
全話観終われば、この看守は本シーズン限りの登場のようで捨てエピにも思えるが、各登場人物の視点から描かれるこの特異な作風に、唯一、この看守はノアの視点のみに登場するので、それゆえ、ノアが決着を付けようと実際に看守の自宅を訪れたシーンでの、看守のプライベートの素顔が興味深い。看守は、障がいを抱える息子を持つ子煩悩な父親だったのだ。
また、新たな出会いとなるフランスからの客員教授の女性との絡みもどうやらこのシーズンのみだったようですね。

男女の仲の曖昧さというものを、視聴者にヤキモキさせつつ、人の心の不可解さというものを見過ごせない、誰かの死によって展開するありがちなドラマのようでも、よく練られている。ノアがアリソンと再会し、外風呂で語らうシーンなど、アリソンが離婚を決め、ノアを避けつつも、彼の苦労育ちなど聴くにつれ情が移るプロセスなど、理屈では説明できないものがある。ドラマならではのゴタゴタと他人事のように片付けられないクリエイティビティだ。

唯一、リアリティが無いとすれば、ノアの精力ぶりか? しかし、貧乏育ちの長男のキャラクターをリアルに造形している。なんというか長男らしいハチャメチャさを抱えている。彼にとってヘレンは母性的な理解者で、アリソンは刑務所にピンナップを貼るほどのアイドルか?
しかし、ノアがアリソンに向かって、彼女の元夫コールの非難目的に「あいつは君のことを欠陥品だと思ってる」と言い放ったシーンは、きつい。その言葉はノア自身がアリソンをそのように見ていたことの証明に他ならなかったのではないか?
2018/10/20

チェンジリング

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Panasonic DC-G9 LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2 2018.07

先日の年賀状返送の件を書いた記事に、なんだかアクセスがいつになく集中していたような気がしたので補足ですが、自分が賀状を突き返した相手の同僚とは「うん、私、他人からよく無神経っていわれる。自分でそういうとこ気に入ってる」と、自ら言ってのける程の普段からそうした行状がある人物性だったということです。無神経な自分を気に入ってる、とは珍しいと思いましたね。とにかく謝れない人で、メールのやり取りを寸断するかのように年始にはケロッとした賀状が送られてくると、アレッ?っとこちらは首を傾げるわけです。そこに一筆何かフォローする文言でもあればマシですが毎年「~へ行ってきた!」だけですから流れに釈然としない。一括処理の印刷で深く考えず撒いただけなんだろうけどね。



1920年代のロスで起こった実際の事件に基づいたというイーストウッド監督映画『チェンジリング』(2008)をWOWOW視聴。主演はアンジェリーナ・ジョリー。

2時間を超える上映時間だが、見応えあった。5歳の息子が行方不明になり、約半年経って、警察が探し出し引き合わせられた子供は別人だった・・・。
母親(アンジー)は、別人を主張し息子を探しなおすよう懇願するが、当時のロス市警はギャングとの蜜月関係に、汚職、と信用失墜しており市民を少しでもなだめようと、好材料となる筈だったために、母親を逆に精神錯乱と決めつけ、警察部長の権限で彼女は精神病院に強制入院させられてしまう。

話の軸は、子供捜しを発端とした当時のロス市警の権力濫用を正す直情的なストーリーとなっていて、分かりやすいし、事実関係をリサーチしたフェアな作りが窺える。
個人的には、すり替わったニセの子供の存在感が気になる。この時代のドサクサとはいえ、当人に成り代わったこの子供の異様な素行にもっとスポットを当ててみたい。アンジーに向かって「ママ、おやすみ」などと平気で言い、彼女の逆鱗に触れ、学校のクラスでは先生の名前を「忘れました」の一言でかわし、すまし顔で空いてる席に着席する。後にこの子供は本当の母親に逢うが、どういう親子関係だったのだろう。正義感に溢れるアンジー親子の健全な関係以上に気にかかった。
2018/10/13

ヒッチコック目線なら…

bridge181012
Panasonic DC-G9 M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8 2018.10

WOWOWオンデマンドで視聴できるスウェーデンTVドラマ『凍てつく楽園』はシリーズ6と7まで観た。以前は3話完結だったが、新作では1時間半の単発モノに変更したらしい。このほうが結果的にテンポ良く犯人捜しの謎解きにのめり込めた。
何組か、視聴者の気を逸らすための紛らわしい人物やエピソードが交差し、素直に見てれば結構はぐらかされる。シリーズ6で殺された少年が、両親の知らないドラッグ中毒で、怨恨との関連性を裏切るショッキングな真相に新味を感じた。シリーズ7では、最も事件に無関係そうな人物の打ち明け話が、捜査に関連するヒントとして散りばめられていたり。毎シリーズ、どれくらいのインターバルで制作しているのか不明だが、主役刑事を取り巻く環境・生活の変化も窺えて、なかなか楽しい出来である。



ゆうべの深夜放送でヴェンダース監督の『アメリカの友人』を初めて観た。毎週金曜深夜の放送は普段ならスルーしていたが、本作は原作がパトリシア・ハイスミスとのことで、気合入れて視聴。
『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』は良かったけど、本作はサスペンス要素に自分が期待し過ぎたようです。加えて自分の"イラチ"な性格が、登場する男達の関係性にじっくり付き合えなかったのだ。
特急列車内のバイオレンス・シーンは、ヒッチならもっと上手に撮るだろうな、とか。完結するストーリーを求め過ぎたようで、主人公の病状の真実は、もっと楽観できるもので、それを後で知った主人公が、妻子のため人を殺めた事を烈しく後悔する絵など想像していた。
この詩情がくみ取れなかった自分。また単発ドラマに戻るか。
2018/09/29

北欧の刑事ドラマ

▼西道頓堀川
river180928
Panasonic DC-G9 LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0 2018.07

北欧サスペンス・ドラマ『凍てつく楽園』から、ひとまず1-3シーズンを視聴。スウェーデンのサンドハムン島を舞台とする事件を中心に各3話構成で完結。

(画像のみ)
paradise180928

邦題から文芸モノの香りのするスリラーかと想像したが、人物造形や心理描写にそれほど深みを感じない、娯楽性の高い印象。刑事モノは、きっとプロが見ると突っ込みどころ満載だろうと思う。
島内での交通手段は、車では小回りが利かないので、自転車に乗ればいいのに、肝心な急を要するシーンで刑事が駆け回るのは、そのほうがアクションとして映えるからなのだろう。
この主役男性刑事の、補佐役というべき準主役が、刑事の一級下の幼馴染の女性なのだが、土地勘のある彼女が、捜査の一部を託される流れによって、二人は親密になり、その後の進展の気がかりが、もう一つの魅力になっている。

そんなに大きな島でも無かろうに、主役を取り巻く事件の頻発と、毎度、追い詰められた犯人が幼馴染の彼女を人質にするという終盤のお約束の展開。それでも、続きを観てみようという気分にさせられてしまうのは、島の狭い社会と家族の憂鬱な暮らしに、風穴を空けるような爽快を味わえるからか。