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2019/01/18

独身問題として視た「めまい」

映画評論家の町山さんによる『映画ムダ話』シリーズからヒッチコックの名作『めまい』を初ダウンロード購入しました。1件につき税込216円。形式はmp3。内容は約45分。

拙宅で唯一、単独カテゴリーに上げたこの作品は、高校生の頃レンタルビデオ鑑賞して以来、30年以上経った今でもベスト1と言い切れるほどの愛着があるもので、高い関心をもって町山さんの解説を聴いた。

ヒッチコックの生い立ち、ブロンド女性に対する執着など監督自身の背景から、実際の現場での女優に対するセクハラ~パワハラなど、近年のティッピ・ヘドレンの証言など交えて、この作品の主人公スコティ(ジェイムス・スチュアート)そのものが、ヒッチ自身であることなど、一応誰もが知り得る範囲の話の他、脚本初稿・原作との違いについて興味深く、特に原作ではラストシーンにおいて、スコティがジュディ(キム・ノヴァク)を本気で殺してしまう結末になっていたと知って驚いた。原作『死者の中から』は、自分は訳本を中古で入手して途中まで読んだままにしていたので。

このムダ話において、力点を置かれたのが、この作品が現代の性事情の予見である旨だ。ヴァーチャル・リアリティやAIなどを例に、他の現代作品『her/世界でひとつの彼女』などに言及(自分は未見)。
拙宅の過去記事においても、実在しない理想像を追求する心理については触れてきているが、現代の独身問題への言及に繋がるとは思いもよらなかった。あくまで当時のフィクションとして自分は捉えていただけだったから。

主演女優ノヴァクの、自分自身が認められず殿方に造り上げられていく事への拒絶感についての言は興味深かった。が、ヒッチは少なくとも映画の中ではジュディの心理も扱っており、ジュディが持っていた欲望と幻想についても出来れば解説で触れて欲しかった。女性側の視点も盛り込まれた物語と自分は捉えていたものだから。

ところで、このムダ話の購入きっかけは、町山さん本人のツイートだったのだが、町山さんは購入者の感想ツイートもリツイートされていて、その内容が"ゲイ男性にこの作品が好きな人が多い訳が解った"というものだったが、拝聴してもその点、解けなかった。もしかしてこの作品が独身人生を正当化するバイブルに成りえたから? ただ、それでは同性婚が台頭している現代にはもはやそぐわない見解になる。もう一度チェックしてみると、その件のリツイートは削除されたようだった。一体どういうことだったのだろう?
2013/10/07

ラスト・シーンの解釈

ブルーレイに買い替えたヒッチコックの『めまい』を再見した。綺麗な映像で観られるようになって幸せ。田舎の電器店のレンタル・ビデオ(VHS)で借り直して観た頃を思えば飛躍的です。

あらためて観直したところ、圧倒的な映像美もさることながら、物語のなんとも異様な展開がたまらない。緩やかに息詰まる感覚をもって、男女の真理を解く手掛かりが残されているような気がしてならない。

ラストの鐘楼シーンは、前半と違って夕刻を過ぎた時間帯、華麗な色彩構成で撮影された本編の中で、クライマックスにふさわしくないほどの暗黒に閉ざされた重苦しい映像だ。このシーン、男女が揉み合いながらズルズルと階段を上るさまが、『女殺油地獄』のラスト・シーンと重なるのだが。

さて、このラスト・シーンの鐘楼に登り詰めたスコティとジュディ。二人の愛の行方を固唾を飲んで見守っていると、突如階下からもうひとりが姿を現わします。

ver

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2012/06/14

誰が誰をどのように愛したか?

アルフレッド・ヒッチコック監督の「めまい」と、アン・リー監督「ブロークバック・マウンテン」は、共通点があると思っている。"愛の幻想"というテーマにおいて。

愛し合うカップルは、互いに違うものを見ていた。
こう書くと、たかが感情のすれ違いの物語じゃないか、と受け止められそうだが、これらの作品は特異である。

vertigo

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2010/12/11

男女の偽れる盛装

vertigo
最近、ヒッチコック映画のTV特集があったようで、当ブログに大挙して『めまい』に関するアクセスがあり驚いた。
おそらく作品に感銘を受けた方が、レビューを求めて検索されて来たのだろう。

そこで逆に今回の放送を観た方のブログを、いくつかランダムに拝見したところ、
「こんな筋書き有り得ない」という低評価の感想を見つけた。ほぉ。
でもねぇ、映画というものは、まやかしですよ。『めまい』は"まやかしの金字塔"なのです。

このサスペンスの向こうに、実は男女の典型的なすれ違いの構図が透けて見えるようだ。
それは男女の欺瞞。
この作品の中では、

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2008/12/31

スコティの愉悦-彼はジュディを愛したか?-

『めまい』は、高校時代、レンタルビデオ鑑賞したのが最初で、7つ上の姉とも鑑賞した。その姉いわく、「スコティはしつこく、いやらしい」と言うのだ。特に中盤のトリックが明かされてからの、ジュディへの接し方に、そう感じたようである。
僕はそうでもなかった。男と女の見方の違いだろうか。やはりトリックが明かされたことによって、ここから観客の主眼によって、見方と感想が異なってくるのだと思う。

なぜならば、

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